夕焼けと机と教室と。「はじめまして」の話。1

　「夕焼け」ご挨拶ネタ、第一弾「はじめまして」の話……第一話いきます！
　視点はちょっと、変則的です。
　前の「初恋と親友と」もカナコ視点だったので、開き直りますが。
　今回は、小槙さんのお兄さんである旭視点です。
　なんつーか、この人視点でないと書けなかったよ（叫）！
　って、コトでどうぞご寛容にご覧ください。
　焦らしが好きなワケではありませんが、ほかの人から見た二人が……今回の「ご挨拶」ネタの醍醐味だと、私は勝手に思っています。
　最後は、ちゃんと二人の視点でいきますので、それまでは結構健全です、たぶん。

　さて、そんな「夕焼け」のアンケートにご協力していただいてありがとうございます。
　現段階で……現状維持とTOP隠しにほぼ割れているので……ちょびっとどうしたものか（遠い目）と悩んでおります。
　ブログ、確認をしていただけているというありがたいお言葉があって、涙がホロリといたしました。
　案内のページに……という案にも、需要があるらしくそれも参考にしようかと思っています。
　どうも、うまい隠し技術を持っていないので、TOPに隠しリンクをするにしても古典的な手法ですぐにバレちゃうんですよね（笑）。
　とりあえず、今しばらくアンケートの動向を見つつ、特典のページについて考えようと思っています。
　特典ページはいわゆる、今までの掲載作品で目次にアップするのを止めているイベントものをメインに作ろうと考えています。
　「猫★日和」シリーズと「ハロウィン」……それに、今回の「ご挨拶」ネタの最後の年明けの話（「夢色恋情」の別視点）とか入ります。たぶん。
　お知らせの仕方は、またテキトーに考えますが。
　アンケートに参加してくださった方には確実に連絡がいくように、考えたいと思います。無記名投票の方でも大丈夫なように……こまめに、アンケートの結果を確認していただければ、何か連絡事項が載っている可能性大です。←ココ、ご注目！
　特典ページが読みたいゼ！　な方は是非、アンケートにご協力くださいね(ＰＲ)★

　以下、「夕焼け」……「はじめまして」の話、第一話。
　猫かぶってます、猫かぶってます（大笑）！

――　夕焼けと机と教室と。～「はじめまして」の話1～　――

　仁道家の大晦日、いつもと違う賑わいに仁道旭〔にどう　あさひ〕は顔をしかめた。
　隣の応接間から聞こえるのは、母の上機嫌な笑い声と恥ずかしそうな妹の声……それに、若い男の低音で優しい声だった。
　それを職業としているだけあって、発声がいいのか大きくはないのによく耳に届く。

「まあまあ！　ホンモノはやっぱり違うわねえ。男の人やのに華があって、うっとりしてまうわ……小槙をもらってくれるやなんて、嘘みたいや。ホンマにええの？」
　コロコロと笑う声に、彼は真摯に答えた。
「ええ、というか。俺のワガママなんですが、お嬢さんには無理にお願いしました。ご両親への挨拶が、あとになってしまったことは心苦しいのですが」
「そんなの、気にしなくてよろしいわ。わたくしどもも 重々 、 承知 してますから」
「恐れ入ります」
　今、人気の若手俳優である八縞ヒカル〔やしま　ひかる〕こと馳輝晃〔はせ　てるあき〕が、旭の妹、仁道小槙〔にどう　こまき〕の結婚を約束した 付き合っている男 である。
　その公にできない間柄のためか、つい最近まで家族にまでその関係を隠していたのだが……結婚の約束を機に明かされた。
「あんたも幸運な娘〔こ〕やねえ、小槙。彼、アルバムに挟んでる写真の男の子やろ？　いやあ、確かに集めたくなるのも無理ないとは思ってたけど」
「！　お、お母さんっ、見たん？！」
「だってえ、気になるやろ……娘が自分の写真やない写真も頼むやなんて」
「だ、だからって今、言わんでも……」
　口ごもる小槙に、場は和気あいあいと笑い合うこと、しばし。

　かちゃり。

　と、旭のいる居間の扉が開いて妹がおずおずと兄の背中に言った。
「お兄ちゃん、来〔け〕ぇへんの？」
「俺は、ええ」
「でも……馳くんも挨拶したいって、お兄ちゃんに」
「　小槙　」
　静かな旭の声が響いて、背中を向けたままの彼を見る。
　その兄の目は、テレビの中に注がれたまま訊いた。
「ホンマに後悔せぇへんか？」
　テレビでは、来春公開予定の映画『サイレントゲート』の予告編が流れている。新人の女優と抱き合う、八縞ヒカルの姿を映したそれに小槙は兄が何を心配しているのか、理解した。
「せぇへんよ。わたしが後悔してるんは……クラスメートやった時、馳くんに気持ちを伝えられへんかったことやから」
　その自分の気持ちにさえ、嘘をついたこと。
　だから。
　今は、心のままに選びたかった。
「そうか、それなら反対はせん……おまえには似合わん世界やとは思うけど、いつでも助けたるさかい」
「うん」
　兄の背中を後ろから抱きしめて、小槙は嬉しそうに頷いた。

「黙っててごめんなさい、ありがとう。お兄ちゃん」

　　>>>続きます。