背徳・番外。山辺志穂-たとえれば「彼女」だからの考察2

　「背徳・番外」下向き彼女の受験ネタの後編です。
　不完全な感じですが、次回彼視点とその後で多少消化の予定です。

　さて、拍手（←ブログのではなく、サイトの方の）のお礼画面に置いてあるお話が延々と放置状態なので、どうしたものかと考え中です。
　とりあえず、下げて……需要は少なそうだけど「ポポロクロイス」の二次小説などに変えてみようかな？　とか姑息なことを目論んでます。
　「スーパーガール」も一応、最後まで考えてるんだけどねえ。私の食指が鈍くなっててなかなか動かないんですよ。
　書いてみたら一気に書けるか、賭けですね。

　以下、「背徳の姫君・番外」たとえれば「彼女」だからの考察（後編）。
　短い。前後編にする意味はなかった気もしてきました。
　ま、いっか。

――　背徳の姫君。番外～山辺志穂の場合‐たとえれば「彼女」だからの考察2～　――

　それから、三月〔みつき〕が経った卒業間近の二月。

　早々に志望校に合格を果たした隣人の男の子とは違って、要領の悪い女の子である志穂は受験生として必死の追いこみの最中だった。
　休み時間も全部勉強。委員長である広之のマンツーマンだから、周囲の目は憐みとかなりの羨みに彩られている。
　志穂も必死なので、あまり落ち込みはしなかったけれど……突き刺さるような眼差しに気づくこともある。
（佐々宮さんだ……）
　その顔を見つけて、次に目の前の席に座って家庭教師よろしく険しい顔で志穂のペン先を見つめる彼を見て、ノートに目を落とす。
「志穂、どうかしたか？」
「え？　ううん、べつに。受験、頑張ろうと思って」
　シャーペンを握る手に力を込める。
　片想いをしている彼女たちに比べれば、自分はどれほど恵まれているのだろう？
　時々、逃げ出したくなることもあるけれど……耐えなければ贅沢だ。
（合格したから認められる、とは思ってないけど……それでも、少しでも、印象をよくしたいな）
「いい心掛けだけど――」
　俯く頭上から響いた声は優しい。けれども、ほんの少し苛立って聞こえた。
　どうして？　と不思議に思う志穂が顔を上げれば、広之は口だけで微笑んでいた。
「なーんかムカつくな」
　低い鼻の頭に触れて、上向きに押される。
「まあ、早く合格通知貰ってよ？　いま我慢してる分、倍返しにするからね」
　ニヤリ、と笑う広之に志穂は真っ赤になって、そんな自分の反応に恥ずかしくなる。

（そ、そういう 意味 じゃないよね？　いくら……受験が終わるまで しない ってクリスマスに 約束 したとしても）

　鼻の頭を手のひらでおさえて、顔も覆う。
　からかうみたいに笑う広之を上目遣いで見上げてみたけれど、彼の真意を理解はできなかった。

　　　>>>おわり。