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裏表一体、日々のこと。
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 「夕焼け」本編2、第十話。最終話です。

 さて、昨日の予告通り「うらキロ」更新しております。
 「Oパーツ」と、そして「夕焼け」目次ページ。
 本当はこの、最終話まで更新する予定だったのですが、……もう少し、推敲したくて(最終話ではなく、その後のほうを(^^ゞ)。
 で、昨日は言ってなかったんですが、「あらすじ」も急遽作りました。
 前に線画で出していた分、「解説」ページの二人の彩色後を載せています。
 ちょっと、雰囲気変わりますね。
(私信、馳くんの絵の件ですが、近日中にメールしますね~お待たせして、すみませんでしたm(__)m)

 現在の私の脳内。
 「夕焼け」の一場面が浮かんでいます。
 輝晃くんが、転校を決意する場面なんですが……やっぱり小槙さん関係です。やだよ、この男は。
 輝晃くんがスカウトされた噂に関して、小槙さんのこの一言。

「きっと、わたしたちのことなんか忘れてるよ。でも――覚えててくれたら、会いたいね」

 ではでは、「夕焼け」2-9。
 最終話は、楽屋の話。明日くらいに、「拍手」おまけページにて、このあとの楽屋話をアップ予定にしています。



―― 夕焼けと机と教室と。2-9 ――

 控え室の集まった廊下を行くと、血糊のべったりついた役者や無造作に置かれた小道具で足の踏み場はわずかしかなかった。
 一番、奥の控え室にはメインになる役者の名前が掲げられていて、その扉の周囲にはほかの控え室とは比べようもない華やかな花がたくさん並んでいた。
 野田がノックしてヒカルを呼ぶと、「どうぞー」という複数の声がかかって、その中に亜矢子がいることに気づいて小槙は緊張した。
「ヒカル、仁道弁護士を見つけてきましたよ」
(見つけてきたって……なんや、犬か猫みたいやなあ。わたし)
 と、小槙は困惑した。
「お邪魔します」
 そろそろと入ると、いきなり抱擁された。

「 小槙! 」

 ビックリして、小槙は彼を突き飛ばした。
「なっ、なにすんねん! いきなり」
 今日は舞台ということもあり、眼鏡をかけた小槙はずれたそれを直しつつ、頬を染めた。
 控え室の中には、予想通りの護衛女官役の亜矢子や、頭の切れる宦官役、お茶目な皇帝と若々しい皇后、無口な皇太子、それに小さな皇女〔ひめ〕がくだけた様子でそれぞれに座ったり、立ったりしていた。
 刺客役のヒカルは、「いてー」と大袈裟に顔をしかめる。
「俺と小槙の仲やん」
 カッ、と小槙は動揺した。
「ど、どういう意味やねん!」
「そりゃあ、もちろん――」

( 何言うねん何言うねん何言うねーん! )

 うわー! と小槙は彼に抱きつく。
 が。

「 幼馴染や 」

 ご満悦のヒカルに シッカリ と抱きとめられた小槙は、悔しくて仕方ない。
 ガクッ、と肩を落として、さめざめと言った。
「騙された……また、騙されてしもうた」



 落ちこむ彼女を半ば放置して、ヒカルは笑うみんなに向き直って改めて紹介した。
「仁道小槙弁護士、俺の小・中・高と同じだった幼馴染です」

「ほう、なるほど」
「小・中・高とは、なかなか年季が入ってますねえ」
「いやいや、仲がいいワケだよ」
「あら? 高校って言ったら……亜矢子さんもお知り合い?」
「ええ、まあ。わたしは一学年上ですから、部活が違うと接点はあまりありませんでしたけど」

 「ハルヒーハルヒー、わたしもだっこー」と小さな皇女にせがませて、ヒカルは少女を抱き上げて「仁道は観劇が趣味なんですよ」といい加減なことを言った。
 そして、不思議そうに訊く。
「そーいや、今日は俺のこと睨んでなかった?」
「なっ?!」
(なんで、そないなこと知ってるん?)
 ビックリして、思わず 思いっきり 否定した。
「睨んでへんよ、今日は久しぶりに眼鏡にしたから度が合ってなかったんちゃう?」
「ふーん、そうか?」
 そうそう、と笑って誤魔化し、小槙はドギマギする。
「にしても、そんなこと舞台から分かるん? 確かにいい席やったけど」
「そら、分かるよ。仁道が来るの知ってたし」
 それに、とヒカルは懐かしそうに小槙の眼鏡に触れた。

「それに、舞台の上からは案外いろんなモノが見えるんや」

 高校時代の演劇部定期公演、体育館の隅の立ち見席だったりもしたが……必ず小槙が観に来ていたことを輝晃は知っていた。

  >>>おわり。

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