夕焼けと机と教室と。～ご指名ですよ、小槙さん2-1～

　はじめて、触れた彼女の唇はとても……とても熱かった。

　遠く騒然となる観客席と舞台裏の袖の方を背中に感じて、馳輝晃〔はせ　てるあき〕は自分の手の中でぐったりとなっているジュリエット姿の仁道小槙〔にどう　こまき〕にしか目がいかなかった。
　眼鏡を外したその無防備な顔。
　すべては彼の腕に委ねられている――なんていう誘惑だろうと思う。

　触れるだけのキスで我慢した、あの頃の自分を今でも 尊敬 している。

　　>>>続きます。

　ってコトで、現在考え中の番外の番外SSです。
　「ご指名ですよ、小槙さん」の輝晃視点。
　騒然となった舞台は、彼が立ち回って収拾をつけたのだとは思いますが……女の子たちの「それどころではなかった」という悄然とした顔が目に浮かびます。
　可哀想に。

　この後の中学生時代については、本編でちょろりと出ているので多くは語るまい。
　疎遠になる二人に、誤解はつきものです。

　続き、そのうち書きます。
　今日はここまで。