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裏表一体、日々のこと。
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 「番いの帰郷についていく」第二話です。
 ちまちま続きを書いているところですが……いまだにこの話の落としどころが見えていません。
 いつものこと、と言えばそうなんですけども(遠い目)。
 とりあえず、一波乱くらいは作らないとダメだよなあ?←何事もなく、帰郷を終えるプランもあったりして!

 以下、「番いの帰郷についていく」2。
 ハロウィーンが通り過ぎていきました。なので、魔族率は低いです。







―― 番いの帰郷についていく。(2) ――

「リリカです」

 城の応接の間で改めて礼を象った彼女は、そう名乗った。
「妾の父の妹が嫁いだジャハルート公爵の令嬢じゃ。いわゆる従姉妹かの」
「あら、いやだ。おねえさまったら他人行儀ですこと……わたしは本当の姉と慕っていますのに……」
「相変わらずじゃの。虫酸が走るほど」
 妙な顔つきでエリルが笑うと、にっこり微笑んでリリカも応えた。
「こう見えて、人見知りなんですもの」
 と、とてもそうは思えない令嬢らしい上品な仕草で首を傾けてみせた。

 さて、その従姉妹の公爵令嬢がどうしてこの国の城に居るのかと言うと、近々隣国に嫁ぐことになっていて、そのお相手と挨拶に来ているからだそうだ。
 もちろん偶然ではなく、エリルが里帰りするのに合わせたのである。
「 ようやく顔を見せたか、この親不孝者! 」
 娘を一喝した王は、しかし怒りを継続させはしなかった。
 諦め半分、変わり者の娘が選んだという伴侶に対する興味半分でチラリとその傍らで息を潜めているシエンに黒曜の目を向けた。
 フードのついた外套を愛用……というよりは、拠りどころにしている彼はフード部分を後ろに退けた(彼にしてみれば十分に譲歩している)心許ない粗末な鎧で番いの両親に対峙していた。
 外見的な手心は(謁見に際して)加えていないため、魔族の色そのものの赤い目と人とも魔物ともつかない純白の髪が映し出されている。

「なるほど」
「あら、まあ」

 王と王妃がそれぞれに口にして、「可愛いのぅ(わぁ)」と感嘆した。
「納得したかの?」
「うむ。おまえの好きそうな……ああ、こういうのが良かったのだなとは合点した」
「ええ、ええ。この子、魔物なの? 貴女よりもずっと素直そうよ! 素晴らしいわっ!!」
 何が素晴らしいのかまったく理解が及ばないが、シエンは耐えきれずにフードに手を伸ばして目深になるまで引っ張った。
 エリルがそんな彼の前に出て、「貴女には貸しませんから、御母様」とひやりとした声音で警告した。
「酷いわ、独り占めなんて」
「酷くない。妾の伴侶は妾だけのものじゃ、貴女に貸すくらいなら二人で寝室に籠もるぞ馬鹿者」
「母に向かってなんてこと! でも、その子と貴女の子供なんて……すっごく興味深いわー」
 見てみたい、と目を輝かせる王妃はやはりエリルの血の繋がった母親なのだろうと思わせた。
 とても変わっている。人として。

「 頑張ります 」

 警戒しながらも、その期待に関してはシエンも応えるのにやぶさかではないのでコクリと小さく頷いておいた。

  >>>続きます。

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