続・番いの帰郷についていく。(1)

　明日から十月です。
　って、コトで慌てて「番いの帰郷～」の続きを投下します。
　前のブログで九月中とかのたまっていたので……どんだけ怠け癖がついてるんだと……うん、自分にコンコンと諭したいところですが、なかなか思うように集中力が続きません。
　半年かけてちまちま書いてきた話をちまちま投下します。大体、三回くらいで終わります。そのあと、おまけの小話が一、二個あるかな～？
　現在、そのおまけの小話で手が止まっているので未定ですが(^^ゞ

　近況は特にないのですが。
　先日ブログで報告したとおり、近々HPアドレスの表記変更の告知のため、サイトの更新をします。サイトの活動も縮小していく方向なので、作品の公開も「小説家になろう」さまへ移していく予定です。過去の作品を移動させるかは……私の気力と要相談(苦笑)。
　過去の文章ほど気力を削ぐものはないと思うのですが、どうでしょう？　熱意だけは無駄にダダ漏れなので、若いっていいなあ(遠い目)と生温かく見守っちゃう自分もいる！　いやっ、たぶん、今の作品にはない良い点も多いハズです。
　そう思わないとやっていけません^^;

　以下、「続・番いの帰郷についていく」1。
　ほぼ小動物扱いの彼ですが、覚えてますか？　間が空きすぎて申し訳ないっ。m(_ _)m

――　続・番いの帰郷についていく。(1)　――

　曲がり角でドン！　というシチュエーションがあるというのなら、木陰からドン！　もまあ かなり よくある話――かも、しれない。


　シエンは番いの生家という城で、散策という名のマーキング行動をしていた。元来、彼の種族はテリトリーを基軸に行動するタイプで、見知らぬ土地では落ち着かない性質を有している。番いに満足な奉仕もできず、自分のテリトリーではない場所でジッとしているのは精神衛生上よろしくない。
　与えられた部屋で一人（エリルは存外に多忙で、朝から出ている。寂しい……）悶々としていたら、シエンの監視役だというキリエ侯爵の番いがやってきて「城の中庭には食べれる木の実がある」と喋っていた。
　その手には、シエンの興味をひこうとしてか赤い木の実がのっていて、「食べる？」と訊いてくる。
　ふるふると首を振る彼に、残念そうに息を吐くと彼女はそれを持ち帰った。けれど、シエンは それ に興味がなかったワケではなく、親しくもない相手から食べ物を与えられることに抵抗があっただけである。
　彼の持つ常識として、「餌付け」は求愛行動の一つである。
　エリルから与えられるものは享受できるが、他の誰からも受け取ろうとは考えない。二・三年程度なら何も口に入れずに生きていられるのが、シエンの種族だ。

（これだ……）

　中庭を散策して目当ての木の実を見つけたシエンは、目を輝かせて鼻をヒクヒクさせた。
　毒の匂いはしない（シエンの種族なら多少の毒でも平気だが）、少し酸味の強い香りと熟した甘みを感じた。
　手を伸ばして届く一番採りやすい場所の実を手にして、ぱくりと口にする。
　予想した通りの酸味と甘みが広がって、深く被ったフードの下で口元を綻ばせた。その時――。
　ガサガサと茂みの奥から飛び出してきた人影が、ドンとシエンにぶつかった。ハッと顔を上げて目を見開くと、自分の突っ走ってきた方向を振り返る。
　耳が赤い。
「こ、来ないでくださいっ！」
　ガサガサとやってきたフェロモン王子（僕、この人キライ！）は、シエンを見ると（おやおや）とでも言うように片眉をわずかに上げる。
「シエンさま、少しお話がありますの。お付き合いくださいませね、貴方は来ないで！」
　婚約者をキッと睨み、ぐいっとシエンの二の腕を掴んだ。
（　え？　）
　なんだかよく分からないうちに興奮したリリカに引っ張られる。
「ああ、もうヤダ。あのエロ王子……っ」
　そんな彼女の呟きに、「離して」と言いたくて……けれどモゴモゴしながらついていくしかなかった。ううっ、帰りたい帰りたい帰りたい。エリル様……抱きしめたい。本当は「抱きたい」んだけど。けどっ！！


　　>>>続きます。