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裏表一体、日々のこと。
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 「背徳」番外、の澤嶺祥子視点の第二回。
 にして、第一場面は終了。このシチュエーションは、なんつーか、私の好みに走りましたね(告白)。
 ありえねー、と思いながら(「背徳」シリーズ自体が、そんなシチュエーションばかりですが)、こういう関係のストイックな話が好きなんですよ。
 あらゆる、ジレンマで絶対、すんなりとくっつかない。女の子は意地っ張り系だし、男性は朴念仁っぽいし(笑)。
 しかも、外野がうるさそうですよ。特に、父親がね……圧力かけてきそうで、彼の方の性格上絶対、一度は苦悩するでしょう(キヒヒ←鬼)。
 「背徳」の影のテーマが、密やかな主従なだけに結構ポイント高いんだけど、シリーズに入れるかは まだまだ 思案中です。

 ブログに置いているアンケート、ご協力ありがとうございます。
 たくさんの方にご協力いただいて、感謝しております。やはり、「ピアノ」と「夕焼け」が強いなあ……。うん、ご希望に添えるように「Oパーツ」をできるだけサクサク仕上げて、取り掛かりたいと思います(^^ゞ。
 コメントいただいた方々には、あらためてお返事する場を持ちたいと思いますので(←いらないと言っても、やります!)、ここでは「ありがとう」の気持ちだけを表明。
 まだまだ、ご意見募集中です。票の数とコメントの熱さ加減で、執筆順序が変わるカモしれません(←単純なので……)。

 以下、「背徳の姫君」番外、「澤嶺祥子」2。
 これにて、序の場面は終わりです。川村先生視点も考えていますが……未定。
 彼視点は、なんかボケボケしてて楽しそうだなあ(笑)。




―― 背徳の姫君。澤嶺祥子2 ――

 国語科の中でも、古文の準備室は校舎の奥まったトコロにあり、人目につきにくい。実際、この部屋を使用している古文の先生も少なく……体のいい「資料置き場」くらいにしか思われていない節がある。
 とっとと帰ってやろうかと思ったが、祥子は思いとどまっていた。
 何故なら、以前にやはりそう思って一人で帰ったら、通学路のど真ん中で車で拉致されたことがあるからだ。もちろん、拉致したのは川村先生だが――過保護にもほどがあると、ため息をつく。

「 お嬢さま…… 」

 建てつけの悪い扉を音もなく開けて、閉じた川村雅史が姿勢よくピシリと立って、頭を下げた。眼鏡は外している。
 ハァ、ともう一度ため息。
「わたしは、もう、お嬢さまじゃないってば……一体、何度言ったら貴方は解かるの?」
 頭はいいくせに、堅すぎるのが玉にキズだ。
 祥子の母・幸江が、有名な資産家で社長だった名木慶介〔なぎ けいすけ〕と別れたのは、数年前。まだ、祥子が中学生だった時だった。
 高校に入って、一年……新任の国語科の先生が紹介された時のことを覚えている。彼は、祥子の父親が雇った祥子の「教育係」であり、いざという時のための「ボディガード」でもあった。当時はまだ、大学生だった彼にとって「いいアルバイト先」だったのだろうが……それが、父親から離れて数年後にヤツの手先として再び現れようとは思わなかった。
 もともと、川村の家は代々父親の家に仕えてきた執事の家系だったから、名木の家に仕えるのは当然。至極、当たり前だ。
 けれども、
「旦那様は、祥子お嬢さまも奥さまも諦めてはいないのです」
 やれやれ、と祥子は肩をすくめた。
「自分が浮気をしておいて? おあいにく、お母さんにヨリを戻す気はないわよ……もともと、ご令嬢育ちじゃないしね。あの人は」
 一人でも、何とか生きていけるんだからと何度伝えたかわからないセリフを繰り返す。
 そして、相手も同じセリフを――バカみたいに。
「それでも、旦那様のご命令です。お嬢さまの身に何かあれば、私は命をもって……」
「あー! もう、いいからっ。そうそう 何か があるワケないでしょ?! 一般的に普通の人は安全な国なのよ、日本はっ」
「私にとって 貴女は 一般の方ではございません、お嬢さま。去年の年末のスキー旅行の際は気が気では……」
「って! 日帰りじゃないのっ。ってか!! なんで、知ってるのよ?!」

「 ボディガードですから 」

 当然、とばかりに心持ち胸を誇らしげに張る雅史に祥子は睨みつけた。
「まさか、つけてきたり……してないでしょうね?」
 不思議そうに彼は祥子を見つめて、にっこりと笑った。
「つけました。ボディガードですから」
「ははっ、そう?」
 ストーカー? と力なくスラリと立つ彼を見上げてしまう。

( 笑うしかないじゃないの! )

「せっかく、お嬢さまじゃなくなったのに……肝心な人が コレ じゃあね?」
「何か、仰いましたか?」
「いいえ。何も――申し上げておりませんわ」
 中学生の頃から好きだった がそばにいて、嬉しくないワケはなかったけれど……やっぱり、恋の相手にするワケにはいかないと心に決める。

 負ける勝負はしない主義、だから 恋の相手 はもっと別の人にしなくちゃ。

 と、祥子は上品に微笑んで、暮れなずむ空を映す格子の窓を仰いだ。

  >>>おわり。

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