裏表一体、日々のこと。
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妙な胸騒ぎが奏江の正常な判断を邪魔している、ような気がした。
にっこりと笑う、静かな真広の微笑みがまるで誘っているようだった。けれど……一度、小さく頭を振って落ち着こうと自らを言い聞かせる。
「……真広? だよな? どうして、お前がここにいるのか……よく理解できないんだが」
奏江がなんとか冷静に言葉を選ぶと、真広が首を傾げた。
「お館さまに、お聞きになっていないんですか?」
「父上に? いや、話はしたが」
その内容が不愉快だったから、早々に席を辞し……詳しくは聞かなかった、というのが じつは 正しい。
奏江のそれを聞かずとも察したらしい真広は、少し困ったように若い主人を見上げて「仕方のない方ですね」と口にした。
彼のよくする説教の前触れだ、と奏江はうんざりして……眉をひそめた。
「なんだよ?」
「いえ。奏江さまを騙したようになって本当は謝らねばならないのですが……私〔わたくし〕は男ではありません。男として育てられ、男として奏江さまに仕えるよう命じられておりました」
まっすぐな瞳が、じっと奏江を見つめていた。
「私は、女人にございます」
「……ちょっと、待て」
と、奏江は頭を抱えたくなった。
確かに、そうだったらいいと思ったことは幾度もあった。邪な欲望を真広に感じたときなどは、特にそう強く願ったものだ。
「おまえが、オンナ?」
「はい。……お館さまからお話の件は、少しくらい我慢して最後まで聞いていただかないと」
「待て待て! じゃあ、何か? 今晩の相手、というのは……まさか」
「はい、私にございます。私は生娘にございますから……ちょうどよいと思われたのではないでしょうか?」
父上め!
奏江は拳をふるわせて、唇を噛んだ。
「奏江さま? 大丈夫ですか? その気にならないのでしたら触って確認していただいても……っ」
「真広! お前もお前だっ」
がしっ、と「彼女」の肩を掴んだ奏江は力任せに押し倒し、ハタと息を呑んだ。
「か、奏江さま?」
つい、布団に押し倒してしまった。
その現実に動揺して、本能と理性がせめぎ合う。
戸惑った真広が少し体を捩って、けれどもそれ以上の抵抗はせずに奏江を仰いだ。
「無防備すぎるんだよ……男が、その気にならないワケがないだろう」
と。
ほとんどの理性を失って、奏江は彼女を見下ろした。
>>>晴天の霹靂2。終了。
ギリギリのあたりで止めてみました。この次の場面は確実に暴走が入っていると思われます。
手探りで書いているので、当初の思惑とは少しずつ違っている箇所もありますが……結果オーライということで。
「3」はブログでは書けないかもしれません。
年末~年始にかけて、企画をしたいと思っている(一応)のでソチラに回すかもしれません。
そうなると、必然的にこの話の季節は冬ですね。しかも、年末……うーん、どっかに火鉢でも置いておかないと寒いかな?←何の話だ?
にっこりと笑う、静かな真広の微笑みがまるで誘っているようだった。けれど……一度、小さく頭を振って落ち着こうと自らを言い聞かせる。
「……真広? だよな? どうして、お前がここにいるのか……よく理解できないんだが」
奏江がなんとか冷静に言葉を選ぶと、真広が首を傾げた。
「お館さまに、お聞きになっていないんですか?」
「父上に? いや、話はしたが」
その内容が不愉快だったから、早々に席を辞し……詳しくは聞かなかった、というのが じつは 正しい。
奏江のそれを聞かずとも察したらしい真広は、少し困ったように若い主人を見上げて「仕方のない方ですね」と口にした。
彼のよくする説教の前触れだ、と奏江はうんざりして……眉をひそめた。
「なんだよ?」
「いえ。奏江さまを騙したようになって本当は謝らねばならないのですが……私〔わたくし〕は男ではありません。男として育てられ、男として奏江さまに仕えるよう命じられておりました」
まっすぐな瞳が、じっと奏江を見つめていた。
「私は、女人にございます」
「……ちょっと、待て」
と、奏江は頭を抱えたくなった。
確かに、そうだったらいいと思ったことは幾度もあった。邪な欲望を真広に感じたときなどは、特にそう強く願ったものだ。
「おまえが、オンナ?」
「はい。……お館さまからお話の件は、少しくらい我慢して最後まで聞いていただかないと」
「待て待て! じゃあ、何か? 今晩の相手、というのは……まさか」
「はい、私にございます。私は生娘にございますから……ちょうどよいと思われたのではないでしょうか?」
父上め!
奏江は拳をふるわせて、唇を噛んだ。
「奏江さま? 大丈夫ですか? その気にならないのでしたら触って確認していただいても……っ」
「真広! お前もお前だっ」
がしっ、と「彼女」の肩を掴んだ奏江は力任せに押し倒し、ハタと息を呑んだ。
「か、奏江さま?」
つい、布団に押し倒してしまった。
その現実に動揺して、本能と理性がせめぎ合う。
戸惑った真広が少し体を捩って、けれどもそれ以上の抵抗はせずに奏江を仰いだ。
「無防備すぎるんだよ……男が、その気にならないワケがないだろう」
と。
ほとんどの理性を失って、奏江は彼女を見下ろした。
>>>晴天の霹靂2。終了。
ギリギリのあたりで止めてみました。この次の場面は確実に暴走が入っていると思われます。
手探りで書いているので、当初の思惑とは少しずつ違っている箇所もありますが……結果オーライということで。
「3」はブログでは書けないかもしれません。
年末~年始にかけて、企画をしたいと思っている(一応)のでソチラに回すかもしれません。
そうなると、必然的にこの話の季節は冬ですね。しかも、年末……うーん、どっかに火鉢でも置いておかないと寒いかな?←何の話だ?
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無題
あちらの世界のお話にならないで私は嬉しいです。他の方々は期待していた?(笑)奏江さん、理性より本能が勝ってOKかも~(爆)敬語って言葉攻めですよね?自分にこんなツボがあるとは最近まで気付いてませんでした(笑)
ありがとうございます。
いつもコメントを残していただいてありがとうございます。あちらのお話になる予定はまったくありませんので、ご安心を。決してあちらのお話が嫌だというワケではありませんが……馴染みがないだけとも言う。
奏江の暴走に関しては、年末までに日の目をみたらいいなあ(他人事?)という感じです。言葉攻め、確かに(笑)。
私は個人的に主従関係が好きです。男(主)の女(従)です、女性の敬語も好きですが、主人の馬鹿丁寧な言葉遣いもいいですよね(←こらこら)。
恋愛に限らず、互いに信頼関係にある主従のやりとりっていうのを目指しています! この二人に出来るのか? は謎ですが。
奏江の暴走に関しては、年末までに日の目をみたらいいなあ(他人事?)という感じです。言葉攻め、確かに(笑)。
私は個人的に主従関係が好きです。男(主)の女(従)です、女性の敬語も好きですが、主人の馬鹿丁寧な言葉遣いもいいですよね(←こらこら)。
恋愛に限らず、互いに信頼関係にある主従のやりとりっていうのを目指しています! この二人に出来るのか? は謎ですが。
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