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裏表一体、日々のこと。
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 「魔喰いの森のお人好し」第二話です。
 コチラ、冒頭はどっちつかずの視点(苦笑)なのですが、基本彼女視点の話になったので、思い立って現在彼視点での同じ場面を書いていたりします。
 人間側と魔族側、という認識の差が楽しいかな~と始めたのですが、それ以前にどちらも規格外だったヨ。
 彼のネタばれ的な独白とかがあるので、彼女視点を投稿し終わってから、彼視点は連載したいと思います。
 ネタばれ、そんなにドカンとしたものではないんですけどね。まあ、漫才でいうところのオチというか、ミステリでいうところの犯人(←コレはばらしちゃいけません!)みたいなもんなので。私の中で(^^;)

 以下、「魔喰いの森のお人好し」2。
 さっさか、いきます。あと一話で彼女視点は終了です。




―― 魔喰いの森のお人好し。2 ――

 さて、それからの彼女の日々はと言うと――思いの外、快適である(部屋の中は昏いがな)!

『なんじゃ……コレは。食べ物か? 人間が食す代物ではないのう』

 最初に持ってきた食べ物らしき物体(なんか原色の色がマーブルで渦を巻いていた。嗅いだことのない匂いがして、スープらしいが浮かんでいる固形物は元の生き物がコチラの世界にしか存在しないと断言できる程度に生きていた時の形をとどめている)にエリルが発した言葉を聞いて、すぐに人間界の食べ物をエリルに訊ねてきた。
 そして、次の食卓には完璧な食事(柔らかく炊かれた穀類に、消化の良さそうな野菜の煮物と果物が添えられている)が用意された。
(ふむ。なかなかの有能さじゃ……妾とて、アレを食す覚悟はしていたのだが)
 コチラの世界に来た時点で、それくらいの境遇は覚悟の上だ。
 最初に口にしなかったのは、言わばほんの少しの余興のつもりだった。
「お気に、召しませんか?」
 暗い部屋の中、目深にフードを被った屋敷の主は赤い瞳に困惑を浮かべて首を傾げる。
 暗闇にはっきりしない影を観察しつつ、フッと笑みを浮かべて「上出来じゃ」と答えれば魔族とは思えぬ無垢な反応を示す。
「良かったです」
 ホッと安堵を浮かべた表情は、あどけない少年のようだが背丈はエリルよりも高く体つきも貧弱ではない。
 見た目通りの年齢だとすれば、十七あたりかと想像するが……コチラの年齢は人間よりもずっと長寿らしいので本当はかなりの年上なのであろう。
 エリルが粥に口をつけると、部屋から出て行こうとする。
「待て、シエン」
 ビクリ、背中をふるわせて彼が振り返る。
「何か、不備でも?」
「そうではない。味は初めて食すものだが、いい腕をしておる。ただ、どんなに美味しい食事も一人で食していては味気ないものよ。部屋も昏いしのう」
「……そういう、ものですか?」
「うむ。ここにはお主しかおらぬのか?」
「はい」
 コクリ、と頷くシエンにうっそりとエリルは唇に弧を描く。
「では、シエン。妾に付き合え」
「は、はい?」
「ここで、一緒に食せと言っておる。人間の食事はお主には口に合わぬかもしれぬが……」
「……いえ、そんなことは。確かにあまり試したことのない料理法でしたが――でも」
 戸惑ったように首を振り、エリルの方を赤い目がうかがった。

「貴女は、僕で……いいんですか?」

「お主しか、おらぬ」
 怪我人の居候とは思えない傲然とした態度で、彼女は寝台の上で胸を張った。

  >>>続きます。

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