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裏表一体、日々のこと。
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 「世界は~」の彼女、茅野繭子視点の第一回です。
 が、コレで終了してもいいかと思うくらいです(笑)。続けるといっても、短くまとめてしまいそうです。
 当初、この彼女の性格は……小悪魔属性にするか、純粋培養属性にするかでぼんやりとしていました。書いているうちに、相手の彼の方が普通にボケボケしているので、自動的に小悪魔属性にシフトしました。
 ついでに、小悪魔と言えば……という過去も追加(←おい!)。
 過去の恋愛経験からの小悪魔属性ですので、基盤となる性格は乙女チックな女の子のつもりです。

 再録ですが、明日あたりに「世界はこうして廻っていく」の続きをアップする予定です。どこまでアップできるかは、わたくしめの仕事のスピード次第です(^^ゞ。

 以下、「世界はこうして廻っていく」side Chino1。
 彼女の方はこんな人……でも、書きたかったのは「彼」の周囲からの評価だったり。




―― 世界はこうして廻っていく。side Chino1 ――

 スラリとした長身。薄い眼鏡と鋭い眼光、歩く姿は流れるように完璧で一縷の隙もない。
 少し重厚な感じの男っぽい骨格に、よく似合う黒髪はいつもピシリとオールバックに撫でつけているのだけど……繭子は、午後の少し乱れたところが 好き だった。

 勿論、一番好きなのは――。


     *** ***


「あー、経理部の里宮さんね……」
 入社してすぐ。
 茅野繭子〔ちの まゆこ〕が社内の廊下ですれ違った その人 に一目ぼれをしたと話したら、同期で友人の市巻羽月〔いちまき はづき〕がすぐに察しをつけて教えてくれた。
 それくらいに、その 彼 は社内でも有名な人物らしかった。
 里宮秋人〔さとみや あきひと〕。
 経理部所属、凄腕の経理マンで入社して3年目でありながらすでに彼に逆らえる人間は、この服飾関連企業『苑』の社内には いない とまで称される。
 数字に関してはどこまでも厳しい上に、理路整然と不備を指摘していくその手腕も只者ではない。相手が誰であろうと怯まないし、しかも彼の場合は入社して3年で社内の経理システムを再構築して効率をサクサクっと上げた実績がある。
 期末の際にごり押しで入ってきた伝票を片手間に片付けてくれたり、多少の無理難題も彼にかかれば融通がきくとあっては……頭を下げた方が得、というもの。
「里宮さん、かあ。素敵よね」
「まぁねー。ちょっと近寄り難いけど 顔 はいいわよね」
 ほわん、となった繭子に呆れたように羽月は言って、お弁当のおかずを咀嚼する。
 その最中も、うんうんと子犬が散歩を強請るようにキラキラとした眼差しで頷くから、羽月の心配は倍増した。
 ごくんと呑みこんでから、忠告する。
「あんたの好きそうな「強面の美形」だとは思ったわよ、でも、いい加減 それ で選ぶのはやめるんじゃなかったの?」
 そう。
 繭子は自他共に認める「めんくい」だった。そのせいで、これまでの男運はことごとく悪い。
 顔で選んでいるのだから、自業自得だと皆は言う。
「わかってるわよ」
 繭子とて、過去の経験があるから「素敵」だとは思うが、あえて「付き合いたい」とまでは言っていない。
(でも、目で追うくらいはいいわよね? 目の保養じゃない)
 里宮秋人の同期で昔馴染みである鴇田聡史〔ときた さとし〕から、彼に「彼女」がいるという情報が流れたのもちょうどこの頃のコトだった。
(やっぱり……彼女、いるんだあ)
 そりゃあ、あれだけの美形〔かお〕だもの。いないワケがないか?
 昔の繭子なら、この程度では諦めない。けれど、やはり縁がないのだとこの時は思った。
 大体、彼女持ちの人を好きなって「良かった」経験なんてない。結局、「二股(あるいは、それ以上)」をされて終わりだった過去〔こと〕を思い出すと、ダメダメと自らを自制する。



 でも、そんな繭子の気持ちとは裏腹に里宮秋人という彼を目で追って、知れば知るほど好きなった。
 甘いものに目がなくて、子どもっぽくて、不器用。人の好意に鈍くて、見えないところでとても優しい。
 たぶん、今まで好きになった人たちとは 全然 違う。
 見た目も勿論好きだけど、内側をもっと知りたいと思った。
「あ、あの……里宮さんに彼女がいてもいいんです。受け取ってもらえるだけでっ」
 我慢できなくて、バレンタインデーにチョコレートを手渡したら、彼は怪訝な顔で「彼女?」と首をかしげた。
「どこで、そんな冗談が……」
「え? でも、鴇田さんが新入社員の歓迎会の席で流してましたけど」
 しばらく固まった秋人に繭子は「どうしたんてすか?」と訊ねてみた。
 すると、「いや」と首を振って……なんて絵になる苦笑い。見惚れちゃう。

「こっちのことなんだ、ありがとう」

 と、彼は繭子からのチョコレートを快く受け取ってくれた。

  >>>続きます。

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