裏表一体、日々のこと。
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良いお年を。
が、過ぎておりました。
あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
まったり、気ままに小話投稿が中心になるとは思います。皆様の時間が空いた時にでも覗いていただければ嬉しいです。
で、昨日……じゃなかった二日前の続きの小話、後編です。
やっぱり、お妃様視点では王様の気持ちは謎なため、最後に魔法使いさんに登場してもらいました。
お妃様のいない場所では、結構ダダ漏れな王様です。
以下、「王様とお妃様のなれそめ」後編。
王様視点は今のところ書いていません。が、何かお告げがあったらポロッと載せているかもしれません。半年後とかに(←遅すぎるっ)!
―― 王様とお妃様のなれそめ(後) ――
不機嫌な彼は立派な衣装を身に纏い、ここまでのわずかな時間の立ち居振る舞いだけでも高貴な身分であることは明白だった。
「殿下」
と、給仕の責任者らしい叱責された男性は恐縮し、頭を低くして跪くと深く謝罪した。
のんびりした感想を思い浮かべていたお姫様もこれには驚き、身を竦ませた。
(で、殿下って仰いました? た、大変! 淑女、淑女のアイサツっ)
奇跡的な速さで頭を回転させて、宴の最初に遠くから垣間見た王子殿下と目の前の男の人を比べてみるが、いかんせん遠くから眺めていただけのせいか同一人物かははっきりしなかった。
身に纏う衣装は似ている、けれど第二王子かもしれないと思うとこう挨拶するしかなかった。
「お初にお目通りいたします。王子殿下」
膝を折り、顔を伏せる。ドレスを摘まんで広げて、長い沈黙を耐えた。
「………」
あまりに沈黙が長いので、お姫様は(あら? 何か間違えたかしら?)と不安になり、少し目だけを上に向けた。
不機嫌な表情のまま、彼は彼女の手を取り歩き出す。
「え……え? あの、どこに?」
戸惑うお姫様は無言の王子様を見上げ、返事がないことに困ってしまう。
そうして会話もないままに連れて行かれたのは、宴の会場だった。それだけなら良かったが、その広間の一番上座になる舞台の上だった。
そこに居るのは、国王と王妃。数名の側近と近習。
(あら? あらあらあら、王子様ったらわたしの手を持ってるの忘れてるのね。やだわ、目立っちゃって……お兄様に笑われちゃう)
王子様の手から腕を引くが、なかなか外れない。というか、逆に力が強まった。上に、怖い顔で睨まれたから大人しくするしかない。
どうも王子様はお姫様の手を持っていることを忘れていたワケではないらしい。
「父上、母上」
と、彼は言い、お姫様の手を引く。
「え?」
お姫様は目を瞬いた。
国王と王妃は王子に目を向け、隣の彼女に視線を移す。そして、もう一度王子を見つめて先を促した。
「どうした? その姫君がどうかしたか?」
「決めました。この姫を私の伴侶にします、ご許可を」
「………え? ええっ!」
何を隠そう、一番驚いたのはお姫様だった。
理由がまったくわからない。彼女がわからないのは当然で、王子様が何ひとつ教えていないせいである。
そして、その謎はお妃様になった今でも明かされていない。
選ばれた理由を明かされないままお姫様はお妃様になってしまった。問題なく済んでいるのは、お妃様の生来の性格だからと王様の側近たちは思っている。
王様は無口だ。特に好いている女性に対しては顕著である。
お妃様に対して好きも愛してるもほとんど言わない。だが、周囲の人間は彼がどれほど彼女を好きで、愛しているのかを知っている。お妃様も理由がわからないなりに理解はしているらしい。
「別に、お話してもいいんじゃないですか? 隠している意味が解らない」
魔法使いは嫁が可愛いと暗に訴えてくる王様に顔を歪めて進言する。
「嫌だ、恥ずかしいじゃないか」
「どこが恥ずかしいんですか?」
「際限がなくなる。どこもかしこも可愛いんだ、彼女は」
「はいはい、街で見かけてからの一目惚れですもんね~満腹ですよ。もういりません。大好きなお妃様と仲良くしてください。帰ります」
ゲンナリとした独り身の魔法使いは、ドロンと消えた。
>>>おわり。
王様はお妃様が都入りした時の関所にいました。
兵士の格好をしていたので、お妃様は気付いていません。
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