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裏表一体、日々のこと。
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 「魔喰いの森のお人好し」第三話、彼女視点の最終話です。
 最後のオチは、○○だからこそのチョイスでした(笑)。まあ、魔族に忌み嫌われるという意味においては、イロイロ理由付けができそうな感じです。
 一応、当初から目論んでいる理由も残してますが、彼視点の方でも今のところ明かす場面がないので、闇に葬り去られる可能性も(^^;)

 次の彼視点は、彼女視点と同時期の彼目線での話になります。
 ちょっと、イメージが違うかもですが……私は彼のシュンとなるところが好きなので、性格付けは趣味に突き進む所存です。
 素朴な疑問としては、人間界と魔界の言語は同じなのか否か――だったり。
 うーん、翻訳×ンニャク(某猫型ロボット漫画、道具の一つ)があるのかもしれません。

 以下、「魔喰いの森のお人好し」3(終)。
 異種族婚の場面を含みます。結婚するワケではありませんが、似たようなものです。
 苦手な方は、読まないようにしてください。但し、あからさまな場面はありません。朝チュン程度です。
 彼女なので、ごく普通に浮かんだイメージをそのまま採用しました。ヒロインにあるまじき積極性!



―― 魔喰いの森のお人好し。3 ――

 不足はなかった。シエンの作る料理は魔界〔コチラ〕の食材を使っているのに人間界〔アチラ〕の味と遜色のない出来映えであったし、同じ卓を囲んでも(正確には、エリルは寝台の上、シエンは円テーブルで食べていた)うるさくなく、適度に会話も弾んで楽しめる(からかう、とも言う)。
 彼に不足はない。だが……と、エリルには不満に思うことがあった。
(怖がられるのは、避けたいが――妾にも、限度がある)
 そう、考えた彼女は彼の屋敷に厄介になってから一ヶ月程度経ったその日、行動に移したのだった。

 灯りのない暗い部屋の中で、シエンの怯えた声が響く。
「ひっわぁぁぁっ! な、何を……なさるのです?」
 体に受けた傷がほぼ癒えたエリルは微笑んで、寝台に(不意をついて←奴の名誉のために強調じゃ!)押し倒した彼を見下ろした。
 肉食獣の獲物を見るそれによく似た眼差しを細め、「何、とな。簡単なことじゃ」とあたかも明日の食事はコレにしてくれ、と命じるように軽く繋げた。
「お主に、妾と契って欲しい」
 はい。とんでもないこと言いました。
 でも、本人は至って真面目。本気なので、大丈夫。
「ちぎっ?! 契る?!」
 呆然となった影、は寝台の上で上向いた格好のまま、覆い被さる彼女の逆光になった(というか、もともと暗いんだけど)表情を訝しく見た。
「左様じゃ。この一ヶ月妾にしては我慢強く、健気に、お主に誘いをかけていたのじゃがのう……悉〔ことごと〕く受け流されてしまった」
 フゥッ、とそれはそれは切なげにため息など吐いて、彼女は首を振る。
「この朴念仁め。乙女の最終手段を拒否るでないわっ!」
 あわあわし始めた彼に、エリルは恫喝する。

「ひっ! も、申し訳ありませんっっ」

 震えて目を瞬き、彼は困惑した。
「え、エリル様?」
「何じゃ」
「僕は、魔族ですよ?」
 覆い被さる華奢な人間の、しかもか弱い女性の体に組み伏されるとは 彼からすれば 思ってもいない状況だ。
「だから? 妾では不満かの?」
「いえ。伴侶は欲しい……正直、飢えています」
「ならば、好都合じゃ。妾もお主がいいのだ、お主しかおらぬ――とさえ思うておる。今ではの」
「僕が、どんな、姿でも?」
 ふっ、と彼女は覆い被さっていた体を持ち上げて、表情など見えるはずがない逆光の中、ホホホと妖艶に笑ってみせた。

「心配なら、見せてみれば良い。それで妾の気が変われば、いいがの?」


   *** ***


 翌朝、寝台の上でエリルは目を覚ました。
 肌を滑る違和感に、身をくねらせる。
「こりゃ! くすぐったかろう、ふっ! ふははっ」
 胸と腹のあたりを彷徨うグネグネと長く、ひんやりとした温度の柔らかな曲体。その者はシーツから顔を出すと、人型をとり彼女の唇をペロリと舐めた。
 真っ赤な瞳と、白い髪。
 見た目はどこか兎を思わせる愛らしい美少年で、皮膚のところどころに紋様が刻まれている。
 掠める程度のそれ〔舌〕に不満を覚え、エリルは彼の首を引き寄せて唇を合わせる。貪るように絡めていると、素肌の胸を揉まれ恍惚となる。
 互いに裸で、直に触れる肌は心地いい。
「シエン」
「エリル、さま」
 内股を撫でる彼の骨張った手がひんやりと冷たくて、ゾクリと昨夜の官能を思い出させた。
 触れる温度は決して高くはないのに、触れた体はカッと燃え上がって熱を帯びる。

 シエンの種族は、三日三晩伴侶と睦み合うのが普通らしい。
 ……と、エリルは少々不安になった。

(果たして、妾は三日三晩で満足できるかの――?)

 まあ、満足できなくても襲うまでじゃ……と、少年(あくまで見た目の話)に抱きついて思うがままに身を任せた。

  >>>終わり。

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