背徳の姫君。番外-遊園地へ行こう1

　いきなりですが、ブログ内で新・アンケート実施中です。
　ご協力ください。←切実にお願いです(T▲T)。

　「背徳」番外、ホワイトデー・ネタの第一回です。
　季節がかなり外れていますが……バレンタイン・ネタに引き続き、気にしなーい方向でお願いします。
　今回の話を書き終えてから、「隠れ家」の方の「陽だまり」ページも更新しないとなーと思って、準備してました。
　が、最終段階で重要なことを発見！
　更新する予定の話は、冬から夏にかけてのお話なのですが……むっちゃ最初の方に「春休み」という単語がありました。
　書いた本人が忘れていたよ（←じつは、コレがすっごく重要だったのね）。
　バレンタイン・ネタとホワイトデー・ネタは、この「冬～夏にかけて」の話の途中くらいを想定して書いていたのです。
　って、春休み来てちゃダメじゃん！　過ぎてんじゃん！！
　急遽、文面を変更して「隠れ家」作品の方は調整中です。
　もしかしたら、表現的にも変な箇所があるかもしれないので、大幅改稿とかしないとダメかも（遠い目）。

　以下、「背徳の姫君」番外、「遊園地へ行こう」1。
　最初の視点は彼、です……バレンタインの頃の舞台裏？

――　背徳の姫君　～番外-遊園地へ行こう1～　――

　二月十三日。


　「はい」と差し出されたそれに、鳴海広之〔なるみ　ひろゆき〕は顔を上げた。


　ガソリンスタンドのバイトを始めて、二ヶ月目ともなれば作業も一通り慣れてくる。学校が終わると直行して、ロッカーに荷物を置き着替えを済ませて事務所で仕事の状況を把握する。
　明日は、普段であればバイトを入れているのだが……シフトを変えてもらって、休みにした。
　理由は、いわずもがな。
（まあ、あいつに 期待 はしてないけど）
　バレンタインのプレゼントを広之に直接、訊いてくるような彼女だ。それでも、忘れていないだけ「彼女」としての 自覚 は芽生えてきているのかもしれない。
　あまり、多くは求めないように自制しているが、つい 手厳しく 接してしまうのは広之の悪い癖だった。

「先輩、明日は休みでしょう？　一日、早いんですけどチョコレートです」

「ああ、ありがとう」
　差し出されたのは、手作りらしい一口サイズのチョコレートの乗った小箱だった。
　事務所に接している休憩室からやってきた市村初美〔いちむら　はつみ〕は、バイト仲間であり、広之の中学時代の後輩でもある。一つを摘まんで笑いかけ、形どおりの礼を言う。
　口に放りこめば甘く溶けるチョコレート。
「明日は、山辺先輩と……ですか？」
「まあね。と、言っても学校が終わってからだから出掛けるつもりはないけど」
　そう、幼馴染の 彼女 とのバレンタインは広之の部屋で過ごす予定になっている。
　こういう時、家が隣同士だと何かと都合が良かった。少し、遅くなっても咎められないし、広之は近所でも品行方正で通っているだけあって彼女――山辺志穂〔やまべ　しほ〕の両親からの信頼もあつかった。
　どちらかと言うと、娘が粗相をしないかと心配しているきらいすらある。
　もし。
　広之が志穂と 品行方正とは言えない 関係になっていると分かったら……いや、そんなヘマはしないし、バレる前にきちんと話をするつもりだ。
　高校も卒業していない身分では時期尚早だから、とりあえずは黙っているが。
「いいなあ、山辺先輩は……」
「どうして？」
　そ知らぬ顔で切りかえして、広之は（そろそろ外に出た方が無難だな）と少し時間は早いが、早々に休憩室をあとにしようと決めた。
　後輩の彼女が自分に好意を持っているのは知っているし、いま、チョコレートではない 何か を渡そうとタイミングを計っていることも、察している。

　知っていて、広之はそれを無視しているのだ――。


（バイト先のみんなに作ってきたチョコレートは食べられるけど、志穂以外の女の子からプレゼントを貰うワケにはいかない）
　広之の隣に住む ひっこみじあんで大人しい 彼女は、（まったくもって不愉快だが）それだけで勝手に身を引いてしまいそうな頼りない少女だ。
　それなら。
　と、厄介なことになる前に断ってしまえばいいのだが……角が立つと何かとやりにくい。
　今のバイトは（割がいいから）変えたくないし、出来れば、穏便に 彼女が 諦めてくれることを広之は冷ややかに願っている。

　　>>>続きます。