ＤＡＬＬ

　５・６歳の幼い子どもだった。
　まあるい頭のつむじを見せて熱心に何かを作っていた男の子は、ふと手元に影が差したのを不思議に思ってか、顔を上げた。
　そのあどけない表情。
「おまえ、だれ？」
　この広い部屋の主である彼には、母親がいた記憶がない。物心がつく前に死んだ母のことを、写真でしか知らない彼は愛情というものをあまり感じたことがなかった。
　唯一の肉親である父親は科学者で、家にいること自体が珍しい。
　赤の他人の世話好きな女が、彼の唯一の「母親」代わりだった。……けれども、幾度かの失望のあとに彼女たちの「一番」にはなれないのだと、気づいている。
　そんな大人びた眼差しに映るのは、一人の青年。
　彼は柔和な顔に色素の薄い茶色の髪と、透き通った琥珀色の瞳をしていた。ふわり、と微笑むと彼はその幼い小さな手を取って、母のように慈愛に満ちた眼差しで答えた。

「私の名前は、ドール。あなたのための ロボット です」

（ろぼっと……）
　幼い目は、ぼんやりと優しい面立ちの彼を見つめて、首を傾げた。

　あたたかい――。

　久しく受けたことのない抱擁にひどく困惑して、どうしたらいいんだろう……と悩む。その体温は心地よくて、彼にとっての「ロボット」の範疇を他の人とは別格のモノに構築するに 十分 だった。


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　という、話をかーなーりー以前（大学時代……「ピアノ」原案の頃とほぼ同じ頃）に考えていたことを思い出しました。
　考えついたのは、文芸部員として詩を書かねばならず、その延長線上にこのネタが出来たように記憶しています。
　あの頃、「～できたら１００万円」とかいう番組があってさーそれ見てて思いついた話です（←なんでだ？！）。
　恋愛はほぼ、要素としてなかったような気がしますが……最後の場面だけは、いまだに覚えているくらいの個人的ツボ場面だったりしますよ。
　シリアス、なので中編程度で終わるネタだと思いますが――テーマが重いんだよ。ってコトで、当時も今回書いた程度の入り口で書くのをやめた記憶が（笑）。

　なんか、ロボットの三原則？　だったかを調べるのも面倒だったのよねー。
　舞台は、近未来の地球（のハズ）。タイトル「ＤＯＬＬ」の綴り間違いは詩のタイトルの時からの名残りです。←え？

　ハッ！
　こんなん書いていたら９月に突入してました。
　昨日は『デスノート』となんかミステリードラマを交互に見ておりました。
　『デスノート』……読んだことないんだけど。
　イマドキっぽい、終わり方だったなあ（遠い目）。←いろんなバージョンがあるのかもしれないけどさ。