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裏表一体、日々のこと。
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 彼視点、書きました。
 いや、書きたかったのは小学校時代のファーストコンタクトですよ。
 こういうの、好きなんです。

 続きは、やっぱり「拍手おまけ」ですかね?

―― 夕焼けと机と教室と。~2-1~ ――

「カッコよかったよ……嘘やない」

 運動会の閉会式後の、医務用テントの中は差しこむ夕焼けの赤い色に染まっていた。
 電光のない薄暗いそこで、保健委員長である彼女は後片付けをしている最中で……やってきた俺にイヤな顔ひとつせずに招きいれた。
 本当は嬉しかったんだ。
「気休めやろう、あんなんカッコいいわけがない」
 運動会最後のリレーで、アンカーだったのは二回目。軽く見ていたバチが当たったと思った。
 こけて擦りむいた膝によくしみる薬をぬってほしかった。
 けれど、対応した彼女は優しくて無性に腹がたった。
「気休めなんかやないよ。だって、最後までカッコよかった」
 真面目な彼女が、一生懸命言う言葉に癒された。
「うそつき」
 悔し涙が、出そうになってつい言わなくてもいい憎まれ口をたたく。
 彼女は、ビックリしたように震えて急に立った俺を見上げた。
「馳くん、ホンマやから。わたし、嘘はつけへん」
 だろうなあ、と思う。
 頬をぬぐって、俺はどんな顔をしたのだろう。
 自分ではわからない。

「知ってる。けど、 一番 になりたかった」

「 なれるよ、馳くんなら 」

 頑〔かたく〕なに言う彼女……仁道小槙〔にどう こまき〕は真っ赤に染まった空気の中で馳輝晃〔はせ てるあき〕の「 特別 」になった。
 ほかの誰が言っても、疑ったにちがいない。
 生真面目な、馬鹿がつくくらい素直で厭味なほど頭がいい彼女。
 纏〔まと〕う空気は冷たく近寄り難いのに、話しかけたら案外人懐っこくてハラハラする。

 普段は、遠くから見るしかなかったから、気が気じゃない。
 小・中・高と一緒だったくせに……驚くほど接点がなかった。
 特別なことがない限り、繋ぐモノがないんだ。
 俺たちには――。
「さようなら」
 転校の日に何気なく発せられた彼女の言葉に、「繋ぐモノ」が本当になくなるんだと予想外に動揺した。

 ガタガタと机が派手にぶつかり合う。

 誰もいない教室は、あの日の夕焼けに似ていた。
 彼女が小さな悲鳴を上げて、唇でその声を塞ぐ。
 「繋ぐモノ」、この時はコレしか思いつかなかった。あとで、落ちこんだりもしたけれど、後悔したことは 一度も なかった。


 それは、今も変わらない――。

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