バレンタイン・ミッション2

　「バレンタイン・ミッション」の男の子側です。
　でも、もうちょっと続きます。
　最後まで書けなかったー！
　女の子の名前を、変えたいような衝動にかられていますが……今のところ我慢してます。
　まー、そのうち慣れてしまって変えようと思ってたことも忘れると思うけど。

　「バレンタイン・ミッション」……次で終わる予定です。
　ホワイトデー企画かなんかに繋げるかもしれませんが、まだ未定です。

――　バレンタイン・ミッション～男の子の気持ち～　――

　２月１４日、机の上には差出人不明の鮮やかな箱が数個乗っていた。
　クラスメートの冷やかしに肩を竦めて、とりあえず机の中に入れてしまえと突っこもうとしたら、机の中にもいくつかのラッピングされた箱が詰まっている。
（なるほど。だから、机の上にあったのか……）
　と、妙に納得する。
　甘いものは好きだ。
　特に、チョコレートは３度の食事にしてもいいくらい好物だから嬉しくないわけではない。
　けれど。
　以前ほどに手離しで喜べるか？　と問われれば……とてもそうは思えなかった。

（ほろ苦い思い出だな）

　なんとなく、去年のことを思い出してため息がついて出た。
「はーい！　男子諸君。クラス女子からチョー義理の愛を込めて、チョコレートだよー」
　そう教室の扉を開けて元気に入ってきた彼女は、彼の幼馴染だった。
　陸上部のハードル選手で、スラリとした女の子としては長身でサバサバとした性格の持ち主だ。色恋なんて縁がなさそうだと思っていたが、そうでもなかったらしい。
　案外、そのあたりは乙女チックで可愛いところがある。
「はい、高橋もどうぞ～」
　好きでしょ？　とばかりに箱に並べられた小粒に丸められたチョコレートを差し出して、ニカリと笑う。
　断る理由なんてないし、手を伸ばして一個を口に放りこんだ。
（……倉橋の味だ）
　食べなれた味に、その姿を探す。
　２年になって、明菜が最初に仲良くなったのが調理部に所属している倉橋江美〔くらはし　えみ〕だった。
　紹介された時、彼が甘党だと知って時々作ってきてくれるのだが……そのお菓子が本当においしいのだ。
「高橋くんって、本当においしそうに食べるんだね」
　いつもはにかむように笑う、優しい笑顔に癒された。
　うまい、うまいと周囲のクラスメートが絶賛するのを（当然だ）と心の中で憤慨し、この味は自分だけのものだったのに……と妙な独占欲にドキリとする。
　この気持ちには 覚え があった。
「倉橋は？」
　一通りの男子に配り終えた幼馴染に姿の見えない彼女の居場所を尋ねると、やっぱり高橋には江美の味が分かるんだね？　と笑われた。
　悪いか？　と睨みつけながら、返事を促す。
「江美だって、今日、渡したい相手がいるんだよ。分かるでしょ？」

　しばらくして、教室の扉が開いて息を弾ませた倉橋が入ってきた。俯き加減ではにかむと、「おはよう」と頬を染めて言った。

　　>>>もうちょっと、続きます。