背徳の姫君。山辺志穂-遠くとおく3(完)

　「背徳」番外、大学生になったら話の彼女視点の最終場面です。
　最終場面、のわりには中途半端です。
　次は彼視点で続きを書く予定です。

　「隠れ家」の更新は、結局「背徳」番外のバレンタインネタだけアップしてます。ほかのヤツは、時間を見てアップしていきます。
　特にお知らせすることはない、と思いますが……気分によっては、ここで更新したよ、と報告をするカモしれません。
　しかし、「隠れ家」更新分しかネタがないのか？　とちょっと振り返ってみる。なにかしら書いてはいるんですけどねえ。

　以下、「背徳の姫君」番外、山辺志穂視点の「遠くとおく」3。
　彼視点「遠くとおく」の連載はいつになるか、謎です。だって、まだ書いてないんだもん。代わりに高校三年の春頃の二人の話は書きあがっていたり……ブログで連載するかは微妙な作品です（←単に夏ネタ連載を早めにした方がいいか？　と考えているだけです）。

――　背徳の姫君。～山辺志穂-遠くとおく3～　――

「誰？」
　志穂の座る席の傍らに立った広之が、向かいに座る知らない男に視線を向けて尋ねた。
「な、鳴海くん……あの」
　もごもごと口を動かし、上手な説明を探すけれどすぐには出てこない。
「オレ？　木村進。もしかして、山辺のオトコ？」
　意外そうに木村は言って、広之の眼差しに「ああ」と驚いたように席を立った。
「悪い。ここ、オレの席じゃなかった。ふーん、こういうのが趣味なんだ？　山辺って結構面食いじゃね？」
　かぁぁ、と頬を染めて志穂は何も言えなくなる。
　確かに、自分でもそう思うし。
「じゃ、オレ、行くわ。お邪魔さま……山辺の今の彼氏サン。オレは山辺の 昔の オトコってことでヨロシク！」
　ポン、と志穂の肩を軽く叩くと、ニカリと彼は昔と同じように性質〔タチ〕の悪い冗談を口にした。
　そして、
「頑張れよ」
　と、志穂にだけ聞こえるように囁く。
「―――ッ」
　きっと、彼なりの激励に違いないと思う。しかし、釈明をする彼女にとっては 災難 でしかなかった。ただでさえ、上手に説明できるか不安だと言うのに……あらぬ誤解まで与えては、ちゃんと伝わるか分からない。


「志穂」


「……は、はいっ」
　広之は「固まってしまった」志穂の席にある伝票を手に取ると、サッサとレジへと直行した。

　　>>>おわり。