裏表一体、日々のこと。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「小さき花嫁と年の差侯爵」の波乱含みの連載、第五回です。
次回で一応、一段落なのですが根本的解決まではもう少しかかります。というスタンスなので、「花嫁の悩み」の最後を読んでも怒らないでいただきたい(切実)。
今回の流れも、ある意味予想外かもしれません。
以下、「小さき姫と年の差侯爵」小さき花嫁の悩み。5。
慰め役、登場(笑)。
ラブコメ仕様なので、ご容赦ください。
次回で一応、一段落なのですが根本的解決まではもう少しかかります。というスタンスなので、「花嫁の悩み」の最後を読んでも怒らないでいただきたい(切実)。
今回の流れも、ある意味予想外かもしれません。
以下、「小さき姫と年の差侯爵」小さき花嫁の悩み。5。
慰め役、登場(笑)。
ラブコメ仕様なので、ご容赦ください。
―― 小さき花嫁と年の差侯爵。~小さき花嫁の悩み。5~ ――
悪いのはなんだろうか?
幼すぎる見た目? それとも、どこもかしこも成長のない体? もっと単純に商人上がりの男爵家と由緒正しい侯爵家の身分差もあるし、いや、むしろそのすべてが理由というあまりに悲しい現実かもしれない。くすん。
と、城の中庭の植え込みの奥でうずくまっていたら通りすがりの妖精と目が合った。
「………」
互いに気まずい沈黙のあと、初対面の妖精の方が気を遣ったのか(チサの泣き顔は庇護欲を掻きたてるらしい)声をかけてきた。
「は、花嫁さま、いかが……されました?」
どうやら、チサが城主のキリエ侯爵の花嫁というのは彼ら城に棲まう妖精たちの中でも有名なようだ。姿を見せないだけで、そこかしこに隠れている……ということだろうか?
「へ、平気です。ありがとう」
にこり、と涙をおさめて慌てて微笑むと、透明の羽を持った少女のような妖精はエヘヘと傍に寄ってくる。
「侯爵の花嫁さま、相談くらいのりましてよ? 侯爵を誘惑したいんですの?」
好奇心いっぱいの爛々とした眼差しで言ったかと思うと、ガサガサと植え込みが揺れて向こう側からも「どうなんですの? どうなんですの?」やら「毎夜、同じ寝台なのですもの、当然ですわよ~!」やら「キャー、ソレって口にしてしまっていいんですのー?」とかしましい若い娘の話し声が聞こえてくる。
どうやら、妖精のお嬢さん方はこういう恋愛話が好物らしい。
泣いていたことも忘れて、チサは真っ赤になって否定した。
「ゆ、ユウワク?! ちがっ、しませんっ!! それに何も、……ありませんから~~っ」
「えー?」
あからさまにつまんない、と言いたげな少女たちの声にチサは申し訳なくなる。いや、べつに彼女たちの楽しみに協力する必要はないのだけれど……チサ自身も自分の身の不徳のいたすところ、というか。なんというか。ううっ。
もうちょっと、色気があればなあ……なんて思うワケで。
「ここ数日は、姿もほとんど見てないの……」
シュン、となったチサに妖精たちは同情を示した。
「まあ、そうなんですの?」
「そういえば、最近城内〔なか〕が騒がしいですわ。誰かが邪魔をしてますのね!」
嬉々とした声。同情っていうか、……好奇、かも?
「花嫁さま、大丈夫です。侯爵さまはきっと今夜は戻ってきますわっ」
「無粋な邪魔者は我らが退治しますわぁ、どうぞ存分に侯爵さまを誘惑なさってネ」
キャーキャー言いながら彼女たちの声は遠のき、植え込みにはチサだけが取り残された。
「……え?」
呆然と呟いて、去り際の妖精たちの会話を消化した頃、ボン! と頭から火が出るほどに狼狽えて当惑した。
(退治って、え? 誘惑って……えー? 勝手に決められても困るんですけどーっ)
>>>続きます。
悪いのはなんだろうか?
幼すぎる見た目? それとも、どこもかしこも成長のない体? もっと単純に商人上がりの男爵家と由緒正しい侯爵家の身分差もあるし、いや、むしろそのすべてが理由というあまりに悲しい現実かもしれない。くすん。
と、城の中庭の植え込みの奥でうずくまっていたら通りすがりの妖精と目が合った。
「………」
互いに気まずい沈黙のあと、初対面の妖精の方が気を遣ったのか(チサの泣き顔は庇護欲を掻きたてるらしい)声をかけてきた。
「は、花嫁さま、いかが……されました?」
どうやら、チサが城主のキリエ侯爵の花嫁というのは彼ら城に棲まう妖精たちの中でも有名なようだ。姿を見せないだけで、そこかしこに隠れている……ということだろうか?
「へ、平気です。ありがとう」
にこり、と涙をおさめて慌てて微笑むと、透明の羽を持った少女のような妖精はエヘヘと傍に寄ってくる。
「侯爵の花嫁さま、相談くらいのりましてよ? 侯爵を誘惑したいんですの?」
好奇心いっぱいの爛々とした眼差しで言ったかと思うと、ガサガサと植え込みが揺れて向こう側からも「どうなんですの? どうなんですの?」やら「毎夜、同じ寝台なのですもの、当然ですわよ~!」やら「キャー、ソレって口にしてしまっていいんですのー?」とかしましい若い娘の話し声が聞こえてくる。
どうやら、妖精のお嬢さん方はこういう恋愛話が好物らしい。
泣いていたことも忘れて、チサは真っ赤になって否定した。
「ゆ、ユウワク?! ちがっ、しませんっ!! それに何も、……ありませんから~~っ」
「えー?」
あからさまにつまんない、と言いたげな少女たちの声にチサは申し訳なくなる。いや、べつに彼女たちの楽しみに協力する必要はないのだけれど……チサ自身も自分の身の不徳のいたすところ、というか。なんというか。ううっ。
もうちょっと、色気があればなあ……なんて思うワケで。
「ここ数日は、姿もほとんど見てないの……」
シュン、となったチサに妖精たちは同情を示した。
「まあ、そうなんですの?」
「そういえば、最近城内〔なか〕が騒がしいですわ。誰かが邪魔をしてますのね!」
嬉々とした声。同情っていうか、……好奇、かも?
「花嫁さま、大丈夫です。侯爵さまはきっと今夜は戻ってきますわっ」
「無粋な邪魔者は我らが退治しますわぁ、どうぞ存分に侯爵さまを誘惑なさってネ」
キャーキャー言いながら彼女たちの声は遠のき、植え込みにはチサだけが取り残された。
「……え?」
呆然と呟いて、去り際の妖精たちの会話を消化した頃、ボン! と頭から火が出るほどに狼狽えて当惑した。
(退治って、え? 誘惑って……えー? 勝手に決められても困るんですけどーっ)
>>>続きます。
PR
この記事にコメントする
ミソですね。
そうです、人の手でない助け舟が出したかったのです。が、この展開には結構紆余曲折があったのです……だって、侯爵の活躍がほとんどないじゃないですか(ジレンマ)!
新・アンケート開催中
カレンダー
どれにしますか?
こんなん生息中。
HN:
なお
HP:
性別:
女性
住所:
大阪府
職業:
たぶん、そのうち無色。
趣味:
主に恋愛小説の執筆ととめどない落書き。あと、HP運営。
自己紹介:
恋愛小説やら絵やら書いて、裏と表のHPを運営中。ココでは日々のこと、本編の番外か先行掲載を目的にツラツラ生息していこうかと思っています。
新しい日々
2016
/
09
/
11
(
Sun
)
22
:
39
:
09
)
2016
/
09
/
04
(
Sun
)
22
:
45
:
15
)
2016
/
09
/
03
(
Sat
)
19
:
51
:
06
)
2016
/
01
/
01
(
Fri
)
00
:
19
:
24
)
2015
/
12
/
30
(
Wed
)
21
:
26
:
50
)
こめんと
無題
(
君を、きっと、好きになる。2.6-桜
)
from:
mimana
2013
/
05
/
21
(
Tue
)
21
:
48
:
28
無題
(
恋敵がやってきた!2
)
from:
mimana
2012
/
02
/
22
(
Wed
)
00
:
16
:
32
無題
(
鳴海広之の場合。天使の領分3(終)
)
from:
mimana
2012
/
01
/
20
(
Fri
)
13
:
02
:
04
無題
(
鳴海広之の場合。天使の領分2
)
from:
mimana
2012
/
01
/
15
(
Sun
)
22
:
53
:
05
無題
(
鳴海広之の場合。天使の領分1
)
from:
mimana
2012
/
01
/
12
(
Thu
)
23
:
03
:
07
ブログ内検索