背徳の姫君。本編外伝-蜂と花

　突発的な、外伝です。
　最初のポイントは……ハチくん（年下彼）とハナさん（先輩彼女）の微笑ましいやりとりから始まったモノです。
　なので、その場面だけのワンカットで書いてみよう、という気持ちで現在精神統一中（笑）。
　それが、どうして「背徳の姫君」しかも本編の外伝なのかというと……読めば分かる（人にだけ分かる！）。
　彼の方の名前は結構すんなり決まったんですが、彼女の方の名前が曲者で、ついつい「あー、これなら○○の娘にしちゃえば？」と思いついた。
　そしたら、ちょうどいいトコロにその人がいた（←おいおい）ので、イタダいた！

　一週間ほど雲隠れしていて、コレです。申し訳ないm(__)m

　さて。
　本編外伝の主人公は……本編ではナンとも評し難いあの人です。たぶん、性格的にはまったく変わってないんだろう（と願っています）。
　ハチくんの方は、きっと、たぶん、外国の観測所かなんかで働いているのでしょうね。

――　背徳の姫君。～本編外伝-蜂と花～　――

　そこは――満天の星。


　学校の屋上に集まった、帝都浦川高校・天文部の一同はおのおのの機材を調整して、愛すべき宇宙〔そら〕を眺めようと目を輝かせる。
「ねえ？」
　と、彼もまた宇宙〔そら〕を愛する人種の一人だった。が、そんな彼にぴたりと寄り添う彼女は そう ではない。
　望遠鏡を覗き込んでいる彼に囁くのは、愛の言葉……ではなく、
「キスして」
　あからさまなお誘いというか。
　彼は望遠鏡から目を離すと、「はいはい」と笑って答える。


　それは――彼女の 常套句 だったから。



「って、コラ！　ハチ！　人目も憚らずにイチャこくなっ」
　季節は冬の寒空だというのに、なんだか暑いと二人を引き離すのは天文部の副部長だった。
「えー？　なんでよ」
「なんでよ、じゃない。なんでよ、じゃ……大体、ハナは 天文部 でもないでしょーが」
　部外者のクセにナニやってんの？　と睨むと、彼女・汐宮君枝〔しおみや　きみえ〕はにこりと微笑んだ。
「でも。わたし、華道部の部長だから？」
　あまりにすんなり答えたものだから、妙な間が空いた。
「　かっ、関係ないでしょーっ！　」
「まあまあ、副部長」
「えーん、ハチ。あんた、こいつの彼氏でしょ……ビシーッと言ってやってよ、ビシーッとっ！」
　泣きついてはみるものの「未来の部長」と目される一年生の蜂谷聖〔はちたに　ひじり〕は、彼女に対してはすこぶる甘い。惚れた弱み、とでも言うのか。
「うーん。でも、ハナ先輩は コレ が普通だし、ねえ？」
「うん。聖くんのそういうトコロが好き」
　にっこり笑って、ギューと腕に抱きつき甘えるように頬をすり寄せる。
「そうかな」
　と、彼の方もまんざらではない様子。
（ダメだ、この二人は……）
　クラクラ、となりながら（しかし、コレも実はいつものことだ）出来るだけ視界に入らない場所に移った。

　　>>>という、場面を思いついたワケです。
　二人の出会いもちょろりと考えたのですが、長くなりそうだったので諦め……このあと、二転三転ナニかがありそうな予感です。背徳なだけに（←不穏？）。