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裏表一体、日々のこと。
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 「不完全近隣系図」の第十八回です。
 話の解説は抜きにして、まずは11日にあった東北地方の太平洋沖合を震源として甚大な被害に遭われた被災者の皆様に、お見舞いを申し上げます。

 このような災害の非常時にこんなゆるい、何の救いにもならない話を書いていていいのかと自問自答するところですが……少しでも楽しんでいただけたら、とも思うわけで……とりあえず、節電を心掛けながら少しPCの使用を控えつつ連載していくことにしました。
 11日のあの時間私は仕事場の事務所にいて、荷物を運んでいるところだったのですが、座っている人たちが「揺れてる」と言って、立ち止まると確かに揺れていて……しかも、長い。これは、どこかでものすごい地震が起きていると不安になったのですが、まさか東北地方とは思わず……だって、私は大阪なんですよ? 揺れが届くなんてどんだけ大きい地震なんですか、と怖くなりました。
 たぶん、人間一人が何をしてもこの大きな災害にはなんの役にも立たないだろうと思いますが、たくさんの人が協力すれば助かる命もあるだろう、と信じたいです。
 絶望的な状況でも、少しずついい環境に進んでいければ、と思います。

 PCの使用を控えるため、少し連載の速度はゆっくりめになると思いますが、今後ともよろしくお願いします!

 以下、「不完全近隣系図」の水面(前編)です。
 栗石兄妹の美晴視点の、二月のある日。
 そうだったんですか? ええ、そうだったんですよ。
 ちなみに、美晴は三月生まれです。



―― 不完全近隣系図 ~水面(前編)~ ――

 そういえば、と栗石美晴〔くりいし みはる〕は目を瞠った。

 目の前に転がった可愛く包装された箱の数々に、机の向こうに並ぶ女の子の集団の気配をヒシヒシと感じた。
 もう、そんな時期なのか……と近づく受験に焦りにも似た感覚を覚え、彼女たちみたいな余裕が欲しいと問題集に苦戦を強いられるわが身を嘆く。
 顔を上げ、美晴は自分がいかに余裕がないかという表情を隠さなかった。
「なんだよ、邪魔すんなよ!」
 勉強中なんだけど? と睨む。
「仕方ないでしょ? 栗石くんが妹からしか受け取らないって言うんだから。渡してよ!」
 美晴の机まで来た時点で、彼女たちの肝は据わっている。口の悪い美晴の暴言など最初から見越しての行動だから下手には出ないで最初から喧嘩腰だ。
 派手な見た目とその言動から、自分によほど自信があるのだろう。要に受け取ってもらえなかった時点でかなり機嫌を損ねたらしく、美晴のところに来たのは半分意地なのかもしれない。
「はぁあ? なんで、あたし? 体よく断られたって気づけよっ」
「なっ、失礼ね! いいじゃない、簡単でしょ!!」
 渡してよね、と苛立った目で美晴に命じて、彼女たちはスカートを翻す。
 残されたのはチョコレートと思しき色とりどりの箱。
「……どうすんだよ、コレ?」
 自分の机にのったそれを眺め、美晴はうんざりとした。
 毎年、チラホラと美晴に要への仲介を頼む輩はいる。けれど、今年みたいに大量に来たのは初めてだ。
 やはり、卒業が近いせいだろうか?
 最後のチャンスだと考えれば、必死になるのも頷ける……か?
 彼女たちの高飛車な態度にゴミ箱に捨てたい気持ちはあるけれど、美晴だって鬼ではない。
 仕方ない、渡してやるか。
「……チッ、なんであたしが」
 要と他の女の子との橋渡しをしなくてはならないのか、と悪態をつく。しかし、それと同時に自分にはそんな資格がないとも気づいてしまった。

「今日、バレンタインデーかよ。気づかなかった……」

 ひとつのことに必死になると他のことはおざなり、この頭の許容量の狭さはどうにかしたかった。



「 要 」

 家に帰るなり、ドサッと色とりどりの箱の入った紙袋を美晴は兄の前に置いた。紙袋は美晴の現状を見るに見かねた親切なクラスメートがくれたものだ。それに、一応学校に「そういうモノ」を持ってくるのは違反なので目立ってはいけない。
 妹を見た要は、知っているクセに「なに、コレ?」と問う。
「おまえが言ったんだろ! あたしからなら受け取るって、大変だったんだぞっ」
 と、恨み節を吐けば、彼はおかしそうに首を傾げた。
「あー、アレ。あの子たち、そう解釈したんだ?」
「そーだよ! あたしの名前を出すの、めんどくせぇからヤメロ!!」
「うーん、そうは言ってもねぇ……俺としては一番わかりやすく伝えてるつもりなんだけど」
「はぁあ?」
 よくわからないと睨めば、要は微笑んだ。
「で。美晴からはないの?」
 グッと言葉を詰まらせて、美晴は「ねぇよ」と低く唸る。
「俺の誕生日なのに?」
「ねぇっ!」
 くわっと吠えると美晴は顔を背けた。要の誕生日がバレンタインデーだという事実は、知られていない。美晴との血の繋がりを疑われる要因になるから、あえて隠しているのだ。

「まぁ、いいけどね」

  >>>後編に続きます。

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無題
ほんとに申し訳ないと罪悪感を抱くほどに、影響のない場所に住んでいます(苦笑)うちが天災にあうのは渇水による断水くらい。すぐ近くに県庁・市役所がある街のど真ん中なので、うちが停電になるなら県内の最悪な状況の時でしょう。近日中に募金をしに行こうと思ってます。今は祈る気持ちと当たり前ながら節電を心がけることと小額でも募金でしょうか。仕事に学校にと日常生活を送っていることがとてもありがたく、同じ国の中で家族を亡くし一人ぼっちになったと涙にくれる被災地の方、どんな言葉をおくればいいのかわかりません。海外からよせられる「日本の民度」の高さへの賛辞にこの国に生まれてよかったと感じます。GNPの数字とは引き換えにならないです。様々な国からの支援を受けて一人でも助かる命が増えますように。福島に知人が二人いるのですが、今の状況で連絡を取ることは迷惑なだけと控えています。涙を希望に替えることが早くできますようにと願っております。
mimana 2011/03/14(Mon)09:10:37 編集
そうですか。
お元気そうで、良かったです。ホントにあの情景を見ていると、影響のなかったことを素直に喜べないですね。たくさんの犠牲者が出ていますし、まだまだ不安な要素はありますし……早く、暮らしやすくなればいいのですが。
募金、今はそれしか協力できることはないので、私も少しですが入れてきました。役に立てればいいですね!
【2011/03/16 22:32】
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