恋するオオカミ。の、その後(後)。

　「背徳」番外、夏企画「夢見るウサギ、恋するオオカミ」のその後彼視点の後編です。
　近日中とか言いながら、結構時間が経ってしまいました。
　まあ、週末までに載せておけば……という甘い判断の結果です。
　これにて「夢見る～」関連のお話はおわりです。
　また、何かのネタがあったら（この二人の話はストックがいくつかありますが）連載しようと思います。
　私の好みとしては、高校生の頃の二人が一番楽しいので、できたら高校生の二人で何かネタはないかと探しています。
　……とりあえず、卒業式ネタはアリだな。しかし、それを書くと終わった感が（遠い目）。
　複雑な親心もございまして、載せる話には制約がたくさんあったりします。（「隠れ家」の作品はその範疇ではありませんけど(^^ゞ）

　「いち にの さん」step.3で拍手が結構もらえたので、本格的に連載しちゃうぞ♪　とウキウキ準備中です。
　話の長さは、step.10くらいで終わる中編程度で、ニノ主視点の本編とイチ主視点の番外を予定しています。
　番外は、ちょっと高校生の頃の話とかも出したいなっと思っています。
　ニノ視点で書いてもいいんだけど……彼女を主視点にすると、誤解で終わりそうなんだよね（笑）。
　イチの視点は、何やらニノの可愛いトコロがたくさん出せると思うので書く前からちょっと楽しみです（R指定もやや強め）。

　以下、「背徳」番外「夢見るウサギ、恋するオオカミ」のその後、彼視点の後半。
　こんなケンカはごくごく日常的にあるんだろうなーという１コマです。
　ガンバレ、委員長！

――　背徳の姫君・番外～恋するオオカミ。の、その後(後)～　――

「む、無理……だもん。声、出ちゃうよっ」
「出せば？」
　突き放して広之が短く答えると、彼女はショックを受けて「やだぁ！」と泣きはじめる。
　階下には広之の母親がいて、確実にバレることを恐れている。
（そりゃあ、こんな……関係だってバレれば付き合いを止められるかもしれないけど）
「泣くなよ」
　だから。
　コイツは馬鹿なんだ、と広之はため息まじりに彼女の泣き顔から目を背けた。
「本気でやるワケないだろ、それくらい気付け！」
　怒鳴るとさらに彼女は泣いた。
「ああ、もう鬱陶しいな。泣くなって、俺だって志穂と付き合いづらくなるのは嫌なんだよっ、わざわざバレるような真似をするかよ……それくらい、気付けって言ってるんだよ！　ばかっ」
「ほ、ほんとに？」
（なんだよ？　その疑いの目は……可愛いじゃないか）
　不安そうに潤んだ瞳に広之は煽られて、イライラとした口調で彼女を睨む。
「本当だよ。そんなだから、志穂は男の 単純な 数式も解からないんだ」
「……単純な、数式？」
　ここにきてようやく彼女はその数式が単に数学の問題ではないことに気付いたらしい。パチパチと瞬きすると、首を傾げる。
　鈍すぎる、と広之は頭を抱えたくなった。

「彼氏の前で他の男のコトを考えたらどうなるか、なんてこれ以上ない 単純な数式 だろ？」


　嫉妬。またの名をヤキモチとも言う。

　その答えに至るまで、広之の目の前で彼女は結構な長い時間をかけて延々と悩み続け、ふたたび 寛容な はずの 彼 をイラつかせたのだった。

　　>>>おわり。