背徳の姫君。山辺志穂。3-1

　「背徳」番外、山辺志穂視点の第三場面、第一回。
　第三場面はすべてを通して、制限のかかる場面はないハズですが……多少、際どいというか、あけすけな感じの会話があるので、高校生以上なら大丈夫という内容です。たぶん。
　ここまでくると、もうゴールは見えた！
　って、展開ですが……最後まで、お付き合いいただけるといいなあ（希望）！

　いきなりですが、現在、表のアキキロ「日誌」の方で、「龍」の番外SSを連載しています。
　今週中には、終わらせる予定の短いモノですが……「ファインダーの向こう側」のその後。のさらにその後云々という、別話です（←こらこら）。
　表の日誌でも連載できる程度のかるーい内容ですが、よろしければどうぞ。
　のちのち、「龍」目次のどうでもいい話あたりに収録予定ですけども！
　そしてそして。
　密やかに練習している、練習用お絵かき掲示板では現在、「陽だまり」のカップルをコンプリート目標に描いています。
　よろしければ、色付き「陽だまり」もご覧ください（笑）。

　まだ、未定ですが。
　50万企画作品として用意している「ピアノ」の番外ですが……「ピアノ」の目次に再録する形はとらない可能性があります。
　理由はイロイロありますが、一番は場所がないことです。
　なんか、もう作品が多すぎてダメな感じ炸裂なので、この際別枠で企画作品ばかりを収納する場所を作ろうかと（遠い目）。
　結構、気になっている「ピアノ」のR18指定の隠しページもそこに移動しようかな～と思っております。
　今のところ、対象作品は「ピアノ」にしかないんですが、「夕焼け」の番外もそっちに移動しちゃおうかな～と……悶々と考えております。
　「帝国」の別話も、そういやあるのだったわ。
　その際は、完璧な隠しページになるかと思いますので、気になる方は今後の動向にご注意ください。
　ご案内はする予定ですが、途中でポシャる可能性も高いです（←ダメじゃん！）

　以下、「背徳」番外、山辺志穂。3-1。
　高校生なら、これくらい常識？

――　背徳の姫君。～山辺志穂3-1～　――

　教室の隅に山辺志穂〔やまべ　しほ〕を手招きして呼び寄せた澤嶺祥子〔さわみね　しょうこ〕は、おもむろに 何か を彼女の手に握らせた。
　カサリ、と手のひらで鳴った平べったい包装はビニール製だろうか？

　息を呑む。

「しょ？！　しょーこちゃんっ！！」
　まじまじと眺めたあとに、唐突に真っ赤になった志穂は思わずそれを手のひらから滑り落としそうになって……慌てて、手のひらに隠した。
　いわゆる、ひとつの「家族計画」。
（コレって、あの時に……男の人のアレにつけてもらう……いやー、想像しちゃった！！）
　にんまり、と笑った友人は志穂の反応に満足がいったようだった。
　ポンポン、と肩を叩くと、唇に人差し指を立てて声をひそめて言う。
「そ。コンドーム……彼氏ができるおまじない」
「……お、まじない？」
　必死に平静を装おうと頑張りながら、あまり成果は上がらなかった。
　頬が熱いうえに、顔は引きつるし、手の中にはいまだ所在なさげな渦中の それ があってどう扱えばいいのかわからない。
「こ、困るよ。こんなの……誰かに見つかったら……どうするの？」
「身だしなみ身だしなみ。いつ何時、要りようになるか分からないワケじゃない？　わたしたちだってさ。鞄の奥とか、手帳の中とかに隠しときなさいよ」
　あって損はないんだから、と彼女は主張する。
　が。
「い、いらない」
　ブンブン、と首を振って志穂は辞退した。
　拳を突きつけて、引き取るようにお願いする……。

「　山辺　」

「ひっ！」
　そのよく知る声に、思わず手を引っ込める。
　志穂の動揺の仕方に不思議そうな顔で鳴海広之〔なるみ　ひろゆき〕は眉を寄せた。
「数学のノートの回収。おまえだけだから」
「あっ！　はい。ごめんなさい」
　慌てて、志穂は机に走ると手をスカートのポケットに入れて、ひとまず避難させる。
「お願いします、鳴海くん」
「ボーッとしてんなよ、バーカ」
　ポン、とノートで志穂の頭を軽く叩くと、彼は肩をすくめて教室を出て行った。

「はあ、いいわねえ。志穂は」

　頭をさすりながら戻ってきた彼女に、羨ましそうに友人がため息をついた。
「「おとなり」にシッカリ 王子様 がいて……」
「そ。そんなんじゃ、ないもん」
（――全然。よくなんか……ない。彼女がいる 人 なのに）
　その後、人の気の知らない祥子があまりにそのことを囃したてるものだから、志穂はスカートの中のものを 返す 機会をすっかりと失ってしまった。

　　>>>続きます。