小さき姫と年の差侯爵の、結婚。7(終)

　「小さき姫と年の差侯爵」の結婚、第八回です。
　結婚式当日の話、最終話です。そして、たぶん本編はここでおわり……のハズです。
　山場がなかったので後日談というか、結婚式の次の日の話を書くつもりです。視点はチサ視点か、第三者視点（肉食公女あたり候補として）か、初々しい新婚夫婦のノロケなどふまえて、ユルユルほのぼのを目指します。
　あれ？　山場は？　とか深く考えちゃダメですっ！

　「世界樹Ⅳ」の進行状況は、第四大地のメイン迷宮B3Fに入ったところです。どうやら、扉の向こうに回避できざる敵（ボスではない）がいる模様。態勢を整えて、現在B1～B2Fをウロウロ中です。
　ちょっと、レベル上げしすぎている感じがしないでもない、平均「４７」レベルです。
　先日のゲーム三昧から、メディックに一人新しいメンバーを追加しました。
　で、その新参者もレベルは「４７」。
　ほかのメンバーの休息とかしつつ、一緒に武者修行させました。
　打たれ強い（たぶん）、回復役です。
　スキルの振り分けは、暗中模索行き当たりばったりなので、そろそろ休息する頃合いかもしれません。ほかのメンバーも然り。
　でも、コレという案がない間はこのまま第四大地のボスまで突っ走る気も……最後の解禁職のスキルが気になる。

　以下、「小さき姫と年の差侯爵の、結婚」7。
　結婚式最終話、彼女は大人なのか子供なのか天然なのか……周囲の目が生温かく二人を見守ることでしょう。

――　小さき姫と年の差侯爵の、結婚。7　――

「……病める時も健やかなる時も、慈しみ、愛することを誓いますか？」
　神父の言葉はほとんどがキースの耳を素通りしていた。
「誓います」
　答えながら、見下ろせばベール越しに頬を染めるチサと目が合う。
「誓います」
　彼女の唇がその尊い形を象り、言葉を紡ぐ。
　指輪を交換して、その薄い帳を上げて呼びかけた。
「チサ」
「はい」
　恥ずかしそうに俯く彼女を腕に乗せて、抱え上げると驚いたように目を見開く。
　銀色の指輪が輝く小さな指に口づけて、耳のそばで囁く。
「愛してる。君の 血 しか欲しくない」
　そっと彼女の首筋――ではなく、唇に近づいて、塞いだ。



　キリエ侯爵の腕の中で、幸せすぎて死ぬかも……とチサは思った。
　城の中にある祭壇で夫婦の契りを交わして、囁かれた愛の言葉はとても彼らしいものだった。
　食料みたいに愛される、なんて本当ならもっと抵抗とか複雑な心境になるべきところなのかもしれないけれど、夫となる男性〔ひと〕は切実に訴えるからきっと自分がいなければ食事をしないのではないかしら？　と逆に心配になる。
　べつにそこまでは……もちろん、そうだったらいいなとは正直欲張ってしまうけども、求めない。彼が必要としてくれるだけで、十分嬉しいのだ。
　ぎゅっと抱きついて、「わたしの、血だけですか？」と問えば、ぶるぶると首を振ってくれる。従順な獣のようだ。
「君の、すべてだ」
「わたしは、ぜんぶ、貴方のものですわ。キースさま」
　にこにこ笑いながらチサは言い、ほんの少し不思議に思う。
（なんだか、キースさま……目が赤い？　気のせい、かしら？）
　そうして、意識は自分の胸元に下りて起伏の少ないそこに幸せで死んでいる場合ではないと、決意を新たにした。

　目標、少しでもキースさまの所有物〔もの〕として相応しい体になること。

　とりあえず、胸はもう少し大きい方が（きっと）彼の手のひらにはまって（たぶん）いいと思うの！

　　>>>おわり。