ルーヴェの恋。9

　「ルーヴェの恋」第九話。
　特に何を語ることもなく……双子に限らず、愛してもらえるかどうかが、子どもには重要ですよね。
　昨今、「いじめ」問題とか「虐待」問題とか派手に報道をされていますが、いつの時代にもあったことではないか？　と私などは思います。
　それを、取り上げるか取り上げないかの差なのではないか……と。
　イロイロなことを報道を見て考えますが、マスコミという世界は怖いですよね。彼らはたぶん、悪意なく責めたり、正義だと思って正論をテレビや文字で訴えますが！
　それが、本当に正義なのか……というのは、一面的なものであって、多面的ではない。民主主義から見るのと、社会主義から見るのとでまったく違ってしまうのと同じです。
　結局は、どこまで許しあえるか――なんだろうと思うわけで。
　イロイロな角度からモノを見れるようになりたいなあ、と日々思っています。冷静に見ながら、それでも某国で日本の日の丸が焼かれたりすると、ちょびっと悲しくて憤ったりします。
　むー。
　感情って厄介ですね(^^ゞ。

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　以下、「ルーヴェの恋」第九話です。
　どんどん壊れていく姉妃さま、そろそろ終盤です。

――　ルーヴェの恋。9　――

　その備えられた美貌をつかって。
　培った英知をつかって。
　あらゆる狡猾な策をめぐらせても、ルーヴェは彼をとらえることができなかった。
　男を操ることなど造作もなかった彼女にとって、イフリア皇帝･レイドイーグはまさに特別な相手。
　だから、心から欲〔ほっ〕した。彼が、欲しかった……どうしても。
「あなたにあの人が似合うとでも、本当に思っているの？　ツェム」
　あの事故以来、ルーヴェとツゥエミールの姉妹が同じ席に居合わせることはある男の意図から避けられた。
　けれど、公的な時間は支配できても私的な時間は完全には支配できない。
　ことあるごとにルーヴェがみそっかすの妹〔ツゥエミール〕に投げかけた辛辣な言葉は、昔ならばズタズタにその心を傷つけただろう。
　昔のツゥエミールならば……泣いて逃げる。
　そして、耳を塞ぐ。
「そんなこと……わたしは……」
　伏せ目がちにふるえながら、それでも屹然と立つツゥエミールはもう昔の妹〔みそっかす〕ではない。
　くすんだ青の瞳は潤みながら、現実から目をそらさずに告げた。
「レイドに似合っているとは思わない。でも、姉上様――わたしは彼の傍にいたいんです」
（　いつから、こんなにも強くなったのだろう、この妹〔こ〕は　）
　ルーヴェはツゥエミールの握りしめあってふるえる手を眺めながら漠然と思った。
　それが、かの皇帝の力なのだとすれば、よけいに欲しくなる。
　あの妹をここまで変えたのならば、わたしならもっと変われるハズよ、そうでしょう？
「姉上様！」
　ツゥエミールが絶対的な地位をもつ姉に対して、本気で怒りをあらわにしたのは愛する息子にまで刃〔やいば〕が向けられた時だった。
　幼い子どもを抱きしめて、睨んできたその輝きにさらに憧憬は深くなる。
（　わたしもこの妹〔こ〕のように変われる？　……彼に愛されたならば、きっと　）
　だから。
　だから、愛して。
　私を―――。

　　>>>続きます。