裏表一体、日々のこと。
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「夕焼け」本編4、第4回。
特に何もなく、小槙さん奮闘記の続き、いつまで続くのか……そろそろ息切れしかかって書いていた記憶があります。
予定していたモノよりも、アッサリ軽ーく終わらせていますので。
あと、しばらく小槙さんにお付き合いください。
以下、「夕焼け」4-3。
泉所長にいまだ、私は翻弄されています。どんなしゃべり方だった? とか、呼び方とか……ときたま出てくる方なので、ウッカリ忘れちゃうんですよね。
特に何もなく、小槙さん奮闘記の続き、いつまで続くのか……そろそろ息切れしかかって書いていた記憶があります。
予定していたモノよりも、アッサリ軽ーく終わらせていますので。
あと、しばらく小槙さんにお付き合いください。
以下、「夕焼け」4-3。
泉所長にいまだ、私は翻弄されています。どんなしゃべり方だった? とか、呼び方とか……ときたま出てくる方なので、ウッカリ忘れちゃうんですよね。
―― 夕焼けと机と教室と。~4-3~ ――
数日後。
容態の安定した、健介は意識は取り戻していなかったが面会謝絶だけは外された。
現場周辺の聞き込みは引き続き警察も行っているようだったが、思わしい目撃証言を得ることはできなかった。
「あ。ボス」
事務所の扉で病院から戻ってきた所長と、出かけるところだった小槙が出会った。
「仁道くん、また例の聞き込みか? 補助に真城〔ましろ〕くんでも連れて行けばいいのに」
事務官の同行を勧めるが、
「いえ」
もごもごと口ごもって、小槙は首を振った。
ここ数日、彼女はこんなふうだった。
「約束したのはわたしですし……真城さんは他にも仕事がありますから」
「そうか」
泉は頑なな彼女に手を伸ばし、肩を叩く。
「まあ、頑張れ。私たちにできるのはそれくらいだしな」
「はい」
自分たちに有利な証言者が出てくるとは限らない。榊真人が嘘の証言をしている(少なくとも、都合の悪いことを隠している)可能性はあるが、また真実を話してないと断定できるほどの材料があるワケでもなかった。
徒労に終わることも、覚悟しなくてはならないだろう。
それでも、クライアントのためにできる限りの弁護をほどこす材料を集めるのが、自分たちにできる唯一の仕事だった。
「仁道くんにとっては、「クライアント」というよりはあの少年のため……のようだがな」
弁護士という商売をするには優しすぎる きらい のある小槙が、泉には娘のようであり、また上司としては心配なところでもあった。優しいだけでは、弁護はできない。
(大丈夫だとは思うが……)
階段を下りていく小槙のまっすぐに伸びた背中を見送って、泉は事務所の扉をくぐった。
秋の日差しはあたたかく、風は乾燥していてさわやかだった。
電車を降り、事故のあった現場へと足を運ぶ。
駅から、遠くはないが……少し歩かねばならない。事故現場には現在、警察が事故の情報提供を呼びかける看板が立てかけられている。白地の鉄板に黒字、ところどころに赤い文字列が並ぶ……よく見る文面だ。
小槙はいつも、まずそこに立ち寄って手を合わせる。
この事故では、一人亡くなっている。自分の探している証拠は、その人を安らかに眠らせるためのもの――。
都合のいい、証拠ではない。
気持ちのいい風に吹かれ、小槙は道の向こうに小さな影を見つけた。
電信柱から、事故現場のT字交差点をうかがう姿は紛れもなく彼女の知る 少年 のものだった。
>>>続きます。
数日後。
容態の安定した、健介は意識は取り戻していなかったが面会謝絶だけは外された。
現場周辺の聞き込みは引き続き警察も行っているようだったが、思わしい目撃証言を得ることはできなかった。
「あ。ボス」
事務所の扉で病院から戻ってきた所長と、出かけるところだった小槙が出会った。
「仁道くん、また例の聞き込みか? 補助に真城〔ましろ〕くんでも連れて行けばいいのに」
事務官の同行を勧めるが、
「いえ」
もごもごと口ごもって、小槙は首を振った。
ここ数日、彼女はこんなふうだった。
「約束したのはわたしですし……真城さんは他にも仕事がありますから」
「そうか」
泉は頑なな彼女に手を伸ばし、肩を叩く。
「まあ、頑張れ。私たちにできるのはそれくらいだしな」
「はい」
自分たちに有利な証言者が出てくるとは限らない。榊真人が嘘の証言をしている(少なくとも、都合の悪いことを隠している)可能性はあるが、また真実を話してないと断定できるほどの材料があるワケでもなかった。
徒労に終わることも、覚悟しなくてはならないだろう。
それでも、クライアントのためにできる限りの弁護をほどこす材料を集めるのが、自分たちにできる唯一の仕事だった。
「仁道くんにとっては、「クライアント」というよりはあの少年のため……のようだがな」
弁護士という商売をするには優しすぎる きらい のある小槙が、泉には娘のようであり、また上司としては心配なところでもあった。優しいだけでは、弁護はできない。
(大丈夫だとは思うが……)
階段を下りていく小槙のまっすぐに伸びた背中を見送って、泉は事務所の扉をくぐった。
秋の日差しはあたたかく、風は乾燥していてさわやかだった。
電車を降り、事故のあった現場へと足を運ぶ。
駅から、遠くはないが……少し歩かねばならない。事故現場には現在、警察が事故の情報提供を呼びかける看板が立てかけられている。白地の鉄板に黒字、ところどころに赤い文字列が並ぶ……よく見る文面だ。
小槙はいつも、まずそこに立ち寄って手を合わせる。
この事故では、一人亡くなっている。自分の探している証拠は、その人を安らかに眠らせるためのもの――。
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電信柱から、事故現場のT字交差点をうかがう姿は紛れもなく彼女の知る 少年 のものだった。
>>>続きます。
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