裏表一体、日々のこと。
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促されるままに部屋をあとにした真広〔まさひろ〕の後ろ姿を見送った綾女〔あやめ〕は、複雑そうに表情を曇らせた。
「どうした? 綾女」
「あの子が、友だち……になれるのかと少し、気になって」
「? 心配なかろう。子ども同士なのだから」
大人よりもずっと簡単に、壁を超える。
と、彼は彼女の心配をよそに楽観的に述べた。
「いえ。真広は今までそういう関係をもったことがないのです……なにぶん、年近い ヒト のいないところで育ちましたから」
ふぅ、と息をついて、困ったように微笑んだ。
「友だちというものを 理解 しているのか、どうか…… 不安 です」
「奏江〔かなえ〕様」と名前を聞き覚えのない少年の声で呼ばれ、母にすがって泣いていた 彼 は顔を上げる。
そこにいたのは、まるで御伽草子から抜け出たような、今ではあまり目にしない格好をした子どもだった。
「おまえは?」
にこり、と笑うと少年は答えた。
「真広〔まさひろ〕と申します」
「まさひろ?」
呆然と仰いで、涙が止まる。
「はい。今日からここにお仕えすることになりました……この方が、夜江子さまですか?」
触れると、ひやりと冷たい体温が真広の指に伝わった。
ベッドの四方に氷を置いていたと思われる形跡があるが、そこには水が張った皿だけが残っている。
「 よい 死に顔 をしてまする 」
言うと、脇で戸惑うばかりだった奏江が声をあらげた。
「死んでないっ」
「? 魂がありませんので、死んでおります。未練も恨みもなく、穏やかなお顔で……安心いたしました」
「おまえ……なんだ?! 何しに ここ に来たんだっ。あっちへ行けよ!」
ドン、と。
怒りをあらわにして、奏江は真広を突き飛ばした。
簡単に床に転がった少年に馬乗りになって、着物の襟首を掴む。
「僕の母上だ! おまえに 一体 何がわかるっ?!」
「……泣いて、おられるのですか?」
奏江の目から ぽたぽた と降ってくるしずくに、真広は首を傾げて真面目な顔で訊いた。
キッと睨まれる。
いっぱいに涙をためた黒い瞳は、揺らいで歪む。
「見ればわかるだろっ! おまえ、嫌いだっ」
「きらい?」
「だいっ キライ だ!!」
叫ぶと同時に顔を背けて離れると、足早に部屋を出ていった。
残された真広は身を起こすと、少しの間思案して……「 友だち とは、難しいものですね」と低く告げ、彼のあとを追った。
>>>つき と おに(冒頭3)。メモ終了。
かなり、あとで校正を加えそうな箇所です。
つーか、すでに前のメモもチョコチョコと修正してますし……例えば、奥さまの名前とか(笑)。
喋り口調とか、もう少し詰めて統一しないといけないと思いつつ、メモなので流しています。←こらこら。
「どうした? 綾女」
「あの子が、友だち……になれるのかと少し、気になって」
「? 心配なかろう。子ども同士なのだから」
大人よりもずっと簡単に、壁を超える。
と、彼は彼女の心配をよそに楽観的に述べた。
「いえ。真広は今までそういう関係をもったことがないのです……なにぶん、年近い ヒト のいないところで育ちましたから」
ふぅ、と息をついて、困ったように微笑んだ。
「友だちというものを 理解 しているのか、どうか…… 不安 です」
「奏江〔かなえ〕様」と名前を聞き覚えのない少年の声で呼ばれ、母にすがって泣いていた 彼 は顔を上げる。
そこにいたのは、まるで御伽草子から抜け出たような、今ではあまり目にしない格好をした子どもだった。
「おまえは?」
にこり、と笑うと少年は答えた。
「真広〔まさひろ〕と申します」
「まさひろ?」
呆然と仰いで、涙が止まる。
「はい。今日からここにお仕えすることになりました……この方が、夜江子さまですか?」
触れると、ひやりと冷たい体温が真広の指に伝わった。
ベッドの四方に氷を置いていたと思われる形跡があるが、そこには水が張った皿だけが残っている。
「 よい 死に顔 をしてまする 」
言うと、脇で戸惑うばかりだった奏江が声をあらげた。
「死んでないっ」
「? 魂がありませんので、死んでおります。未練も恨みもなく、穏やかなお顔で……安心いたしました」
「おまえ……なんだ?! 何しに ここ に来たんだっ。あっちへ行けよ!」
ドン、と。
怒りをあらわにして、奏江は真広を突き飛ばした。
簡単に床に転がった少年に馬乗りになって、着物の襟首を掴む。
「僕の母上だ! おまえに 一体 何がわかるっ?!」
「……泣いて、おられるのですか?」
奏江の目から ぽたぽた と降ってくるしずくに、真広は首を傾げて真面目な顔で訊いた。
キッと睨まれる。
いっぱいに涙をためた黒い瞳は、揺らいで歪む。
「見ればわかるだろっ! おまえ、嫌いだっ」
「きらい?」
「だいっ キライ だ!!」
叫ぶと同時に顔を背けて離れると、足早に部屋を出ていった。
残された真広は身を起こすと、少しの間思案して……「 友だち とは、難しいものですね」と低く告げ、彼のあとを追った。
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つーか、すでに前のメモもチョコチョコと修正してますし……例えば、奥さまの名前とか(笑)。
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主に恋愛小説の執筆ととめどない落書き。あと、HP運営。
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恋愛小説やら絵やら書いて、裏と表のHPを運営中。ココでは日々のこと、本編の番外か先行掲載を目的にツラツラ生息していこうかと思っています。
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