未完成近隣系図。-近隣系図は変化する-

　「未完成近隣系図」最終話です。
　その後の話は今のところ考えていません。が、個人的にはご都合主義上等の展開が望ましい……などと思っています。
　現実的なことを考えると難しいとしても、物語の中くらいにはそういう甘い展開があってもいいんじゃないか？　と(^^ゞ
　少しでも楽しんでいただければ、嬉しいです。
　ブログにある拍手のポッチを押してくださってる方、ありがとうございます。
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　これからも、是非よろしくお願いします。

　以下、「未完成近隣系図」近隣系図は変化する。
　イチャイチャするカップルにご注意ください。
　セキララ発言、およびR15程度のラブ展開あります。

――　未完成近隣系図　～近隣系図は変化する～　――

　栗石家にやってきた春日真〔かすが　しん〕と志野原愛美〔しのはら　いつみ〕に美晴が無遠慮に「はぁっ？！」と呆れた声を上げた。
　対してニコニコ顔の愛美は終始ご機嫌に真にくっついている。
（心配したあたしが馬鹿だった！）
　と、美晴は呆然と眺めるしかない。
　昨日のあの深刻そうな雰囲気はどこにいったんだ？！　こののほほん娘っ。
　ペシッ、つい手が動いて暢気そうな頭を叩く。
「美晴ちゃん、何するの？　痛いよぅ」
「あ。しまった……イラッとして」
　ジッ、と自分の手のひらを見て心を落ち着けようと努力する。しかしである。「入籍してきた。春日愛美になりました（はぁと）」って報告されて、平常心でいられるだろうか？
　いや、ない。ぜってー、ナイッ。
「春日、ほんっとーにコイツでいいのか？　あたしなら絶対しない。人騒がせな変人だし、女子力低いし、可愛い子他にもいるだろ、世の中に」
　ああ、なんか言っていて自分に返ってくるなぁ。この言葉。
「いいんだよ、惚れた弱みってヤツ？　こうなると愛美以外じゃ物足りないっていうか、可愛い子はいるだろうけど愛美ほどは好きになれないと思うし」
「し、真ちゃん！」
　うるうると感極まった彼女がギュッと彼の胸に抱きつく。
　美晴の目の前の暑苦しさが倍になった。
「がんばる。わたし、頑張るからっ！　真ちゃんの素敵ＤＮＡはわたしが 必ず 残してみせるからねっ！！」
「………」
　どういう決意なんだ、それは？
　眉を顰めた美晴が真の方をうかがえば、彼は困った顔をしながら抱きつく彼女をとても優しく見つめている。背中をポンポンと叩いて、さする仕草も甘い。
「あー、はいはい。期待してる」
　口から出る言葉は、相も変わらずぶっきらぼうではあるのだが。
（ふーん、ラブラブじゃん。いつの間にか幸せそうに纏まっちゃって、いいんじゃねーの？）
　と、ほんの少し羨ましく思う。
　べ、べつに公然と（誰かと）ベタベタしたいワケじゃねーけどなっ！



　そのあと、愛美は「仕込み……ううん、まずは相談！　婦人科の先生に相談しなくちゃ！！」と呟いて（これが結構大きな声で）、美晴の家から去っていった。引っ張られる格好の真はいい迷惑だったろう。
「ああ、じゃあそのあと俺のところに来たんだな」
　と、帰宅した要が義妹の話（という名の愚痴）に相槌を打った。
「なに、それ。あいつらに会ったの？」
「うん、相談された。子供を授かるにはどうしたらいいかって……とりあえず、多めに仕込んだらいいんじゃないかな？　って適当に答えたらやる気満々で帰って行ったよ。主に志野原さん改め春日の奥さんが」
　可笑しそうにくすくすと笑う義兄に美晴はゲンナリとなる。
「産婦人科医じゃねぇークセに」
「確かに専門外だけど、相談くらい乗るよ。彼女、生理不順らしいから出来にくい要素は多いけど何事もやってみないと分からないからね。案外、ポロッと出来ちゃうかもしれないし」
　ポロッとって、ポロッとって……軽い。
「……そんなモンか？」
「なに、心配？」
「！　べ、べつにっ」
「素直じゃないトコも可愛いよ。欲を言えば俺のこともそれくらい関心持って見てもらえると嬉しいんだけど……少し、妬けるなー」
「げぇぇぇ！」
　背後から抱きしめられ、美晴は色気も何もなく（いつものことだよ！　悪かったなっ）呻いた。耳まで赤くなる。
　はむっ、と耳朶を食まれてジタバタする。ナニをするっ？！
「か、要！　はなせっ」
「まあ、まあ。一緒にお風呂に入ろう。子作りはまだしないけど、練習はしようね」
「なっ、なっ……恥ずかしいこと、言うなっ！」
　浴室の扉まで連行されて、抵抗むなしく中に連れ込まれる。
　子作りしない、とかのたまっているワリに要は最近避妊にルーズだ（一応、中に出しはしないし、安全日以外では挿入も極力避けているらしい）。浴室で全裸、タイル張りの壁に背中を押しつけられ立ったまま挿入……繋がるとキスをする。
　ちう、と比較的浅い口付けのあと「プロポーズまで待ってて」と言われた。

（ちょ、ちょっっっと待てや！　そういうことを こういう 状況で言うんじゃねぇっ！！）

　　>>>おわり。