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裏表一体、日々のこと。
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 「小さき花嫁と年の差侯爵」の波乱含みの連載、第三回です。
 すれ違いって、こっちのすれ違いかよっ!! とか、思ってくれると、してやったり(←コラコラ)なのですが……どうでしょうか。
 一応、恋敵話も徐々に考えていますが、本題の恋敵ではない恋敵話も書いていたりします。こちらの恋敵(ややこしいですね……スミマセン)もある意味、将来的に楽しい感じになりそうです。
 ちなみに、本題の恋敵は侯爵に恋慕する方で、本題ではない恋敵はチサに言い寄る方たち(←複数?)です。まあ、どちらもラブコメの軽い話なんですが(^^ゞ

 以下、「小さき姫と年の差侯爵」小さき花嫁の悩み。3。
 思いのほか、長い文章になっておりますが、バンソーコーの件は完全なる蛇足です。それでも、入れてしまったのはココから何か想像力が発動されそうだったから――見えないところで話は転がるものですよ?



―― 小さき花嫁と年の差侯爵。~小さき花嫁の悩み。3~ ――

 また夜にね、と言ったのにその夜は彼は寝室に戻らなかった――少なくとも、チサが起きて待っている間には、という意味だが。
 そうして。
 朝。彼女が目覚めた時にはすでに侯爵の姿は寝室にはなく、まるで一晩戻ってこなかったようだった。
 けれど、どうやらチサが眠っている間には一度戻っていたらしい。
 シッカリついた首筋の歯型が、その証だ。
 困惑しきりのチサに、侍従のリザが目を見開いて、楽しそうに言った。
「これは……侯爵らしいというか。なんていうか……また、あからさまな 所有印 ですね」
「しょゆう、いん?」
 とは、ソレは、ナニ??
 意味が理解できず、チサは首を傾げた。
「ええ、痕を残すなんて子供染みたことをなさるのは、よほどチサ様に構ってほしいんでしょう? 貴女を起こせなくてジリジリなさる彼〔か〕の御姿が目に浮かびます」
「……そう、なの?」
 目に浮かぶと言われて想像してみるけれど、チサには まったく 思い浮かばなかった。これが、長年付き従っているという侍従の彼女と、俄か花嫁の差だろうか? なんだか悔しい。
「でも、まあ。その印はあまり人目に触れるのはよろしくありませんし、バンソーコーでも貼って隠しちゃいましょう」
 聞き慣れない単語が出てきた。
「バンソーコー?」
「コレです。怪我したトコロに貼って悪化するのを防ぐテープです」
「ふーん。そうなのね、初めて見たわ」
「便利ですよ? 少しお持ちになりますか? チサ様」
「そうね、欲しいわ」
 どちらかというと動き回ることの多いチサはコクリと頷いて、リザから数枚譲ってもらった。貼る前にはキチンと汚れを落として消毒してください、と注意をされて神妙に頷くと、丁寧に布に包んでドレスのポケットに入れた。

 それから二、三日侯爵の姿をチサは垣間見る程度にしか見ることができなかった。
 どうやら、結婚の儀式に際してかなり仕事を調整しなければならないらしく、皺寄せに詰め込まれたのだとかなんだとか、リザがどこか申し訳なさそうに告げた。
 その忙殺の根源に彼女の兄が関与しているのは明白で、彼女もそれを隠そうとはしない。
 なにしろ、「大人げない」と最初から教えてくれていたのだ。
「どうぞ、しばらく兄の嫌がらせにお付き合いください。個人的に満足すれば仕事はしますから……あれでも有能なんです」
「はぁ……」
 やっぱり嫌がらせなのか、と納得すれば、侯爵と触れ合っていない時間が妙に寂しく感じられ、彼〔か〕の温もりが恋しくなってきた。もちろん、寝ている間に彼はやってきて痕跡を残してはいるけれど、ここ数日は朝の挨拶さえ交わしていないのだ。
 相手が一方的なら、こちらも多少一方的に行動を起こしても許されるのではないか?
 そう、たとえば後をつけるとか……仕事の様子を覗くとか……してみたい。
 おずおずと男装の美しい侍従に訊いてみれば、彼女は微笑んで「いいんじゃないですか」と頷いてくれた。
 改まったように頭を下げられ、ビックリする。
「侯爵をよろしくお願いします、チサ様」
「! うぇ、あ……はい」
 どうしてよろしくお願いされたのかよく分からないまま、チサは請け負って頬を赤く染めたのだった。

  >>>続きます。

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