天気予報士な恋。それから1-2

　「天気予報士な恋」それから、1-2です。
　前回の話から間が開きましてごめんなすって、どうぞ生温かく見守ってください（平伏）。
　って、コトで夏の定番にやってきたカップルです。
　あー、世の中は夏休みも終わりになってきてますけど、この話はどちらかと言うと真っ只中の話です。
　冬ネタ……書こうと思いつつ、まだ書いてませんが、イメージはひとつ浮かびました。「背徳・番外」でお酒ネタとか。もちろん、彼女が酔っ払ったら？　というベタなのを（笑）。

　さて、サイト内の更新はまだできておりませんが、拍手お礼は追加しました。
　二次小説の続きなので、お礼？　と言えるのかは微妙ですが……それでも！　いただきました！！
　「ポポロ」をされてた方から、コメントをもらえたのでホクホクです。楽しんでいただければ、さらに嬉しいなあ（喜悦乱舞）。

　以下、「天気予報士な恋」それから1-2。
　お姉さんは彼にメロメロですが、なかなか素直にはなれないの！　図。
　彼は彼で楽しんでます。

――　天気予報士な恋～目論みは、夏日和。2～　――

　海に来て、後悔はさらに深く切実になった。
（うー……）
　何年ぶりだろう、という浜辺に素足を乗せ、あまりの熱さに慌ててサンダルを履いた。そんなコトさえ忘れるくらい、久方ぶりなのだ……と思うと少し離れた場所で待っている彼に申し訳ない気持ちになる。
　やはり、ここは断るべきだった。
　水着よりも、紫外線対策に走る女なんて、あの眩い太陽に映える男〔ひと〕には不釣り合いに違いない。とはいえ、二十代の頃ほどお肌に過酷な仕打ちもできないのだ。いや、若くてもお肌のケアは大事だけれど年齢を重ねるごとに手を掛ける重要度は高くなる。
　年を重ねると、それだけ跳ね返りが大きいからだ。
　ツバの大きな帽子を被り、長袖のパーカー、足は丈の長いパレオで覆って彼が見たいと言っていた水着は見えやしない。
　一応、新調したんだけど。
「和美さん」
　手を差し伸べる湊に、素直に「ごめん」と言えないのは長年培われてきた可愛くない女のプライドっていうか、意地みたいなモノだろうか？
　自己嫌悪に陥りながらも、表面は体裁を守って完璧な表情を作ってしまう。
（ええ、ホント可愛げがなくてごめんなさいね）
　チラリチラリと周囲から見られているのは、気づいている。
　もちろん、彼があの「ミーニング・サン」のお天気お兄さんだって気づかれているせいもあるかもしれないけれど……そうでなくても、湊は目立つ綺麗な顔立ちの好青年だ。
　海に来ている雌豹たちからすれば、「獲物」として認識されてもおかしくない。
　ツバの広い帽子を手で押さえ、和美は視線を感じる方角へ目を向けて彼女たちへ微笑んで見せた。
（うまく、笑えたかしら。可愛い由良キュンに色目をつかうなんて……ちょっと、お姉さん許せないわ）
　クイ、っと手を引かれ、「僕も構ってくださいよ」と帽子の中を覗きこまれて驚く。
　柔らかな物腰とソフトな外見で時々忘れるけれど、案外湊はこういうコトを平気でする男だった。
　パラソルを持ったままの彼に肩を抱かれ、それだけなのに逃れることは難しかったのは相手が湊だから、だろう。
「んっ、も……だめっ」
　ようやく緩んだ戒めに、トンと胸を押して和美は目の前の彼を睨んだ。
　頬が熱いのは、気温のせいではないだろうと思うと年甲斐もなく恥ずかしくなる。こんな年齢になって、こんな大胆な公開キスをしてしまうとは……そうだ、彼は普通の一般人ではない。芸能人ではないけれど、有名人なのだ。こんな、……堂々として、いいのだろうか？
「ちょっと！　湊、撮られたらどうするのっ」
　大きな声、ではなく、ひそめた声で諌めると彼は目を瞬いて（そんな顔もお姉さんの庇護欲をかきたてるのだけど！）、企むみたいに目を細めた。
「いいよ」
　って！　なにがいいのよっ。
　と、戸惑う和美に「ホラ、もう誰も見てないし」と明らかな嘘で誤魔化した。
　もうもう、何が見てない、っよ！
（思いっきり、見られてますからっ！！）

　　>>>続きます。