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裏表一体、日々のこと。
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 「不完全近隣系図」の第二十三回です。
 春日(弟)視点の合格発表のあのあとの話です。
 書いた順番からすると、愛美視点の次にこの春日(弟)視点があったのですが……並びを合わせた方がいいかと思ってあえて、この順番にしてみました。
 が、やはり書いた勢いを大切にするなら、合格発表の場面は続けて読んでもらったほうがいいかとも考えてしまいます。
 「小説家になろう」様では、書いた順番の通りに掲載する……かもしれません。現在、考え中です。

 ここ最近、ネット小説を読んで作者様のブログやらをのぞくと、チャリティ本という存在をよく目にします。ネットで創作をされている作家さまが小説や絵を提供して、それを売ったお金を震災の被災地に寄付するという仕組みらしいです。
 なるほど、そういう活動もあるのだなあとすごく感銘を受けました。
 だから、参加をするワケではないですが(←コラ!)。
 いや、したいのはヤマヤマですが……チャリティ本に参加されている作家さまは錚々たる方々なので、買って協力するのが一番かと思いました。
 私は、ネットの片隅でちょっと楽しく書くのが性に合ってますよ。
 なので、ブログで連載をします。
 「不完全」の続きは、とりあえず保留で(←え?)――中編程度の大人っぽいシチュエーションを予定してます。
 タイトルから決まった話なのでどんな展開になるかは不明です。が、ありがち展開かなあ? とラブとエッチは外せないでしょ? と(笑)。
 彼女よりも彼の性格に話の展開がかかっている、と言っても過言ではない! がんばれ、まだ名前も決まってないそこの彼!!

 以下、「不完全近隣系図」の境界です。
 あの合格発表のあとのアレコレ。
 さて、高校になったらこの二人はどう転ぶのでしょうか? たぶん、つかず離れず……こじれる、ことは阻止したい(願望)。



―― 不完全近隣系図 ~境界~ ――

 頬に、少し冷たくて柔らかな感触を感じた。

「――なっ! おまっ……なにして」
 志野原愛美〔しのはら いつみ〕の肩を掴んで引きはがし、春日真〔かすが しん〕は自分の頬を手の甲で拭う。けれど、打刻された熱はなかなか引かない。
 どころか、上がった。
 周囲のギャラリーには同じ学校のクラスメートも含まれていたせいで、口笛や囃し立てる声がやかましいほど耳に入った。
「ついにまとまるのかー? おまえら」
「つーか、どこまでイッてるんだー? じつは熟年じゃねーの!」
「言えてるーっ」
 などと勝手なことを騒ぎ立てるから、真は彼らを睨んで黙らせた。
「うるせーよ! 志野、来いっ」
「え? あれ……わたし、なんかした?」
 予想通りの彼女の反応に真は頭が痛くなり、高校生活の先が思いやられた。
「やったよ、やった。どでかいのを一発な! 入学前から俺たち公認かもよ?」
「公認?」
「恋人同士、ってこと。言っとくけど俺のせいじゃないぞ」
 男の頬にキスをする方が悪い。無自覚、だとは言え、収拾のしようがなかった。
 言い聞かせるように説明すると、愛美は真っ青になった。
「う、嘘! 真ちゃん、どうしょう……わたしっ、みんなに誤解だって言ってくるよ!!」
「無駄だよ、無駄。どんだけいたと思ってんの?」
「じゃあ、別れたってコトに……」
「付き合ってもねぇのに、どうやって別れるんだよ。余計ややこしいだろ」
「うー、だってぇ……真ちゃんに迷惑かけちゃ、そんなのヤダぁ!」
 うるっとなって、ふぇぇと愛美は泣き出した。
「ごめんね、真ちゃん。ごめんねぇ……」
「いいから。志野に迷惑かけられるのイヤなら、とっくに離れてるし」
「ひどいよぉ! はなれないもんっ」
 泣く愛美の頭を撫でて、真は彼女に謝られるほどには迷惑だと感じていなかった。半ば、愛美の予想外の行動から生まれた状況ではあるけれど、彼女がしなければ真がそういうふうに仕向けたかもしれない。
(まー、大胆だよな? 志野は)
 仕向けるにしても、まさかココまでの行動が出るとは思ってなかった。
「誤解させとけばいいよ。関係ないヤツにはさ」
「う、うん。でも……じゃあ、真ちゃんは言ってね?」
「んー、何を?」
 彼女は能天気ないつもの言動からは想像もつかない真剣な顔で、「好きな子ができたら、わたしに言ってね」と訴えた。

「わたし、ちゃんと誤解、解くから!」

「……ああ」
 あまりの真剣さに気圧され、真は頷いて――複雑な表情になる。
(こいつ、ホントに俺のこと好きなのか?)
 そういう好き、ではないのかもしれないと思ったことがある。
 付き合う、という選択肢が彼女の中にないのだから きっと そういうことなんだ。
 べつにそれでも 問題 はないけれど。
 じゃあ。
 この、胸のモヤモヤは……なんだ?
(独占欲? 冗談じゃないぞ。俺はそんなに心の狭い人間じゃないってーの!)
 真面目な顔で仰ぐ愛美の額に指をあて、ピンッと弾いた。
「イダッ!」
 額を押さえた彼女は先ほどとは違う涙目で彼を見て、恨みがましい呻き声を上げた。
「痛いよぉ、ひどいよぉ、真ちゃんなんで怒ってるの?」
 やっぱり誤解されるのイヤなんじゃないの? と首を傾げて訊くから、手を振った。
「怒ってねぇよ」
「じゃあ、なんでデコピン?」
 よほど痛かったのか、愛美は「痛い」を連呼する。
「……さぁ? なんで、だろうなぁ」
 真は自らも問うように冬の雪雲を仰いで、答えのない腹立たしさに白い息を吐いた。

  >>>おわり。

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