北見茉緒の場合。天使の領分3(終)

　「背徳の姫君・番外」下向き少女と隣の委員長の受験風味の年越し、おまけの彼女の従妹視点の最終話です。
　こういうシチュエーションも好きなんですよね。
　どちらかというと、彼視点のほうが楽しそうです。
　なんちゅうか、むっちゃ葛藤がありそうって思います。どう転んでもロリ○○ですしね、手を出しちゃダメでしょ？
　という、葛藤と一緒にSっ気を出したいなあ！
　好きな子を苛めちゃうシチュエーションは大好きなんです！！
　んでもって、避けられたりとかしちゃって、落ち込んでほしい衝動（笑）。いかがでしょうか？

　「隠れ家」の「背徳・番外」を数話更新・追加しました。
　ブログで連載をしたものにR部分を入れたものです。ようやく作業ができてホッと一息です。
　次は、「小さき～」に集中します。
　結婚式までガンバルゾ。恋敵出てきますように！

　以下、「背徳の姫君」番外、天使の領分3。従妹視点。
　いつかこちらのカップルを絡めて小話書いてみたいです。

――　背徳の姫君。～北見茉緒の場合・天使の領分3～　――

　相手は十も離れた、父方の祖父の知人の息子さんで両親は他界している天涯孤独の人。
　事故で知人の夫婦が亡くなって、その子供だけが取り残されたのを祖父が引き取ったのだが……どういう経緯か祖父が彼をいたく気に入り孫である茉緒の婿にと推したのだ。
　由緒正しい北見家の実権を握る祖父が言うことに、誰も反対はできなかった。
　北見家では政略結婚はよくあることで、生まれた時から嫁ぎ先が決まっている――なんてことも、めずらしくない。
　とは言え、自由結婚が普通になった昨今ではちょっと時代錯誤かもしれなかった。
　効力は昔ほど強力ではない。真綿で包むような、というのが正しいだろうか？
　一応婚約者、羽住亘〔はずみ　わたる〕は現在二十五歳で祖父の経営している会社で働いている。まだ要職には就いていないが、時機を見て取締役職に就くだろう。
　仕事ぶりはストイックで、類稀な経営センスも持ち合わせ、祖父が彼を気に入ったのも納得がいく……と茉緒の周囲にいる親戚たちが口々に言う。
　見目もよく、性格も穏やかでそれなりの強かさも兼ね揃え、そして 大人 だ。
　出会ったとき、彼は高校生で。
　茉緒は小学生だった。
　彼はその後、あっと言う間に大人になって、今は手の届かない場所にいる。

　北見家の新年会は会社のそれも併せていて、会場はホテルの広間を一室貸し切って行われる結構大規模なものだ。従姉の彼女はその身に余るあまりな仕打ちに萎縮して、会場の隅っこに逃げてしまった。
　志穂が隅にいることで、茉緒も隅に立つことになったのだが、それでも一応結婚の約束をしている間柄だからか、彼は新年の挨拶にやってきて固まる彼女にこの 事実 を暴露していった。
「亘さん、大人なんだもん。きっと、中学生じゃ相手にならないでしょ？　高校生でもたぶんダメ。意識してもらうにはやっぱり志穂さんに教えてもらうしか」
「いやいやいやいやっ！　茉緒ちゃん、ソレハちょっと飛躍しすぎ……じゃ、ないかな？」
　真っ赤になって志穂が上目遣いで抵抗する。
（志穂さん、ごめんね？　引く気はないの、貴女の彼氏さんは手強いんだもの）

　広之にも当然、ご教授の打診はしたけれど彼の方は気づいていて「やっぱり見られてたんだ」的な落ち着いたものだった。

『そういうのは、俺に請うより志穂のほうがいいよ？　だって、俺は志穂に振り回されてるだけだしね』
　ニッコリ笑った広之の鉄壁の笑顔を思い出して、茉緒はアワアワと困っている彼女に攻勢をかけるべく天使の微笑みを浮かべた。

　　>>>終わり。