背徳・番外。鳴海広之-たとえれば「彼女」だからの考察

　「背徳・番外」隣の委員長視点の受験ネタです。
　下向き彼女よりも客観的な感じでしょうか。このあと、おまけがあってソチラの方でさらにハッキリします。
　まあ、意外性はないかな？　と思います。

　サイトの更新は、まだ手を付けれておりませんが……今週～来週の間には、と意気込みだけは十分です。
　「天気予報士」の話と、拍手お礼ですね。
　話の執筆は、「天気予報士」と「いち にの さん」のカップルの競演を目標にしてます。視点は、「天気予報士」の和美さんでしょうけど。
　感触を見て、「いち にの さん」のニノ視点も書いてみたいかな～と思っていますが、まだ未定です。

　以下、「背徳の姫君・番外」たとえれば「彼女」だからの考察。
　鳴海広之視点です。
　進学が決まって逆にイライラしてそうな、優等生の話（←ん？）。

――　背徳の姫君。番外～鳴海広之の場合‐たとえれば「彼女」だからの考察～　――

　決して、欲求不満ではないと思いたい。
　けれど……無性にイライラするのは仕方がない。
　二人で決めたこととはいえ、鳴海広之〔なるみ　ひろゆき〕には拷問だった。受験が終わるまでの彼女との禁欲生活、学生らしいと言えば確かに そう ではあるけれど山辺志穂〔やまべ　しほ〕に勉強を教えながらの それ は褒められてもいいだろう。

「佐々宮さん、ってね……鳴海くんのこと、好き、なのかなあ？」

　そんな頃に訊かれた彼女の問いに、目が点になる。
「　はぁ？　」
「だって、時々睨まれるんだよ？　わたしのこと、嫌ってるんだろうな……と、思って」
　シュン、となった志穂に心底広之は呆れた。
「おまえ、そんな暢気でいいの？　まだ受験残ってるクセに」
「うっ、わ、わかってるもん！」
「わかってねぇよ。そんなこと考える時間があるなら勉強しろよ、バカ」
「そ、そんなことじゃ、ないもん。重要なことなのに……」
　見当違いも甚だしい、と広之は呻く彼女にため息をつく。
（佐々宮菜摘〔ささみや　なつみ〕が俺を好き、だって？　有り得ない）
　どうやったら、そんな 盛大な 勘違いをするのだろう？
　睨んでる、ってどういう解釈だよ？
（……俺を睨んでる、ことは多いけどな）
　少し佐々宮に同情するものの、あえて誤解を解くほどお人好しでもない。真実を知った時、志穂は喜ぶだろうか、それとも驚く？
　どちらにしても、広之にとっては面白くはないに違いないが……だから、決して欲求不満だからではない。
　（俺って、こんなに心狭かったっけ？）と思わなくはないけれど。


　　　　　***　***


「　どうかしたか？　」

　ぼーっとした彼女の様子に問えば、「受験、頑張ろうと思って」と拳に力を込める。
　もちろん、それはいい心掛けだと認めよう。
　しかし、それは人の目（特に佐々宮の目）を気にしての 決意 だと知っているから、気に食わない。
　どうせ考えるなら、広之と同じことを考えてくれればいいのに。
（俺はこんなに 欲求不満 なのに、どうして志穂は普通なんだ？　俺としたいとか、想像すらしないのか？　……ムカつくな）
「まあ、早く合格通知貰ってよ？　いま我慢してる分、倍返しにするからね」
　きょとん、とした彼女の鼻の頭を突いて、ニヤリと笑う。
　真っ赤になった志穂はおそらく想像をしたのだろう、手のひらで顔を隠して広之をうかがった。
（ほ、ホンキ？）
　とでも言いたげな表情にほんの少し広之は機嫌を回復させて、声を立てて笑ってやった。


　（本気だよ）の気持ちをこめて――たぶん、伝わらないだろうけどね。

　　>>>おわり。