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 「夕焼け」本編3-4です。
 彼の爆弾発言から、彼女の反応は……小槙さんなので、まあ手堅くいきたいところなんですよね。うはは。

 今日三つ目ともなると、書くこともないですね(←おい)。
 明日は「夕焼け」目次を更新する予定なんですが、準備で終わってしまうかもしれません。日付が変わらないうちにアップできればいいんですが……どうぞ、気長にお待ちください。m(__)m
 日曜には、本編3(前半)をアップしたいと思いますので。
 あと、拍手のおまけの入れ替えも予定しています。

 以下。そういう感じで「夕焼け」本編3-4。
 おっとりした小槙さんの結論は――?



―― 夕焼けと机と教室と。~3-4~ ――

 至極真面目に、耳に届いた輝晃の言葉に小槙は間の抜けた声で反応した。

「 へ? 」

「だから、「結婚」。俺は「不安」でたまらへん。おまえが、俺以外の誰かを好きにならんか、とか。今回みたいに会ってくれんようになったら、どうしたらいいか分からんようになる……小槙かて、結婚したら今回みたいなガセネタで不安にならんで済むやろう?」
「……それは、そうやけど」
 輝晃以外の誰かを云々は別にして、週刊誌の報道に一喜一憂することは少なくなるかもしれない。
 しかし、かといっていきなり「結婚」は飛躍しすぎではないか。
「小槙は、イヤか? 俺と結婚するの」
 真正面から訊かれると、小槙は( ずるい )と輝晃を見上げた。

「そんなことは、ないよ。わたしかて、結婚するなら輝くんがいいもん」

 ただ、それが今かと問われると――ちょっと違和感がある、それだけだ。



(どないしよ……)
 と、小槙は頬杖をついた。
 あのあとの彼はと言うと、上機嫌で歯止めがきかなかった。

「 仁道くん 」

 と、事務所の机でぼんやりとしている小槙へ、落ち着いた声が降ってきた。
 小槙は背筋を伸ばして、立ち上がると「お疲れさまです」と礼をする。
 「いずみ弁護士事務所」のボスは、そんな彼女に笑って応え、不思議そうに訊いた。
「何か、心配事かい?」
 普段から、おっとりしている小槙のことだが、机の上でぼんやりするのは案外めずらしい。
 こんなふうになる原因は、一つしかないと泉所長は知っていた。
「え? いえ。べつに……たいしたコトではないんですけど」
 しかし。
 難しい裁判に弁護に立つよりも、やっかいなことではある――と小槙は思った。
 相手が、輝晃なだけ心配になる。
 ああは簡単に言うけれど、今、ようやく軌道に乗り始めたばかりの 八縞ヒカル という俳優業に影響が出るのは確実だ。もちろん、彼の魅力は顔だけではなかったが……易々と演技派だけで売っていけるワケでもない。
 彼には 絶大な 女性人気があるのも、確かな事実だった。
 彼女たちを、敵に回すのは得策ではない。
(野田さんは、尽力してくれると思うけど……事務所とか 絶対 反対するやろうに、どうするんやろ)
 無理をするのではないか、と思った。
 そういうトコロ、輝晃は省みずなので――煽るような報道に「不安」を覚えるのも確かだが、それよりも小槙は今の「しあわせ」が崩される方が怖かった。

 今は、まだ「恋人」でいいと思う。

 誰にも言えない関係だけれども、それでも一方通行だった頃よりも満たされて、会って気持ちを伝えることができる。
 無理をして、離れ離れにされるよりはずっといい。
( そうや、輝くんにもそう伝えたらいいんや )
 と、小槙は「そうやそうや」と頷いた。
「答えが出たらしいな」
 そばでおかしそうに見守っていた泉所長は彼女の頭を、かいぐりかいぐりと撫でると戸惑う彼女をその場に残して自分のデスクへと入った。
 まさか、ボスが( さて、子どもができたか、結婚か―― )と下世話な勘繰〔かんぐ〕りをしているとは思っていない小槙は、呆然と見送って止まっていた書類の作成に執〔と〕りかかった。

  >>>続きます。

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