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裏表一体、日々のこと。
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 「不安定近隣系図」四話目。
 視点、一巡しました。
 男性視点は案外スラスラっと書けるのですが、何故か女の子視点は難産になります。どちらも考えすぎなのでしょうか。
 そういう意味では、愛美さんが一番難しいな。天然のクセにっ。

 「小説家になろう」様にて、ようやく重い腰を上げて「小さき姫と年の差侯爵、の結婚。」を投稿し始めました!
 やろうと思えば一気投稿も可能なのですが、ココは少しずつ読み直しながら矛盾場面とか誤字脱字が少なくなるように訂正など加えたりしています。
 結構、矛盾場面あるなあ(←ダメじゃん!)。
 一応、どうとでもとれるように書き直しました(苦笑)。大幅に書き直すと話自体、全面的に書き直すハメに……あわわ。
 書いていた頃の自分がどういう意図で書いていたのか、謎です。たぶん、あんまり深く考えてなかったんだろうなあ。だから、最後でそういう設定をスコンと忘れるんデスよー(^^ゞ

 以下、「不安定近隣系図」無自覚な羊飼い。
 なんだかんだと面倒見のいい彼視点。
 羊には勝てない彼は、いつか狼になるんでしょうか……むしろ、羊さんは以外に肉食? とかいう流れかも。




―― 不安定近隣系図 ~無自覚な羊飼い~ ――

 春日真〔かすが しん〕は自室の勉強机に向かってまずは今日出された宿題からとりかかり、ふと窓を見て藍色の空に気づいて振り返った。
「悪い、志野……」
 と、部屋を見渡してそこにあった彼女の姿に(またかよ)と呆然とする。
 スヤスヤと眠る彼女は、しっかりと布団にくるまってじつに暢気な寝顔だ。高校生の男の部屋にいて、その部屋のベッドに何の抵抗もなく潜りこむ、というのはいかがなものか。
 だが、しかし、それが志野原愛美〔しのはら いつみ〕なら仕方がない……というか、どういう理由かホッとする面もある。
 昔ほどの危機的な状況ではないにしろ、それでも愛美は十分に栄養や睡眠を摂れているワケではないらしい。手首や足首は華奢なまま肉らしい肉のあまりついていないほっそりとした体からは発育不良が見てとれる。
 布団から出ている手首をとって、「細すぎだぞ」とぼやいてみるが目覚める気配はない。
 それだけ、熟睡している……ということだろうか。
「しん、ちゃん……」
 眠ったままの彼女の唇からこぼれた名前にハッとして、その顔に目を瞠る。
 たまに、彼女は涙を流すことがある。
 起きている時ではなくて、大抵眠っている時……なんで、泣くんだよ……と真は思う。
 起きて、意識のある彼女はどちらかと言うと、無駄に笑っていることの方が多いのに。眠っている時はどこか不安そうで、涙ばかり流している気がする。
(薄幸そうな、顔、してるよな……コイツ)
 親指で涙を拭えば、彼女は身じろいだ。
「志野」
「ぅうん……あ、真ちゃん。おはよ?」
 にへら、と笑った愛美に「あー、おはよ」と頭を撫でながら答えて立ち上がる。
「おまえ、男の部屋で寝るなよな……襲われるぞ」
 ブツクサ、愚痴を言ってはみるが、「えー? 襲ってよぅ」と本気には捉えていない様子で返される。
 まあ、俺も(たぶん)本気じゃないさ。
「勉強、終わった?」
 寝起きはすこぶるいい彼女はモゾモゾと布団から這い出てくると、訊いた。
 ああっ! スカート、捲れてるぞっ。目の遣り場に困るだろーが!!
「まあ、一段落だな。あとは、夜やる」
「そっか」
 身支度を調える愛美を早々に部屋から出るように促して、真はいつものように誘った。
「家まで送る、けど。夕飯は食べて行けよ」
「うんっ!」
 わーい、と屈託なく背中にくっついてきた彼女の重みを支えて、願わずにはいられない。

 志野がずっと、笑っていられるように。

 夢の中でも笑えるように、なれば――いいよな。



 彼女を家に送る道すがら。
「 文化祭? 」
「うん、美晴ちゃんの高校でね……あるんだって。きっと、美晴ちゃん可愛いよー」
 可愛い、の意味はよくわからなかったが、とりあえず本題だけ確かめる。
「行くワケ?」
「うん? ダメ? 一人で行ってくるよ。たぶん、栗石くんもいるし」
 大丈夫だよ、と首を傾げる愛美は何も分かっていない。
 だから、なんで――。
「俺も行く」
「え?」
 当然だろ、と言う真に愛美は不思議そうに瞬いて、「いいの?」と気遣わしげに見上げてきた。
「ったく。一人で行くとか、意味わかんねぇ……俺たち付き合ってるんじゃねぇの?」
 まあ、形だけではあるけれど。
 と。
 握った小さな手を確かめる。
「……うん。うん! 嬉しいっ、真ちゃん!」
 何に猛烈に感動したのかは定かではないが、愛美が急に抱きついてきて真剣に訊いた。
「キスしたい、していい?」
「げ。うわっ、やめろ」
 許すと唇に寄せてきそうな勢いの彼女に慌ててストップをかけ、真は思いとどまらせようと試みるが……キスを「しない」という妥協点は見つからず、頬にならという提案でどうにか納得してもらった。

 チュッ、と。

 頬に感じる唇の感触は、少し、冷たくて。

(……コイツ。案外、積極的だよなー)

 手繋ぐのは恥ずかしいぃとか言ってたクセにさ、と夜の空を見上げて――なんとなく、負けた気分で抱きしめた。

  >>>おわり。

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