裏表一体、日々のこと。
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「小さき姫と年の差侯爵」繋がりで、脇役の小話作ってみたよ! 第二弾。
今回は、かねてからの念願だった(私の個人的な好み、です)魔王子と、そのメイドのお話です。
まずは、メイドさん視点から。
この二人の、最初の出会いはきっとこんな感じで……もちろん、魔王子視点もあります。が、メイドさんとは趣きが違うので、別の話と考えていただいて結構ですよ。
以下、「魔王子とメイド、な関係」前編。
後編も近々、載せます。そんなに間は置かない!
スピード感が命、な小話だと思うのでっ。
今回は、かねてからの念願だった(私の個人的な好み、です)魔王子と、そのメイドのお話です。
まずは、メイドさん視点から。
この二人の、最初の出会いはきっとこんな感じで……もちろん、魔王子視点もあります。が、メイドさんとは趣きが違うので、別の話と考えていただいて結構ですよ。
以下、「魔王子とメイド、な関係」前編。
後編も近々、載せます。そんなに間は置かない!
スピード感が命、な小話だと思うのでっ。
―― 魔王子とメイド、な関係。前編 ――
キラさまと初めて言葉を交わしたのは、王宮の片隅だった。
正式な名前は、ウィン・ド・キラクリフ・ジャハ・ラ・ルーマといって王宮〔ここ〕に棲む魔王のご子息にあたる魔王子様だ。
一方、ルルゥはその王宮に特別枠で採用されたメイドで……一応、淫魔の一族の出身である。ただ、能力は低く「魅了〔チャーム〕」(相手を誘惑する淫魔の得意技)を成功させたことは一度もない。
性に奔放な魔族の中でも、淫魔の種族は早熟な者が多く、ルルゥくらいの年齢になると「未経験」というほうが異端視された。
その方の端正な美貌は、小さな頃から知っていた。
今、目の前にあってそらすことなく、こちらを見据えている。
顎をとられ上向かされた顔が、ジュッと音をたてるほど熱を持つのがわかる。
「あ……あ……っ」
涙の膜をはった視界が歪み、瞬きをすると滴が弾ける。
恥ずかしくて、逃げ出したい。なのに、駆けるための足は竦んでガクガクと震えている。
転がったバケツと、落ちた雑巾が足下になければ……その水を被った髪と体、衣服がなければ……ポタポタと落ちる雫がなければ、もう少し まともな 出会い方だったのに!
いかに要領の悪い彼女といえど、プライドというか……憧れの王子様へ少しでも良く見せたい願望くらいはある。
(こんな、こんな 大 失敗するなんて……!)
普通なら、もたつくにせよバケツの水を被るなんて失態は滅多にしない。いや、勤めだした当初は、よくやったけど! 最近はなかったの、ホントだもんっ!!
だから、コレは予期せぬ指名をした 彼 のせいだ。不遜にもそう、責任を転嫁したい。
『あ。君でいいや、ちょっと来て』
『ひっ! ひゃ、ひゃいッッ!』
呼ばれる前からチラチラとチラ見していた存在が、急に声を掛けてきて動揺した。
もしや、隠れて見ていたつもりがガン見していて、それがバレたのではなかろうか?! などと不安になって足下への注意を怠り、緊張で手には汗をかき、思考はほぼフリーズ状態。
彼のそばに侍る寸前、段差があるのかないのかわからない程度のところでガクンと足をとられ、ダメだ! と踏ん張ろうとしたのが悪かったのか、いや単にそういう星の下に生まれただけか……バケツが宙を舞った。
バシャ、と中の(決して綺麗ではない)水が二人の上に降り注いだ。
>>>後編に続く。
キラさまと初めて言葉を交わしたのは、王宮の片隅だった。
正式な名前は、ウィン・ド・キラクリフ・ジャハ・ラ・ルーマといって王宮〔ここ〕に棲む魔王のご子息にあたる魔王子様だ。
一方、ルルゥはその王宮に特別枠で採用されたメイドで……一応、淫魔の一族の出身である。ただ、能力は低く「魅了〔チャーム〕」(相手を誘惑する淫魔の得意技)を成功させたことは一度もない。
性に奔放な魔族の中でも、淫魔の種族は早熟な者が多く、ルルゥくらいの年齢になると「未経験」というほうが異端視された。
その方の端正な美貌は、小さな頃から知っていた。
今、目の前にあってそらすことなく、こちらを見据えている。
顎をとられ上向かされた顔が、ジュッと音をたてるほど熱を持つのがわかる。
「あ……あ……っ」
涙の膜をはった視界が歪み、瞬きをすると滴が弾ける。
恥ずかしくて、逃げ出したい。なのに、駆けるための足は竦んでガクガクと震えている。
転がったバケツと、落ちた雑巾が足下になければ……その水を被った髪と体、衣服がなければ……ポタポタと落ちる雫がなければ、もう少し まともな 出会い方だったのに!
いかに要領の悪い彼女といえど、プライドというか……憧れの王子様へ少しでも良く見せたい願望くらいはある。
(こんな、こんな 大 失敗するなんて……!)
普通なら、もたつくにせよバケツの水を被るなんて失態は滅多にしない。いや、勤めだした当初は、よくやったけど! 最近はなかったの、ホントだもんっ!!
だから、コレは予期せぬ指名をした 彼 のせいだ。不遜にもそう、責任を転嫁したい。
『あ。君でいいや、ちょっと来て』
『ひっ! ひゃ、ひゃいッッ!』
呼ばれる前からチラチラとチラ見していた存在が、急に声を掛けてきて動揺した。
もしや、隠れて見ていたつもりがガン見していて、それがバレたのではなかろうか?! などと不安になって足下への注意を怠り、緊張で手には汗をかき、思考はほぼフリーズ状態。
彼のそばに侍る寸前、段差があるのかないのかわからない程度のところでガクンと足をとられ、ダメだ! と踏ん張ろうとしたのが悪かったのか、いや単にそういう星の下に生まれただけか……バケツが宙を舞った。
バシャ、と中の(決して綺麗ではない)水が二人の上に降り注いだ。
>>>後編に続く。
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