手のひらに、Ｏパーツ。春の目覚め6-1（2）

　「手のひら」の春の目覚め、6-1の第二回です。
　コチラの場面は、二年前から頭にあったモノですが……当初は、奈菜視点で進行していたモノです。
　しかし、それだと全然動いてくれなくてねえ（遠い目）。
　挑んでは挫折を繰り返した代物です。
　遥視点にしたら、すんなり動いたのが目からウロコでした（笑）。

　しかしながら、毎度のようにちまちま進行です。
　久々に「続き」のご希望をいただいたので、今のうちに連載再開したいトコロです。

　そう言えば、「帝国秘話」の「しなやか～」にもメールいただきました。あの俺様皇帝とウサギ妃の話は、ウケがいいのかコメントがついていることが多い？　気がしてなりません。
　発表した頃は、あんまり反応なかったんだけど……じわじわとドコかで火がついているのかもしれません（←えー？）。
　皇帝については、個人的にはどうよ？　という自主ツッコミな存在なのですが、楽しんでいただけるのならドコドンと鬼畜にしていく所存です(^^ゞ。
　一番、続きを書きたいのは彼の孫の話だけどさ。

　以下、「春の目覚め」6、「彼の名は怪盗」1-2。
　練習用のお絵かきチャットは、時々出没しています。不定期ですけど……今日は、「ピアノ」の二人のお子さまを練習として描いてました。
　羽根、つけた。羽根（笑）。
　いや、私のイメージでは彼ら二人の長男は「天使」のイメージなので、外も内もね！

――　手のひらに、Ｏパーツ。春の目覚め6-「彼の名は怪盗」1-2　――

「いいだろ、落ちこむくらい……ちゃんと仕事はする」
「 当然 よ」
　さも当たり前とばかり、冷たい無表情で言ってのけた姉貴は（バカな子ねえ）という顔をした。たぶん。
「遥君はごめん、じゃない言葉を彼女に言いたいんだろ？」
　と、甘く響く美声でセンパイが微かに笑みをこぼす。
　姉貴の胸を揉みながらっていうのが、アレだけど……一応、激励のつもりらしい。
　いつもなら（笑うな！）と睨みをきかすところだが――。

　コクリ、と俺は思いのほか素直に頷いた。

（そうだ。俺は、言いたいことを間違えた――とても、大切なことを）
　「仕方ないわね」と姉貴は息をついた。
「不安要素は排除すべきよね。遥は――奈菜ちゃんに会って、ちゃんと伝えてくればいいわ」
　閃く眼鏡。
「姉貴……」
「ただし、 時間は ない わよ」
　と。
　冷ややかに釘を刺すところが、姉貴らしい。

「解かった」

　俺は沈んでいたソファから立ち上がると、荒れる直前の夕闇の下に飛び出した。



「　……しかし、だ　」
　勢いで飛び出したはいいけれど、奈菜の家の前に立って途方に暮れた。あたりはすでに、夜の帳が下りていて薄暗い。
　転々と灯る街灯が、暗い夜道を照らしている。
　一際、強い風が吹いて髪が激しく頬を叩く。
　俺はそれをかきあげて、目線を上げた。そこには、一つの窓があって、明るい色のカーテンが掛けられているのを知っている。今は、閉めきられ電気も消えているから判然とはしないが――。
「部屋には、いない……か」
　夕飯時だ。
　おそらくは、家族と一緒に団欒を過ごしているのだろう。そう思うと、逆に会わずにすむ今が 自分にとって 一番都合がいいような気がした。
　気持ちを……上手く、伝えられる気がしない。
　逆に、イロイロ制御不能な シチュエーション が起こる可能性は 妙に ある。
　イカンイカン。
　頭を振って、考えを改める。
「………」
　それなら、コレだけでも彼女の部屋に置いていけば事は足りるし、時間だってかからない。
（――だよな？）

　　>>>続きます。