放課後小話―背徳の姫君―

　「背徳の姫君」生徒会長視点の放課後小話です。
　一応、次は書記殿視点の予定ですが……あるいは、彼女視点かも？
　むしろ、放課後小話というよりは「魔女の棲む家」の続き的な話として書きかえたいトコロです。
　「魔女の棲む家」は書記殿と彼女視点は出来ている（一応）のですが、生徒会長視点は考えあぐねているトコロなので(^^ゞ。
　こう、王子属性の生徒会長をどう扱うか？　という岐路に立たされている感じです。
　私の目標としている三角関係にもっていくには、この人の動向が一番重要ですからね。メインの二人は、どうにもならん……という意味合いもあります。

　まったく話は変わりますが。
　最近の関心事と言えば、野球だった（というか、一球団だった）というわたくしです。
　もうＣＳ〔クライマックスシリーズ〕が終わって、その球団も負けちゃったので、話題にしちゃえってコトで。
　その球団の監督さんが、私の昔から応援している監督さんだったのです。球団のフロントと今期が始まる前から一年契約とか言われてて……成績良かったら続投してくれるかしら？　とか思いながら、密かに応援していたのですが……やっぱり、辞めちゃうんですって。
　今じゃあ、あんまり見なくなった監督さんなだけに寂しいです。
　昔々、Ｙの球団で監督していた頃から見ていたのになあ……時の流れは無情ですね。
　来年、Ｒが日本一になったら監督さんの言葉を思い出して泣きそうです。今年はダメだっただけに。


　以下、「放課後小話」背徳の姫君・生徒会長視点でどうぞ♪

――　放課後小話～背徳の姫君・名越真希の場合～　――

「耀」

　放課後、生徒会室で名越真希〔なこし　まき〕はふと、長机の端で本を読みふけっている親友に声をかけた。
（親友って思ってるのは 俺 だけかもしれないけどさ）
　真希が生徒会長を務めている帝都浦川高校の生徒会書記をしている彼、真鍋耀〔まなべ　よう〕は顔を上げて、眼鏡の奥の瞳だけで（なんだよ？）と問いただす。
　クールな身のこなし、言葉がなくても人を惹きつけるその威圧感が真希にとっては 憧れ だった。
　春休みに入る前、真希の彼女である汐宮清乃〔しおみや　きよの〕の家へ招待された時も、彼の態度はいつもと変わらずに泰然としていた。
　どんな人間に対しても、彼は諂〔へつら〕わないし卑下もしない。
　平等に扱う、というわけでもないのだが……彼の中で価値がきちんと選別されているのだろう、と思う。
「気色悪い」
　と、一言耀が口にした。
「なんでだよ、ちょっといい男だなって思っただけだろ」
　ぞっ、としたように顔を歪め（じつは耀のこういう顔はめずらしい）、はぁと息をつく。
「おまえのそういうとこ、苦手だ」
「なんでだよ？　真面目に言ってるんだぞ、俺は」
　真希が真剣に主張するから、耀は遮るように元の問いに戻した。
「で？　なんだよ？」
　と。
「ああ、うん。そろそろ生徒会も終わりだよなあ？」
「そうだな」
　新学期になって、三年になった。夏の前には引き継ぎの選挙があって、夏休みには本格的に受験態勢に入るのだろう。
　耀の態度は当然というか、淡白なものだ。もともと真希の執拗な勧誘にあって生徒会入りをした類〔たぐい〕だから、生徒会〔ここ〕に対して思い入れも熱意も持ち合わせていないのだ。
「耀ってさあ、カッコいいけど……執着とかしないよなあ？　モノとかヒトに」
　そういえば、ここ半年ほどは 彼女 もいない。
　以前は来る者は拒まず、去る者は追わずというくらいに彼女もコロコロと変わったのだが。
　どういった心境の変化なのか。
「真希？」
　ドキリ、とした。
　いきなり動揺したせいか、不審な顔をして耀が真希を仰いでいた。

　彼女、のせいか？

　と、一人の女生徒の姿が脳裏に浮かぶ。
　頬にかかる黒髪で日本人形のような綺麗な顔立ち。清純でどこかミステリアスな彼女は真希の 彼女 である。
　彼女、とは言っても偽物かもしれないけれど。
（たぶん、汐宮さんが好きなのは……耀だ）
　彼女とはキスもするし、時々それより先に進んでもいいんじゃないか？　と思わせる時もある。
　そんな時の彼女は妖艶で、本当に自分を欲してくれているんじゃないかとさえ誤解しそうになるが……いつだって、彼女は彼を見ているのだ。
　あの、ほんの少しでも自分に向けられたら真希は幸せだと思う。
　たとえ、親友の彼女になったとしても。
「あ、あのさ……耀」


　訊いていいか？
　おまえが彼女をつくらなくなった理由を。


　　>>>真鍋耀視点に続く？