背徳の姫君。鳴海広之-その後。2

　「背徳」番外、委員長視点のその後……第二回です。
　確か、この委員長は「明朗快活、公明正大」が座右の銘だったはずですが、（チラリと横のアンケートを覗いたら）鬼畜みたい？
　やだわ。どこで、間違ったのかしら（←何を今更(^^ゞ）？？
　彼が鬼畜かどうかはあまり自信がありませんが、ツンデレだなあ……と思うことは多々あります。ただ、あまり言葉にしないので「鬼畜」に見られるのかも。
　私の中で、鬼畜はどっちかというと「帝国秘話」の皇帝です（断言）！

　とは言え。

　「鬼畜」と言えば、メイドだな……ご主人さまだな……と妙なインスピレーションが降りてきました。
　この二人の高校最後の文化祭は きっと 「メイド喫茶」です（笑）！！
　はまりすぎっ、と思うのは私だけでしょうか。

　以下、「背徳の姫君」番外、「鳴海広之-その後」2。
　彼女視点の最後の場面まで……彼視点は、その少しあとまで続きます。
　余談ですが。
　ネット上でなぜお財布のヒモがゆるむのか、検証してみました。思うに、その時に実際にお金を払わないことと、配達されてくるまでの数日がとっても好きらしいです。←個人的趣向？
　なんだろう、あのドキワク感（うっとり）。

――　背徳の姫君。～鳴海広之-その後2～　――

「　志穂　」

　彼の声にカーテンの中の彼女がビクリ、と身じろいだのがわかった。
「鳴海、くん？」
　カーテンごと抱きしめると、頼りない小さな声が彼を呼んで、まるで付き合う前の あの頃 のように息を殺した。
　少女のやわらかい体の感触と体温、小刻みに震える小柄な彼女は黙ったまま、脅えた小動物のようだった。
「おまえ、俺を誘ってるの？」
　広之は強くその脅えた体を抱きしめると、訊く。ちょうど、彼女の耳に唇が触れるように――。
「こんなカーテンに包まってさ……前みたいに体を弄〔いじ〕ってほしいとか？」
「　……ッ！　」
　わざと怪しく志穂の体の輪郭に沿って手のひらを滑らせれば、カーテンの中の彼女は必死で反論した。
「ちがっ……うもん……ッ」
　ほんの少し、湿り気を帯びた声。涙が喉を濡らしたのか、と冷静に広之は（もう、少しだ）と考える。
「そう？」
「　ヤッ！！　」
　カーテンの中に腕が入り、彼女の制服の上から胸と太腿に触れる。スカートの裾が持ち上がる程度まで手のひらを足の腹に添えて、上へとずらす。

「や、やだよ……昨日のことが、嘘だなんてヤダ……イヤ、なんだもん！」

　広之の腕の中で、カーテンに包まった志穂は泣きながら崩れ落ちる。広之が支えなければ、床に突っ伏していたかもしれない。
「嘘じゃないよ」
　「やっ！　信じない」と座りこんで泣きじゃくる志穂をカーテンから出し、胸を貸した広之は答えた。
　下を向いたままの顎をとらえて、上向かせる。
「や、くそく……したのに……うれしかった、の」
　ひっひっ、と喉を鳴らして興奮状態の志穂には、ほとんどの言葉が届かない。
　涙に浸った視界では、目の前の彼さえも見えていないのかもしれない。
「うん、ごめん」
　謝って、広之は「志穂に合わせる」と言った 約束 を守ることができるのかどうか、不意に自信が揺らいだ。
　それでも、もちろん 欲望 を抑える 努力 はするつもりだけれど――。
（とりあえず、コレくらいのキスは……許してもらえるよな）
　と。その嗚咽の洩れる無防備な唇に自分の唇を重ねて、さりげなく 深く 口づけた。


　まさか、その 口づけ が次の日のクラスの話題になっていようとは……露とも思わずに。

　　>>>続きます。