文化祭は準備中！-山辺志穂の場合1

　「背徳の姫君」番外、下向き少女と隣の委員長の本編その後。
　ハロウィンネタの少し前、文化祭の準備中の小話です。
　高校生と言えば、文化祭と体育祭は外せません！　ってコトで文化祭です。体育祭は……なんかネタが落っこちてたら考えます。
　現段階では、彼女はどちらにしても落ち込んでそうだな……と思うだけです。面白おかしい場面ができたら書きたいですね。

　「うらキロ」サイトの更新は、今週末あたりにイチ視点のstep.3あたりまでアップを目論み中。
　検索サイト様に作品登録もできたらしたいですが、どうでしょうか？
　最近、そういう作業に縁がなかったもので感覚が鈍くなってます。
　登録した方が宣伝にはなるけど……ページの不完全さがあるので及び腰です。それより、「Ｏパーツ」とか「拍手お礼」のページを何とかしなさいよ！　と聞こえてきそうな気配（遠い目）。
　そうそう！　「いち にの さん」の書きたい場面までもまだ到達してないんですよ～まずはそっちから仕上げたいな～と思っています（←ネタが新しいので書きやすい）。

　以下、背徳・番外「文化祭は準備中！」山辺志穂視点の前半部。
　短く二分割です。
　彼女視点は、普通に学園モノです。たぶん。

――　背徳の姫君。～文化祭は準備中！‐山辺志穂の場合1～　――

　高校最後の文化祭でのクラスの出し物は、喫茶店に決まった。
　飲食系の出し物は全校クラスのほとんどが狙ってくる競争率の高い職種で、しかも校内で出す数が定まってる（保健所の許可等が必要なため）いわゆる定数制の狭き門だったから、クラスのみんなは俄然ヤル気でかなり盛り上がっている。
　そんなクラスの熱気の中、委員長である鳴海広之〔なるみ　ひろゆき〕……も大忙しというか、複数の雑務を一手にこなして且つ店の入り口に立てる看板なんかを器用に作っていたりした。
（すごいなあ……）
　そんな隣の家に住むシッカリ者の彼を、ぼんやりと追いかけていた山辺志穂〔やまべ　しほ〕は不意に指に痛みが走って顔を顰めた。
　売り子用の服を女子はみんなで縫っていた。
　志穂は器用なタチではないので、ノルマは自分の衣装のみだけれど、縫うのが早い子は男子の衣装まで作っている。
　それこそ、好きな男の子の衣装は買ってでもしたいらしく、人気のある男の子の分は争奪戦だとか。
　志穂だって、委員長である彼氏の衣装を自分が作れればどんなにいいだろう、と夢見ていたけれど、現実は夢みたいに甘くはないし、彼だって 全然 甘くはない。
『おまえ、バカだろ？』
　しくしく。
　そんなの分かってるもん。
『自分の分もまだのクセに……いいから、ゆっくり自分のを作れよ』
　厳しいのに、優しい彼の言葉が嬉しいのに情けなかった。
　なんて不甲斐ない彼女なの、わたしって。
　不器用なのは生まれつきだけれど、せめてもうちょっと得意分野があればな……と思う。
　たとえば、裁縫とか料理とか。
　どっちも、器用さと手際のよさが要求される高度な技だ。
　無理。
　だって、人並み以上なんてできない。どう頑張ったって、最高ラインが「普通」なんだもん。
　カフェに出すケーキやお菓子もうまくは出来なくて、創作チームの選抜からは外れてしまった。ちなみに、唯一志穂と仲良くしている友人・澤嶺祥子〔さわみね　しょうこ〕はその選抜に選ばれてしまって現在、不在。志穂は教室の隅でひとり悶々と自分の衣装を縫っている、というとても寂しい状況だ。
　増えていくのは、ため息と指やら腕にできるバンソーコーの数だけ。
「あいたっ」
　ホラね。
　また、指に刺さった針に涙目になって、その指を口に含んで少し鉄っぽい味を吸い上げた。

　　>>>続きます。