ジョーカー！ そうは問屋がおろさない？0

　プリンスは後悔していた。
（なんでまた、俺はここにいるんだ？）
　大泥棒一家に拾われ、あれよあれよと言う間に連邦宇宙軍に取り囲まれ、切羽詰って緊急ワープをほどこしてから数日。
　いまだ、正確な宇宙軸は算出されていない。
　というか、むしろそういう 気 が「彼ら」にあるのかさえ疑問だ……今の状況を考えると。

「……何度目だよ、コレ」

「うるさいうるさいうるさーいっ！」
　半ば涙目でＪが叫んだ。
　この急発進にも、もう慣れてしまった。
　ため息がついて出て、仕方ないので定位置となりつつある座席に座る。
　たぶん、コレが彼らの日常なのだろう。そう思うと、気を揉むのもバカらしいので景色の変わり映えのしない宇宙〔そら〕を窓越しに眺めて欠伸をする。
「　ふあっ　」
　ハッ、とした時には遅かった。
「しまった……」
　ギロリとそれは恨めしそうな青の瞳に睨まれて、呻く。
「しまったじゃなーいっ！　ピーってどうしてそうなワケ？！　わたしがこんなに傷ついてるのにっ！　――話を聞こうとか、慰めようとか王子様みたいなこと考えないの！？」
「……なんで、俺が」
　理不尽な要求に、プリンスは眉を寄せた。
　はっきり言って、柄じゃないし。
　彼女だって、本気ではそんなことをして欲しいわけじゃない。
（頭に血ののぼったＪは、思考回路が全部吹き飛ぶからなあ……たぶん、自分の言っていること自体分かってない）
　ゼハゼハ、とひとしきり怒鳴り倒したＪは少し落ち着いたらしく操縦桿を安定位置に戻すと唇を噛む。
　涙目のまま、ポツリと言った。

「　パパの、バカ　」

「　………あー　」
　やっぱり、俺はバカだ。
　プリンスは自分の間抜け加減にほとほと嫌気がさして、ふかくここにいることを後悔した。

　　そうは問屋がおろさない？1。に続く。<<<どうも、お久しぶりです。ポン(と、誰の肩を叩いているのかな？)。
　プリンスのモノローグから始めてみました(笑)。どうやら前の「家族の証」から数日後、またしても家出から……当初そういう設定ではなかったのですが、なんとなく冒頭のプリンスの嘆きを書いてみたかったので変更しました。
　父親のＫよりも、Ｊの方がトラブルメーカーっぽいですね～おかしい（悩）。
　とりあえず、ここから次の話が展開されます――どういう話になるかは、私にもサッパリ。

ジョーカー！ これまでのお話。

　大宇宙の大海原、大泥棒のＫ〔キング〕、娘のＪ〔ジェイ〕、変形自在のアンドロイドＱ〔キュー〕のファミリーは愛船「ダイア」で航行中、敵側ともいえる連邦宇宙軍の救命カプセルを回収する。
　そこに眠っていたのは、銀髪に目の覚めるような青の瞳のお姫さま……ではなく、記憶喪失の少年軍人らしいプリンス！　だったが。
　早速、お出ましの連邦宇宙軍から命からがら逃げたり、父親と大喧嘩したＪが家出を決行、ついでにプリンスをともなってビッグ・レイスに遭遇したりと大変だったワケですが――それも、ひと段落。
　雨降って地固まる。
　水と油と思われたＪとプリンスの関係も、それなりに良好らしい。
　やっぱり、現在位置の宇宙軸は不明のまま、Ｊはプリンスをともなって今日も家出をしています……。

　　ジョーカー！　そうは問屋がおろさない？0。に続く。<<<えーっと、まあ、そういう話だったよね？
　詳しくは、「アキキロ」設計室の「ジョーカー！」をご覧ください(>▲<)！
　最後の段落がまだ、アップできてないんですが……大体の話は分かると思います。

　って、ことで明日くらいからちまちまっとココで連載していきます。
　お暇なら、是非お付き合いくださいね♪
　そのうちに、「メルマガ」も発行しますーいつになるかは、まだ不明(^^ゞ。