ルーヴェの恋。5

　「ルーヴェの恋」第五話。
　帝国恋愛秘話の「しなやかに強く2」の冒頭部、かるーく流したあたりにさしかかっています。
　この双子妃の話は、私にしてはかなりのタブーを犯したにも関わらず案外、自分の中ではお気に入りです（笑）。
　帝国恋愛秘話の元ネタとなっている、イフリア帝国の未来（というか。帝国恋愛秘話が過去番外なのね。全般的に）に続く形としては、我ながらうまく繋げたな、オイ。
　と、自画自賛しています。
　まあ、もともとの元ネタが私の好きな形で、しかも大好きなお子しゃまがいらっさるので、気に入らないワケがない。
　ツゥエミールとレイドイーグ皇帝の孫である、病弱皇子ことルディオンのお話は、本宅の「アキキロ」へどうぞ(PR)♪
　金髪碧眼の病弱な少年なんて、私のツボをつきまくる皇子です（←危ないから！）。

　さて。
　昨日、言っていた本宅のハロウィン企画はおおよそ３分の２程度書き終えました……しかし、まだ最後の詰めが（遠い目）。
　しかも、お題がまだ二つ残してるよ？
　うふふふふ。

　以下、「ルーヴェの恋」の続き～少しずつ少しずつ愛しいと思っていただけたら、嬉しいです。

――　ルーヴェの恋。5　――

　見も知らぬ相手からの同情。
　無責任な激励。
　見下していた相手が、自分よりも愛される……その現実。
　冷遇を強いられながらも、「正妃」という地位にある哀れな自分。
　本当なら、もっと愛されても良いはずなのに――なのに。

　本当に愛されているのは妹で、わたしじゃない。


***　***


　その手には、一枚の手紙。
（どうして――）
　ルーヴェは、夜の闇に沈む個室でひとり椅子に座り唇を噛んだ。
　深い青の瞳はきらめいて、銀の髪はしっとりと流れる月の光に包まれる。
　結婚して以降、ルーヴェはレイドイーグに触れられた記憶すらない。
　結婚前の半月ほどはキスを交わす程度はあったが、しかしそれだけのことでそれ以上はない。
（わたしは、どうすればいいの？　どうすれば……思うように 幸せ になれる？）
　引きつれたように頬をゆがめて、笑う。
　わたしが一人寝をしている間、妹は皇帝に可愛がられている……しかも、子どもまでつくって！
　皇帝に愛されているのは 妹 で、わたしじゃない――。

「わたしじゃない？」

（　馬鹿な。わたしが愛されないワケがない　）
　ルーヴェは窓に映る自分を眺めて、「そうよ」と鈴の音の澄んだ声で冷ややかに口にした。
「このわたくしが愛されないワケがないわ、そうでしょう？」
　窓の美しい顔がほころぶ。
　ルーヴェの耳のどこか遠く……近い場所で何かが欠ける音がかすかに聞こえて無音に溶けた。

　スルリと、手紙が落ちる。

『――悔しいけれど、君には私よりもその場所が似合っている。
　幸せに、なって欲しい。どうか……幸せに。
　そして、ツゥエミールには。
　辛ければ迎えに行くから、と伝えて欲しい。』
　従兄弟･サミューからの手紙は、父王と母妃が届けた故郷〔ふるさと〕からの、まるで別離〔わかれ〕の言葉だった。

　　>>>続きます。