文化祭は準備中！-鳴海広之の場合2

　季節外れの文化祭ネタ、隣の委員長視点の二回目です。
　引き続き、ケダモノ仕様……は端折りました。危険、危険！
　って、コトで「その後」もありますが、ブログでは載せにくいので「隠れ家」掲載をお待ちください。

　サイト内の更新は、週末あたりに「いち にの さん」の後日談を予定しています。
　ニノ視点とイチ視点がありますが、「小説家になろう」様にニノ視点をまずは載せる予定です。
　順番としては、ニノ視点のあとにイチ視点がある感じなんですが……書いた順番はイチ視点のほうが先だったり。
　何気に、イベントネタです。
　まあ、気づかなくてもノープロブレム（笑）！

　以下、背徳・番外「文化祭は準備中！」鳴海広之視点の後半部。
　教室でのチョメチョメ部分は編集しました。やっぱり抵抗はあるんだけど……諦めの境地です。

――　背徳の姫君。～文化祭は準備中！‐鳴海広之の場合2～　――

　解放すると、志穂はとりあえず捲れたスカートを手で押さえ真っ赤な顔で俯いた。片方の足首に脱がされた下着が引っかかったままなのが、どこか抜けている「彼女」らしいと言えば彼女らしいか？
「嫌だった？」
　訊くと、顔を上げないまま首を振る。
　本気かな？　と広之は疑いながら、志穂の髪に触れる。少し、乱れていたのを手で梳いて整える。
「嫌なら嫌って言っていいんだよ？　まあ、言われたらしない……ってワケじゃねーけどさ」
　一応、考慮はするつもりで広之は志穂を注意深く観察した。
　志穂は顔を上げると泣きそうな目で「どうしよう……」と呟く。
　「何が？」と抱き寄せれば、助けを求めるように手を伸ばしてきて小さな声で縋った。

「嫌じゃ、なかった」

　ああ、ヤバイ。
　本当に歯止めが利かなくなりそうだ、と広之は志穂の頭を撫でて「ったく。どうしょうじゃ、ねえよ」と低く舌打ちした。



　職員室に鍵を戻しに入ると、残っていた現国の張本先生が寄ってきた。
「鳴海か、遅かったな。おまえのクラスの生徒は延長時間キッチリ守って帰っていたと思ったが……」
　と、不思議顔をする。
「ああ、山辺を待っていたのか。相変わらずのんびりしてるんだなあ」
　職員室の扉から顔を出して、靴箱のところに立つ小柄な女子生徒に目を細める。
　広之は首を振って、
「まあ、それもあるんですけど。今日は、華月〔かづき〕先生に戸締りを頼まれていたので」
　と、苦笑いを浮かべた。
「そうか、ご苦労だったな。華月先生も生徒をつかわんでもいいだろうに」
「はは、張本先生がいじめるからじゃないですか？　頼みにくいんですよ」
「ふん、俺は優しいぞ。失敬な」
「そうですよね。でも、顔が怖いから誤解されやすいんですよね？　志穂も怖いって言ってます」
「なにっ！」
　全体的に大柄でクマみたいな張本先生は威圧的な雰囲気が一部生徒に不評だ。
　話してみると、案外お茶目で親しみやすいから広之は嫌いじゃないけれど。
「山辺のクセに生意気な」
　そう言うと、張本先生は職員室を飛び出して、靴箱の前まで走って行った。

「きゃーっ！」

　急に肩を掴まれた彼女の悲鳴が暗くなった校舎に響いて、広之は「わざと怖がらせるんだから」と悪ノリの強面先生を呆れたように見つめた。

　　>>>おわり。