裏表一体、日々のこと。
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は、と目を開けた真広〔まさひろ〕は、ベッドの横で腕を組む少年に慌てて起き上がろうとする。
ほんの少し、お腹に痛みが走って痣になっているのだろうと思わせた。
「奏江〔かなえ〕さま、お怪我は?」
「ない」
むっつり、と彼は答えて、「おまえ、バカ?」と言いたげな表情でホッと表情をゆるめる柔和な少年を見た。
「あんなヤツらに なぐられる なんて、おまえの気が知れない。おまえは そんなに 弱いヤツじゃないだろう?」
実際、奏江に彼らの手が及んだ時には、軽々と受け流す程度には見切っていたし、殴られてはいてもそれほどの痛手にはなっていないらしく、けろり、としている。
「加減がわからないもので」
と、おっとりとした口調で物騒なことを口にすると、微笑んだ。
「でも、奏江さまに危害が及ばなくてよかった。彼らの機嫌を損ねたのは私ですから……気がすむまで相手をしようと思ったのですが……逆に、いらぬ心配をおかけしました」
丁寧にこうべを下げて、「申し訳ありませんでした」と謝罪するから奏江はぱくぱくと口を開閉するしかない。
「おまえな……」
「はい?」
首を傾げて顔を上げる真広へ、やれやれと思う。
「機嫌を損ねるもなにも あんなの はただの言いがかりじゃないか。相手にするものじゃない」
「でも、私のような人間が学校などという立派な子息が集う場所に入れば快く思わないのも道理……甘んじてお受けするのが 礼儀 かと」
どんな礼儀だ? と奏江は思ったが、あまりに粛々と真広が言うので馬鹿らしくなる。
「わかった。それが礼儀だというのなら、しっかり相手をしろ。手加減なんかする必要は 微塵も ない」
その主の言葉に、丸々と目を開いて真広は首を振る。
考えられなかった。
長い間、綾女〔あやめ〕から力の行使について「都会〔まち〕」では特に「慎重に」と言い含められていたから、余計に。
「そんな……ことはできません」
「なぜだ? 相手は真剣勝負を挑んできてるんだ、手加減なんかしたら 失礼 じゃないか」
ニヤリ、と笑う奏江に真広はそういうものだろうか、と不思議に思ったが――。
「真広は僕たちの世界のことを知らない。そうだろう?」
コクリ、と頷く。
人の世の中の、特に子どもだけでつくられた世界を真広は知らない。
「 僕たちの世界では殴りあうことで生まれる信頼も、あるんだ 」
たまにだけどね。
と、奏江はうそぶいた。
>>>やくそく2。終了。
適当なことを言って、真広をイケナイ道に誘導する奏江の図(笑)。
って、コトで今後、真広は手加減を知りません。本気を出すことが礼儀だと思ったら、トコトン出すのが真広ですから。
拍手コメントへのお返事は、明日する予定です!
ありがとうございます~。
ほんの少し、お腹に痛みが走って痣になっているのだろうと思わせた。
「奏江〔かなえ〕さま、お怪我は?」
「ない」
むっつり、と彼は答えて、「おまえ、バカ?」と言いたげな表情でホッと表情をゆるめる柔和な少年を見た。
「あんなヤツらに なぐられる なんて、おまえの気が知れない。おまえは そんなに 弱いヤツじゃないだろう?」
実際、奏江に彼らの手が及んだ時には、軽々と受け流す程度には見切っていたし、殴られてはいてもそれほどの痛手にはなっていないらしく、けろり、としている。
「加減がわからないもので」
と、おっとりとした口調で物騒なことを口にすると、微笑んだ。
「でも、奏江さまに危害が及ばなくてよかった。彼らの機嫌を損ねたのは私ですから……気がすむまで相手をしようと思ったのですが……逆に、いらぬ心配をおかけしました」
丁寧にこうべを下げて、「申し訳ありませんでした」と謝罪するから奏江はぱくぱくと口を開閉するしかない。
「おまえな……」
「はい?」
首を傾げて顔を上げる真広へ、やれやれと思う。
「機嫌を損ねるもなにも あんなの はただの言いがかりじゃないか。相手にするものじゃない」
「でも、私のような人間が学校などという立派な子息が集う場所に入れば快く思わないのも道理……甘んじてお受けするのが 礼儀 かと」
どんな礼儀だ? と奏江は思ったが、あまりに粛々と真広が言うので馬鹿らしくなる。
「わかった。それが礼儀だというのなら、しっかり相手をしろ。手加減なんかする必要は 微塵も ない」
その主の言葉に、丸々と目を開いて真広は首を振る。
考えられなかった。
長い間、綾女〔あやめ〕から力の行使について「都会〔まち〕」では特に「慎重に」と言い含められていたから、余計に。
「そんな……ことはできません」
「なぜだ? 相手は真剣勝負を挑んできてるんだ、手加減なんかしたら 失礼 じゃないか」
ニヤリ、と笑う奏江に真広はそういうものだろうか、と不思議に思ったが――。
「真広は僕たちの世界のことを知らない。そうだろう?」
コクリ、と頷く。
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「 僕たちの世界では殴りあうことで生まれる信頼も、あるんだ 」
たまにだけどね。
と、奏江はうそぶいた。
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って、コトで今後、真広は手加減を知りません。本気を出すことが礼儀だと思ったら、トコトン出すのが真広ですから。
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主に恋愛小説の執筆ととめどない落書き。あと、HP運営。
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