背徳の姫君。二人の場合-その後。3（完）

　「背徳」番外、ご近所幼馴染カップルのその後……最終場面。
　ちょっと間が空いたので、どこまで載せていたかうろ覚えです（←バカです）。
　まあ、ノープロブレムですよ、お客さん。
　コチラの「カーテン」シリーズはストックが結構あるので、忘れててもダイジョブなのです。
　どれくらいダイジョブかと言うと、来年の春くらいまでダイジョブです。←小出しにするつもりらしい。

　それはいいとして。
　今年のハロウィンはどうしようかと考えています。
　何をって、そりゃ……季節の短編SSとか考え……いや、そんなんしている内に「Ｏパーツ」書かないと、なんですが。
　自分を追いつめるためにも、そろそろずーっと放置している「Ｏパーツ」の番外を目次にアップしないとなー（遠い目）。

　以下、「背徳の姫君」番外、「二人の場合-その後」3。
　この二人のやりとりがじつは、結構スキです。なんつーか、不器用さが出ていて「ウラー！」と背中をドーンと押したくなる！

――　背徳の姫君～二人の場合-その後3～　――

「え？」

　怪訝にみながみな、一様に聞き返す。広之だけが何かを察して、彼女の手首をとった。
「わたし、なんだもんっ」
「志穂、おいで」
　涙目で訴える彼女の手を引いて、広之は暗にそれを隠そうともしなかった。



　理解できずに静まりかえった教室を横切って、志穂とともに廊下に出た広之は、瞬間、怒涛のように騒がしくなる後方の教室をふり返る。
「……志穂」
「ごめん、なさい」
　言ってしまったあとに我に返ったらしい彼女は、彼に手を引かれながらシュンと可哀想なほど小さくなって項垂れる。
「俺はいいけど」
「む、無理しなくていいよ。わたしとなんて、イヤだったんでしょ」
「は？」
　ムッ、と口をへの字に曲げて、広之は卑屈に俯く志穂を眺めた。
「どういう意味？」
「だ、だって……わたしと噂になるのが イヤ だから、黙ってたんでしょ？　わかってるよ。な、鳴海くんだったら、黙ってるなんて 変 だもん」
　ハァ、と深く長い息をついて、広之は「俺なりの気遣いだったんだけど」と嘆いた。
「恥ずかしい、って言ってたの おまえ だろ。しかも、体の関係も アリ だとか思われてるんだぞ…… 俺が 気を遣ったってーのに、それが この 言い草か」
「……だって」
「今から覚悟しとけよ、バーカ」
「いいんだもん」
　強がる彼女に「どーだか」とせせら笑い、ギュッと握ってきた小さな手に力をこめて応える。
　人目も憚らずに手を繋いで廊下を歩けば、注目を浴びるのは必至だった。けれど、今はあまり気にならない。

「だって……鳴海くんが、いるから」

　小さく言った彼女が可愛くて、広之はつい足早になった。驚いた志穂が何事かと問うので、正直に口にする。
「志穂が可愛いこと言うから、キスしたくなった」
　本当は、キスだけじゃ足りないくらいだが……約束がある以上、そのあたりは 我慢 だ。
「え？　あの、でも……ここ、学校だよ？」
「 今更 だろ」
　志穂の言葉に仰け反って、「大丈夫」と戸惑う彼女を横からかすめるように流し見る。
「学校でも 人気 のない 場所 はいくらでもあるから」
　さしずめ今の時間なら特別棟の屋上か、美術室の裏手、常駐医のいない保健室も穴場だな……といくつかのポイントを頭に浮かべて、にっこりと微笑んだ。

　　>>>おわり。