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 「背徳」番外、夏祭りネタの彼視点です。
 後ろ向き彼女のちょっと頑張ってるトコロ見てみよう……という感じでしょうか。
 中学時代、こんな感じできっと掃除当番とか押しつけられては彼に叱られていたんでしょうねえ(遠い目)。

 コチラのブログの拍手にて「背徳」番外の二人にコメントをいただきました。二人の話を読んでいただけて嬉しいです。
 続編、という明確なモノではありませんが、夏ネタの連載をする予定なのでよろしければお付き合いください。
 私もこの二人の関係はかなり気に入っている(特に付き合うまでの経緯がツボです)ので、ネタがあればブログのこの形式とか「隠れ家」とか企画とかで書いているんじゃないかなあ? と思います。
 拍手とコメントを本当にありがとうございます!

 以下、「背徳」番外の夏祭りネタ彼視点第一回。
 彼の浴衣はカスリ、彼女の浴衣はコレでした。
 乱れた浴衣はなんとなーくエッチっぽいですが、柄がコレだとさらにアンバランスでいいと勝手に思っています(←こらこら)!




―― 背徳の姫君。~鳴海広之-祭囃子が聞こえる1~ ――

 大学一年の夏。
 とおく祭囃子が聞こえた――。



「うん……変じゃ、ない?」
 うかがうように上目遣いで訊いてきて、ホッとしたようにはにかんだ。
 手を差し出すと、嬉しそうに取る仕草が鳴海広之〔なるみ ひろゆき〕の理性を溶かすように可愛かった。
 淡い水色に赤い金魚が涼しげに泳いでいる浴衣のせいかもしれない。
 ずっと昔から隣に住んでいるけれど、山辺志穂〔やまべ しほ〕が浴衣を着たところを見たことはなかった。それどころか、地元の祭りで見かけることも少なかった。
 数少ない記憶では、遠目に見かけたことはあったけれど……いつも目が合うと逃げるように消える。
 まるで、怯えるようだった。
「見ーつけた!」
「山辺さん、久しぶり。鳴海くんも久しぶりね」
 浴衣姿で手にはリンゴ飴を持った女の子たちが駆け寄ってくる。中学生時代のクラスメートで、志穂とは比較的仲が良かっただろうか?
「あっ、うん。お久しぶりです」
 ペコリ、と頭を下げて志穂は困ったように微笑んだ。
 比較的仲の良かった友人ではあったが、その集団の中に彼女たちの知り合いなのだろう地元の住人ではない女の子たちも含まれていたからだ。
 もともと人見知りの激しい彼女からすれば、身構えてしまうのも無理はない。
「ふーん、まだ付き合ってたんだ……結構続いてるんだね」
 繋いでいる手を見て、志穂に微笑んだ。
「ねえ、山辺さん。一緒に回らない?」
「えっ?」
 突然の申し出に志穂はビクリ、と強張った。
 彼女たちは顔を見合わせ、広之と志穂の二人を交互に見て「ねぇ?」と意味深な顔をつくる。
「だって、わたしたち友達でしょ? 鳴海くんがいたら、鳴海くんの友達とも合流できるし……楽しいと思うのよね」
「……で、でも」
 志穂は広之の方をチラリと見て、繋いだ手をギュッと握る。
「友達よね?」
「う、うん。でも――ごめんなさいっ」
 頭を下げて、志穂は謝った。
「今日は、あの……鳴海くんと。二人で回る、約束なの! だから、その……できません」
 最初、志穂が断るとは予想していなかった彼女たちはポカンとしていたが、しばらくすると怒りを含んだ目で睨んでくる。
「まあ、そういうワケだから立花さん。悪いな」
「鳴海くんが、謝らなくてもいいけど。仕方ないし!」
「そう? とりあえず、山本とかに会ったら伝えとくよ。立花さんたちが来てること」
 うん、そうして……と少し機嫌を直した彼女たちは手を振って離れていく。
「ホラ、行くぞ」
 手を引いて促す。
「う、うん」
 ホッと息をついて、後方を少し気にしながらも志穂は歩きだした。足元に覗く赤い鼻緒の下駄がカランコロンと鳴った。

  >>>続きます。

拍手[9回]

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無題
「私たち友だちよね」と言う人(特に女の子)に限って、自分の都合のいい時専用のセリフとして言いますよね。逆に言うと友達ではない人(笑)今回は彼目当てであわよくばって下心が透けて見えるし。デートとわかっていながら「一緒に」なんて友だちなら口にしない。実は彼視点のお話の方が大好きだったりします(笑)クールに見えて内心余裕のない心の声(爆)がすっごく楽しいじゃないですか(笑)周りには王子様なのに彼女には魔王仕様なんてズルイ?優しい系の男の子が彼女に近づいたらどうなるんだろう??
mimana 2010/07/09(Fri)23:30:44 編集
ありがとうございます。
mimanaさん、コメントいつもありがとうございます。
女の子たちの「友達だよね」発言、まあこれくらいの年頃には色々ありますよということで(笑)。利用されやすい彼女の性格的なものも助長させた原因だと考えている彼からすれば、手厳しい指導があったんだろうと思われます。
優しい人が彼女に近づいたら……ネタとして、考えておきます。血の雨が降っても知りませんよっ!
【2010/07/11 21:22】
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