天気予報士な恋。序

　新しい連載のタイトルは安直に「天気予報士な恋」です。天気予報士と呼ぶべきか、気象予報士と呼ぶべきか……それが問題（←どっちでもええやん！）。
　なんとなく音は天気予報士がいいかと思ってそっちにしてみましたが、正確には気象予報士が一般的ですね。
　ヒネリはなく、かなり単純な話です。本筋は……ね。
　そのあとの後日談を続けると少しシリアスな場面も出てくる気がしますが、そこまで続けるのは今後のネタ次第でしょうか。
　この話、タイトルから入ったんだった！　と今、思い出しました。そうだった、そうだった。最初は「天気予報な恋」だったんだよなー。

　さて、今日で東日本大震災発生から一か月です。
　もう一か月、まだ一か月……どちらも感想としてはあると思うのですが、まだまだ復興までには時間もお金も我慢も必要そうですね。
　余震も多いようですし（関西在住なので地震速報でしか知らないのですが、今日も多かったですね）、阪神の時はどうだったかな？　と十数年前を思い出してみたり。いや、たぶん、あの時はそんなに多くなかったハズ！　本震はものすごく揺れたけど！！
　こういう時は、考えすぎず面白いこと、楽しいことを見つけて笑うコトだと思います。確か、昔アニメ名作劇場でポリアンナがそんなことやってたよ！　今はまだ先が見えないけれど、イメトレは重要かな～と思います。私も未来の自分をイメトレ……できれば、隠居したいな（←え？）。

　以下、「天気予報士な恋」の序-雨。
　雨に降られた散々な夜に、彼女が見たのは傘と……そこに立つ、年下の彼。

――　天気予報士な恋　～序-雨～　――

　その日、飯田和美〔いいだ　かずみ〕は散々だった。
　付き合って一年の年上彼氏には一番嫌いな言葉で別れを告げられ、悲しいやら腹立たしいやらで何とか終電に乗ったはいいけれど駅から出て気づけば雨に降られていた。
　しかも、どしゃ降りってどういうこと？
　駅から出た時から、少し小雨程度には振っていたけれど……気分的に傘をさす気にはなれなくて、鞄に忍ばせていた折り畳み傘は出さなかった。
「ああっ。もうっ！　アイツのせいで由良くんの天気予報も無駄になっちゃったじゃない。バカァ！！」
　ぐちゃぐちゃに濡れたパンプスでアスファルトの道を蹴り上げれば、派手な水しぶきができる。
　頭から足の先まで雨に濡れて、和美の胸のあたりまである髪もパーマがストレートになるくらいまで滴が滴っていた。唯一の救いは今の季節が「初夏」だということ。
　とはいえ、このまま濡れたままでは風邪をひくかもしれない。
　冷えてきた体を抱いて、足早に家路に急ぐ。
　一人暮らしのマンションの部屋だけれど、体を温めるくらいはできる。
　早く、熱いシャワーでも浴びなければ……彼氏と別れたからと、病気になるようなヤワな女にはなりたくない。
　別れ際の彼の言葉を思い出して、顔が強張る。
（どうして男って……）

「すみません、よろしいですか？」

　おずおずとした声に、和美は振り返る。
　傘をさした若い男性が立っている。
　街灯の明かりでわずかに見える印象だけれど、かなりの美形だ。なんとなく見覚えがあるけれど、どこで見たかは定かではない。
（誰？）
　と、眉根を寄せ、彼の傘ではないモノを持つ方の手を見てあっと思う。
「す、すみません！」
　それは、自分の履いていたハズのパンプスだった。

　　>>>続きます。