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裏表一体、日々のこと。
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 「不安定近隣系図」五話目。
 ふたたび、難解天然(自虐)少女の視点に戻ってきました!
 明るいと見せかけて、誰よりもネガティブな娘なので……テンションを上げさせるのが難しいのです。真ちゃん、引き上げてあげてー! と祈るばかりです。
 やれやれ。
 サブタイトル、ハロウィン仕様は終わったので(←え?)通常仕様に戻りました。
 「強欲」と言えば、『鋼の錬金術師』にでてくるホムンクルス(あれ? うろ覚え単語なので自信がない……)の彼、を思い出します。
 人間、強欲じゃなかったら繁栄してないでしょうね。良くも悪くも。

 近況と言えば、前のブログで書いた「小説家になろう」様で連載をはじめた「小さき姫と~」のお気に入り登録数がかってない(当社比)数になって、何が皆様の琴線に触れたのか分からないまま、キョロキョロしてます。挙動不審ですが、気にしない!
 こんなに挙動不審になったのは、過去の「Moonlight Piano」以来かと思います。
 幸いなことに、「小さき姫と~」はすでに書き上げている作品なので未完結のまま、放置という体たらくはせずにすむので安心(満足いただけるかは、微妙ですが(^^ゞ)。
 お気に入りに登録いただけるのは、素直に嬉しいのでこれからもよろしくお願いしますね!

 以下、「不安定近隣系図」強欲。
 文化祭、ってどんなんだったかなー? と考えながら手探りで書いてます。特に女子校の文化祭、なんてどんなんなの(素朴な疑問)?
 波乱含みのまま、次の視点に移ります。





―― 不安定近隣系図 ~強欲~ ――

 ただ、見ているだけで十分だった。
 でも、本当は願っていたの。

 あなたに手を差し伸べてもらうこと。

 それが間違いでも……わたしはきっと世界一幸せになって、ほんの少し 不安 なる。
 本当は愛情が、あなたの心が欲しいから。


 ドン!

 流石、女子校の文化祭とあって志野原愛美〔しのはら いつみ〕は彼女たちの勢いに弾き出された群れの外から、その光景をぼんやりと見た。
 女子校の文化祭、とは言え、男性もそれなりに入っているが、そこはやはり見目のいい同年代の方が注目度は高いのだろう。駅で合流した栗石要〔くりいし かなめ〕は文句なしの美形であるし、春日真〔かすが しん〕も荒削りではあるけれど悪くない顔立ちのいい男である。
 迎える彼女たち売り子が、群がらないハズがない。
 キャワキャワと集まるいろんなコスチュームの女の子たちと、囲まれた彼女たちよりも頭ひとつぶん高い要と彼よりもやや低い背の真を眺めて息をつく。
(うん。仕方ない……あ、でも、真ちゃんに触るのはじぇらしー)
 ジーっと見てはいけない、とバッと顔を背けて、愛美は(美晴ちゃんを探しに行こうかなあ)などと一人で考え始める。
 たぶん、あとで合流できるだろうし。

「志野」

 そう考えた矢先に、群れの中から呼ばれた。
 手を差し伸べる彼は少し不機嫌そうでいて、照れてもいるようだ。
「なに、離れて見てるんだよ……俺、彼女持ちだから」
 などと言って、周囲の彼女たちを牽制した。
 そして。
「栗石……は、いまフリーだっけ?」
 と、隣の優美な微笑みの彼に水を向ける。
 要はにっこり笑って、当然と答える。

「いるよ。可愛い 彼女 がね」

 どこかで。
 カエルが車にでも轢かれたような……でも、それは よく知る人 の「げぇっ!」と呻く声に似ていた。



 愛美が抱きつくと、彼女は「は、はなせ!」とジタバタと手足を振り回して暴れた。
 うーん、なかなか懐かないこの感じ……美晴ちゃんだなあ(うっとり)。
「美晴」
「 ! 」
 ビクッ、と腕の中の彼女の体が強ばって、警戒したのが丸わかりだ。
 横目で確認すると、険しい眼差しで睨んでいる。たぶん、名前を呼んだ彼(栗石くん)だと思う。
「誤解してる?」
「してねぇっ!」
「???」
 なんだかよく分からない遣り取りの栗石兄妹に、愛美は首を傾げて、ちょっと心配になった。
(美晴ちゃん……顔が、真っ赤だよ? 病気?)
 目は涙で潤んでいて、動揺している。明らかにテンパっているのが分かる。
 ドンッと強い力で彼女に突き飛ばされて、愛美の軽い体は後ろに傾いた。
「ひゃっ!」
 尻餅をつく手前で、背中を何かに支えられ「ったく。空気読め……」と呆れた様子の真が後ろに立っていて、支えてくれたのが 彼 だと知れる。
「………」
「志野が読めるワケ、ねぇか……」

(ああ、そうか……)

「誤解、したの?」
「だろうな……すぐにそうじゃないって気づいたみたいだけど、どっちにしても逃げたな。アレは」
「美晴ちゃん、だもんねぇ」
 ぼんやりと脱兎のごとく逃げ出した栗石美晴と、それを追いかけていった要の消えた方角を眺めてから、顔を見合わせた。
「美晴ちゃんの修道女〔シスター〕姿、堪能できなかったな……」
 栗石くんめ、と心の内で恨みがましく罵っていると、手を差し出される。
「いいんじゃね? 栗石兄に任せておけば、そのうち戻ってくるさ。その辺で時間つぶそうぜ、志野?」
 ジーッと手のひらを凝視する愛美に、真は怪訝な顔をした。
 おずおずと重ねて、戒める。
「うん。大丈夫……真ちゃん、いつもありがとう。大好き!」
 えいっ、と彼の腕に抱きついて、そこに頬を擦り寄せた。

  >>>おわり。

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