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裏表一体、日々のこと。
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 「不完全近隣系図」の第十七回です。
 天然のほほん娘、志野原愛美視点です。
 この子の視点でモノを書く時は……なぜか、自分が二重人格になったような、妙な感覚にとらわれます。
 大丈夫なんですかね?←いや……訊かれても、困るかと思いますが。

 そういや、うちにアナログだった録画機器がデジタルになりました。
 ソニーのブルーレイです。篠原涼子がCMやってるヤツです。
 VHSがダビングできる、はできるらしいですが、ちょっと時間がかかるっぽい。まあ、いいけど。
 結局、ダビングせずに諦めてしまいそうですが、予想の範疇なのでガッカリはしてません。何せ、VHSに残ってるのはアニメばかりだし(苦笑)。
 人間、諦めが肝心です。何かついでがあったらダビングしてもいいけど(一応、VHSビデオレコーダーも置いてあるので)。
 早速、『相棒』と『コナン(←アニメかよ!)』の予約をしてちゃんと動いてました。記録メディアがイマイチよく分かってないですが、そのへんは追々克服しようと思います。

 以下、「不完全近隣系図」の平穏(後編)です。
 愛美視点、いろいろ伏線が張ってあるような気がします。でも、この伏線はあまり計算されたモノではないので、どう生かされるのかは謎です。
 放置したらスミマセン。




―― 不完全近隣系図 ~平穏(後編)~ ――

 愛美は台所を通り過ぎて、リビングに入る寝起きの真を不思議そうに眺めた。
(いま、真ちゃん……なんか すっごく 物言いたそうな顔してなかった?)
 毎年、相も変わらずチョコレートだけ、というのがダメなのだろうか。それとも、そろそろチョコレートではなくて別のものが欲しいとか……例えば、チョコレートケーキとか?
「ううっ、ムリです。材料が揃えられません……」
 親から小遣いらしい小遣いを貰っていない愛美は、万年金欠少女だ。
 ヨヨヨ、と肩を落として嘆く愛美を、リビングのソファに座った彼が変なものでも見るように眉をひそめる。
「志野?」
「ごめんね、真ちゃん……今年はコレで我慢して欲しいな」
「はあ? 何を?」
「ううん」
 首を振って決意する。来年は高校生になっている、合法的にバイトができるじゃないか! と心の中で拳を握った。
 材料を揃えて、来年は喜んでもらえるように頑張るよ?
「こっちのハナシだよ? 気にしないで」
「ふーん」
 訝しそうに愛美を眺め、真は追及しなかった。彼女の思考が浮世離れしているのは、環境のせいもあるけれど生来の性格もある。つまりはなかなか治らないし、自覚も薄い。
 どことなく会話が噛みあっていないと彼は気づいているのに、彼女がまったく気づいていないのと相まって二人の間には成立しない会話の方が多い。
 日常、と言ってもいい。
「あ! 真ちゃん。今日、久しぶりにお姉さんに会ったよ? 相変わらず天使みたいだねっフワフワしてて可愛かったぁ」
「んー」
 それでも、会話を続けられるのは真が無視をしないからだ――と、愛美は思っている。
 大抵、話しているのは 彼女 で聞いているのが 彼 だからだ。
(真ちゃんてば、ホントに優しいよね……見た目も素敵だし、見惚れちゃうなぁ)
 ソファに座る背中にうっとりしながら愛美は続けた。
「真ちゃんはさ、見たことあるんだよね? お姉さんの付き合ってる人」
「あー、まあね」
「どんな人? 今日もデートなんだ♪ とか嬉しそうに言ってたよ?」
 見るからにウキウキした足取りで「いってきまーす!」と外に出て行った春日唯子〔かすが ゆいこ〕は、同性の愛美から見ても華やかで輝いて見えた。
 グッと女性らしくなった、と思う。
 もともと綺麗で可愛い人ではあったけれど、少し前までは少女という感じが抜けてなくて……どちらかというと、男嫌い? の気があったように思う。
「んー? いい人だよ。姉ちゃんのこと、よく分かってるし……顔もいいし、見た目は姉ちゃんと張るくらい天使っぽいかな。しかも上級の?」

「……なんか、神々しそうだね」

 想像して、愛美は想像しきれなかった。上級の天使、てどんなのなの?
 頭の上に輪っかがある、とか。手に鞭を持ってるとか?
 ちょっと、怖い。
「いや、おまえの想像とは ちがう から。ゼッタイ。それより、手、動かせよ」
 ハッとして、愛美はヘラを動かす。
 今回は、生クリームを入れて生チョコもどきだ。ココアパウダー、は本物のココアの粉を使う。
 予算の関係上、自分の家にあるもので代用しただけだけど。
 タッパーにクッキングペーパーを敷いて、流しこみ冷蔵庫で冷やし固める。
 パタン、と冷蔵庫の扉を静かに閉めて、リビングの方へ向き直る。
「ねぇねぇ、真ちゃん。わたしもその人に会いたいなぁ」
 愛美は、春日家の人間がもれなく好きだ。流石、最愛の 彼 の家族だと思う。
 赤の他人で押しかけ女房みたいな自分を受け入れ、家族みたいに優しくしてくれる。愛美の家庭環境が複雑だからと察して、快く台所を貸してくれたのも彼の家族が初めてだった。
 その春日家の長女である唯子の好きになった男性〔ひと〕という意味ではもちろんのこと、美少女で有名な彼女と同じくらいの天使的な外見(しかも、上級!)というのも気になるし、なにより真が「いい人」と評したことが愛美には重要だった。

「だって、唯子さんの 彼 ってことは後々は真ちゃんの 義理のお兄さん になるかもしれないんだよ?」

 ご挨拶すべきでしょう!
 彼の身内とはできるだけ、仲良くしときたいもんねっ。


 愛美のキラキラとした表情に変な顔をした真は、「姉さんに訊いとく」とだけ言って、一応、頷いてくれた。

  >>>おわり。

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無題
会話ってポンポン行きかうものだけが有効というわけではないんですよね。表面上成立していても内心は別の会話があるような怖い(笑)おばさんたちのものは無効とも言える(言いたい 爆)うちの息子がそういうところがあるので私はうこいうのが得意、元々妄想癖が幸いしてか言葉の先を読むからでしょうか(笑)友だちとか仕事先で大丈夫なのか?と心配してきましたが、結局人間関係は要領の良さよりも、人柄の誠実さが伝わるかどうかなんですねぇ。色々なところで出会った人たちを味方につけてる。「この間息子さんが」と言われて親は「へ?」と焦ることが度々で。弱味を強味に変えることができるなんて、庇っても庇われることのない性格の私は思ってもいなかったです。真くんがこの会話の成立しない愛美ちゃんに、実は自分が救われているといつか気付けるといいなぁ。
mimana 2011/03/11(Fri)08:32:26 編集
人づきあいは…
難しいですよね。会話があっても、それが本心のモノなのかどうかが重要ですし、女性の中の人間関係は確かに心の読みあいとも言えます(遠い目)。あんまり深読みをするとしんどいので、上辺だけであえて見ないというのも大切かも(しかし、それは少し空しいですが)。
mimanaさんは、ご無事ですか? 何事もなければいいなと願っています。今回の地震は規模が大きく広範囲に及ぶので気が気じゃないですねえ。
【2011/03/13 22:50】
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