背徳の姫君。鳴海広之-遠くとおく1

　「背徳」番外、大学進学後の二人の小話「遠くとおく」の彼視点の……メモです。
　即興書きなので、文章として変な箇所もあるカモしれませんが、気にしない方向で。
　フロッピーに保存もしてないから……続きをどうするかは未定です。

　「隠れ家」更新はまだまだしてません。
　「60万HIT企画」の方も、ベースだけ用意してまだ内容を移してません。
　明日には、どちらかの作業を終えたいと思います。

　以下、「背徳の姫君」番外、進学後の二人の小話の彼視点「遠くとおく」1。
　小学校時代、もし広之くんがいたら……一緒に苛めていたのかしら？
　うーん、それはないな（苦笑）。ナイナイ！

――　背徳の姫君。～鳴海広之-遠くとおく1～　――

　（あの、馬鹿）といつもの喫茶店に入った鳴海広之〔なるみ　ひろゆき〕は待ち合わせの相手である彼女・山辺志穂〔やまべ　しほ〕の姿をすぐに見つけて息をついた。
　おどおどとした彼女の前の二人掛けの席には明るい色に焼けた短髪の見覚えのない男が座って、ニヤニヤと笑っている。
　地味で大人しいひっこみじあんな 性格 は相変わらずだが、高校の時よりもからまれる回数は格段に増えた。ナンパをされている、というよりは まさに からまれている、というのが正しいのが 哀れ だが。
　あの、困ったような表情に泣きそうな眼差しで仰がれたら、大抵の人間（あえて、男女の区別はしない）は苛めたいと本能的に思ってしまうのだろう。
　広之からすれば、それは庇護欲とほぼ同等の位置づけにあるからやっかいだ。
　優しくしたい時でも、つい手厳しく接してしまう。そんな彼の葛藤など彼女はまるで知らないのだろうが、それがまた癪に障る。

（君が思うよりも、ずっと……俺は――）

『　弱虫のまんま　』
　聞こえてきた、二人の会話に広之は 彼 が ただの ナンパ男ではないことを察した。
『オレだってさ、これでも、ガキのまんまじゃないぜ？　いくらなんでも、あの頃みたいな……調子に乗って悪ふざけするほどの馬鹿じゃねーし。反省だってしてる』
　怯えて俯いた志穂に、広之の姿は映っていない。
　しばらくそんな彼女を観察して、広之はおおよその見当をつけていた。

　――この見知らぬ男は、広之の知らない小学校時代の志穂のクラスメートなんだろう、と。

　　>>>続きます。