ルーヴェの恋。7

　「ルーヴェの恋」第七話。
　今回の場面は、視点がちょい皇帝側に移っていますが……なんていうか、ココだけは書いておきたかった場面なので。
　「しなやかに強く2」のガリアゲイドの言葉がココにかかってくるワケで、レイドイーグ皇帝もツゥエミールさんには弱いってコトですね。
　で、ここで生まれた皇子がのちのイグダリオ皇帝になります（本宅「アキキロ」の「王宮小説」参照）。←PR
　病弱皇子の父君にあらせられます。

　ちなみに、「小さき花」ではこのイグダリオ皇子は……十五歳くらいですかね。あるいはもうちょっと年上か（曖昧）。
　まだ年代調整をしていないのでビミョーです。
　「小さき花」のあと、数年後に内乱っぽい動乱の時代があって帝位継承するワケです。……考えれば考えるだけ、イロイロありそうな感じで私の苦手とする小難しい論理が必要になってくる場面ですね。ハハハハハ！
　だから、「小さき花」の第二部は大変なんだってば！！
　少しずつ煮詰めていこうと思います（え？　あんまり気にならない？）。
　今後の動向を見極めつつ――。

　昨日ブツブツ言っておりました、ダフネリアの服装可愛くはないですがイメージがコレというのが書けた感じです。
　まだ、スキャンしてないので近々載せれたらなあ……と思っています。次回の「つぼみ」あたりの参考として（笑）ご活用ください。
　以下、「ルーヴェの恋」第七話です。
　拍手で「ルーヴェの恋」にもついにコメントがありました！！　ありがとうございますっ。アナタと私は、マブダチです（注目するトコロが同じ！）。

――　ルーヴェの恋。7　――

　早産にもかかわらず、元気な泣き声を聞かせた赤子が、扉の向こうでわらわらと侍女たちにかしずかれている間に、ガリアゲイドはまだ訝しげな皇帝に事の経過を詳細に説明し、苦々しく（殴られるなあ）と思いながら最終的なくだりを告げた。
　案の定、殴られた。
「勝手なことを！　子どもなど捨ててしまえばいいものを」
　言うだろう、と思ったことを言ったので肩をすくめると、叩きつけられた壁を背にして派手に切った（血の味がするので、たぶんそう）唇の端を拭った。
　子どもを最優先に取りだした結果、母体であるツゥエミールの容態は楽観できるものではなく……むしろ、なけなしの体力を使い果たし最悪の状態でなんとか息をしているだけだった。
「――第二妃殿下のお命は、保障できません」

　自分のこの見解に、レイドイーグが激昂するのは当たり前だ。
　彼なら、きっと子どもよりも彼女の命を取る。
　しかし、……。
「皇帝陛下、非難は甘んじて受け止めます。しかし、妃殿下よりの強い希望のため、尊重いたしました」
「馬鹿な――」
　怒りをにじませるレイドイーグは冷ややかな澄んだ青の瞳をチラチラと閃かす。
　もう一発殴られるのは、遠慮したいのでガリアゲイドは彼女の最期の言葉……というのは、いくらか語弊があるけれども伝える。

「貴方様の子どもが生みたい、と妃殿下よりの願いです」

　レイドイーグは、片頬を痛々しく腫れ上げた医学卿を見下ろして舌打ちをした。
「　戯言を　」
　口で悪態をつき、身を翻〔ひるがえ〕す。
「部屋〔なか〕にいるんだな？　彼女は」
「お察しの通りに……付き添われますか？」
　ふん、と鼻で笑った。
「今だけな――すぐに出る。私は草々体が空く人間ではないのだ」
　自嘲に似た視線だけを背にいるガリアゲイドに向けて、悠然と部屋の中に消えた。

　それから、一週間ツゥエミールの容態は小康状態を続けて、二週間後に何とか快方に向かった。
　ようやく意識を取り戻したツゥエミールが見たのは、疲労をにじませて「子どもは生むな」と宣言する皇帝〔レイドイーグ〕と、腫れの引いた頬をくすり、と笑わせた医学卿〔ガリアゲイド〕。
　それに、まだ首の座っていない可愛い、自分の皇子〔子ども〕だった。

　　>>>続きます。